「俺に聞くな!」手下の声を聞いた瞬間、頭目は苛立ちを隠そうともせず吐き捨てた。手下は腕をさすりながらおずおずと口を開く。「い、いや......頭、なんかこのガキ、ちょっと不気味じゃないっすか?俺の考えすぎかね?」頭目は答えなかった。清那の様子をじっと見つめながらも、心の奥では判断がつかずにいた。今まで、どんな女だって見てきた。だが中学生のガキが、こんな狂気じみた目をするのは......初めてだ。正直、少し怖い。けれど、頭の片隅に浮かぶのは、依頼人から提示されたあの高額な報酬。あの金額......逃すわけにはいかない。相手はただの中学生、恐れる理由などない。そう思い直した瞬間、頭目の目に迷いが消えた。「ビビってんじゃねぇよ!」バシン、と手下の頭を叩き、罵声を浴びせる。「怖がるほどの相手か?ただのガキ一人だろ!腰抜けが!それしか出来ねぇなら、今すぐ俺の前から消えろ!クズが!」その言葉に、手下たちの顔が青ざめた。この界隈で、頭目の言葉は重い。中学生を標的にすることすら平然とやる――そんな人間、他にいない。金のためなら命も惜しまない。だからこそ、誰も逆らえない。紗雪は、その一瞬、頭目の顔に走った迷いを見逃さなかった。やっぱり、裏で金を出してるのは、緒莉しかいない。こんな大金を動かせる人間なんて、他にいないんだから。当時、まだ中学生だった自分と清那。そんな自分たちと、いったい誰が因縁を結ぶっていうの?考えれば考えるほど、紗雪の中で緒莉への疑念は深まるばかりだった。頭目は手下に視線で合図する。「撮影を続けろ」これが、金をもらうための「証拠」だ。止めるわけにはいかない。必死にもがく清那。だが、三人の力の前では、無力だった。まだ中学生の少女に、抗うだけの力はない。現実は残酷だ。やがて、清那の服はずたずたに裂かれた。それでも、彼女は必死に胸元を押さえ、最後の防衛線だけは死守する。投げ捨てられたバッグは、もうどこにあるのかも分からない。清那の小さな体は、水面に浮かぶ木の葉のように、翻弄され、押し流され、弄ばれ続けた。そして。幼い紗雪と松尾家の人々が駆けつけた時、清那の瞳はすでに虚ろだった。魂の抜け殻のように、何も
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