この言葉を聞いて、清那の心はようやく少し楽になった。紗雪の言う通りだ。あの子猫は、お腹を空かせたまま去ったわけじゃない。撫でられ、ごはんももらってから去っていったのだ。清那は真剣に写真を見つめ、心の中でそっとつぶやく。ねこちゃん、来世でまた会いましょう?「紗雪、私が退院したら......あの子を見に行ってもいい?」幼い紗雪はもちろん即答する。「もちろんだよ。でも、そのためにはちゃんと体を治さないと」「わかってる。約束したことは必ず守るから」清那はこくりと頷き、ふとあの三人のことを思い出す。「紗雪、あの人たちは......どうなったの?」その問いに、幼い紗雪の表情がわずかに曇った。紗雪も横でうつむいている。この無力感を、清那はよく知っていた。今の幼い紗雪も、まさにその時の自分と同じ気持ちなのだ。本当にどうしようもない。黒幕すら突き止められない。過去も、これからも、そして今も......そう思うと、紗雪は強い挫折感に襲われた。自分のような人間が、本当に清那の友達でいていいのだろうか。あんなに一生懸命助けてくれているのに、自分は黒幕の正体すら掴めない。自分なんて、なんの役にも立たないじゃないか......今の幼い紗雪と紗雪の心境は、まったく同じだった。二人して、まるでおそろいのように頭を垂れている。清那はその様子を見て、事情を察した。しょんぼりしている幼い紗雪に、ただ微笑みを浮かべると、上体を少し起こし、そのまま彼女を抱きしめ、優しく背中をぽんぽんと叩いた。幼い紗雪のこわばっていた身体は、その拍子にふっと力が抜け、気持ちもずいぶんと和らいだ。「清那......」清那は首を振る。「いいの、紗雪。分かってるよ、全部理解してる。紗雪はいつも私に良くしてくれてる......それに歳は私とそう変わらないのに、もう十分すぎるほど背負ってるじゃない」清那は幼い紗雪の手を握り、真剣な眼差しで見つめる。「だから、自分にプレッシャーをかけないでほしいの。まだ若いんだから。私たちの人生はまだ長い。今は真相が分からなくても、きっといつか分かる時が来る」清那はきらきらとした瞳で紗雪を見つめ、その表情には揺るぎない信頼が宿っていた。まるで、世界のすべてを託し
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