孝寛がきちんと躾けられないというのなら、自分が警察署に行って、あの息子をしっかり管教してやればいい。「状況が少し複雑でして。詳しいことは、来てからお話しした方がいいでしょう」署長は言葉をかなり控えめにし、断言は避けた。何とかこの二人をスムーズに警察署まで来させるために、使える手はすべて使っている。仕方がない。あの二人をこれ以上ここに留めておくわけにはいかないのだ。時間を浪費するだけで、誰の得にもならない。しかも、どちらも人の言うことを聞くタイプではない。署長としては、この手しか残っていなかった。正直に言えば、この署長の手は確かに効果があった。美月も、辰琉が今どんな状態なのかかなり興味を持っていた。署長の言う通り、百聞は一見に如かず。やはり自分の目で確かめる方がいい。家の中でできることには、どうしても限界がある。外に出てこそ、より広い世界が見えるものだ。美月は署長の提案を受け入れ、午後には出発するつもりだと言った。署長は何度も頷き、「問題ありません」と応じた。彼がどれほどこの日を待ち望んでいたか、神にしかわからない。ようやく二人を対面させることができるのだ。電話を切った瞬間、署長はようやく息を吐いた。やっとこの問題に区切りがつきそうだ。これ以上引き延ばせば、自分の寿命が半分になる気がしていた。前にA国の署長はどうやって耐えていたのか、本当に理解できない。それどころか、あんな長期間よく面倒を見ていたものだと、署長自身も驚いている。とはいえ、すべては自分の一時の甘さが原因で、二人を呼び戻してしまった結果だ。だが今後は、同じことは起こさない。今回の件は、多少なりとも取り返せそうだ。人間というのは、自分のやったことに対して、結局は代償を払うものなのだ。署長がやっと一息ついたのも束の間、「二川緒莉がまた向こうで騒ぎ始めました」と報告が入った。署長は眉間を押さえた。「一体何をそんなに騒ぐ。まだ数日しか経ってないのに、どうして次から次へと問題が出るだ」報告に来た警官も困惑気味だった。「自分も知りません。とにかく、あの人はいつも何かしら騒ぎを起こすんです。なんでも、安東辰琉と同じ部屋にいたくないとか、臭くて我慢できないとか言ってるらしいです」署長は盛大に
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