真夕と辰巳は司を待っていた。司の部下たちはすでに村を包囲しており、二人は無事にここを離れることができるようになっていた。だが、いくら待っても司が現れない。彼は一体どこへ行ったのだろうか。「兄貴、どうしてまだ来ないの?」そのとき、司の凛々しく整った姿が現れた。彼は来たのだ。「兄貴、どこに行ってた?こんなに時間かけて」と、辰巳が不思議そうに尋ねた。司は答えず、ティッシュで手を拭いただけだった。真夕は彼の手に血が付いているのを見た。清が近づいてきた。「社長、戻りましょう」司はうなずき、一行はヨットに乗り込んでその場を離れた。「司兄さん、ううぅ」真夕は泣き声を聞いた。彼女が振り返ると、そこには春菜の姿があった。春菜は泣きながら駆け寄ってきて、岸辺で名残惜しそうに立ち尽くしている。「堀田社長、あの子の心を傷つけたんじゃない?彼女、本当にあなたのことが好きだったみたいよ」司は冷たい目で真夕を一瞥した。「その真心、君にやるよ。欲しいか?」真夕「……」その後、彼らは青波市に戻った。錦治や先輩たちも駆けつけていた。錦治は真夕を見て言った。「池本さん、無事だった?突然いなくなって、本当に心配したんだよ」真夕は首を振った。「平気よ。心配かけてごめんね」「池本さん、一体どうしたの?何で急にいなくなったの?」真夕がまだ答える前に、あるか弱い女性の影が司の胸に飛び込んできた。「司、やっと戻ってきたのね、すごく心配したのよ」それは彩だった。彩は司に抱きつき、彼の胸に飛び込んだ。真夕からの視線を感じると、彩も傲慢な目つきで真夕を見つめた。真夕は、彩が辰巳をそそのかして自分を殺そうとしたことを知っているが、証拠はない。しかも辰巳が関わっている以上、真相を明かすのは難しい。だからこそ彩は、これほどまでに余裕のある態度を取っていられるのだ。真夕は口元に笑みを浮かべた。「みんな、ちょっと疲れたので、帰ろうよ」「そうだね、まずは休もう。夜には浜島市に戻る予定だ」錦治は司に目を向けた。「堀田先輩、では先に失礼」司は今、彩にしっかり抱きしめられている。彼は彼女を引き離そうとしたが、彩はさらに力を込めて彼にしがみついた。「堀田先輩と池本さんって仲が良いね」司は真夕の方を見た。真夕の顔は冷たく澄んでお
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