「緋雪がシンデレラなら、ドレスを用意した僕は魔法使いってことになるじゃん。……王子は香西さん?」 「……あ、そうなりますね」 「嫌だよ! 僕は王子がいい!」 真剣な表情でそう主張する宮田さんを見てケラケラと笑ってしまった。 こういうところは子どもっぽくてかわいい。「緋雪はさ、〇時を過ぎても魔法は解けないよ」 「え……?」 「解けない魔法がかかってるから。今夜はずっと王子がそばにいてあげる」 パーティのときのように、彼はまた私の左手を取って手の甲に口付けた。 彼の唇の感触がとてもリアルで色っぽくて……恥ずかしさで一瞬のうちに頬が熱くなる。「緋雪……」 彼の長い腕が伸びてきて、すっぽりと包み込むように抱きしめられた。 今の傷ついた私の心を、この温かさが癒してくれるみたいな気持ちになる。「そう言えば……呼び名、変わってますね」 「……ん?」 「“緋雪”って」 パーティのあのアクシデントの辺りから、宮田さんは私を“緋雪”と下の名前で呼ぶようになっていた。「あぁ、うん。ずっとそう呼びたかったんだ。……もしかして嫌?」 私の身体を少し離し、その表情を読み取ろうと視線を合わせてくる。 いつもにこにこしている彼の顔が、今はとても不安そう。「……嫌じゃない」 私がそう答えると、彼の顔が照れを含んだうれしそうな顔に変わっていく。 そして、彼の色気のあるやわらかい唇が私の唇をそっと塞いだ。 一瞬で深くなったキスが何度か角度を変えたとき、私はふと俯いてクスリと笑った。 ……思い出し笑いだ。「どうしたの?」 急に笑い出した私に、彼は不思議そうな視線を送る。「また邪魔されるのかなと思ったら、おかしくて……」 キスをしている最中に、コンシェルジュが二度も来たことを思い出したのだ。 香西さんからの私への気遣いだったのに、それは今思えばまるで計ったようなタイミングだった。「もう邪魔はさせないよ」 「でも……」 「誰が来ても出ない。もう止まらないから」 そう言ったかと思うと彼は再びキスを落とし、私をベッドへと押し倒す。 私の上に覆いかぶさる彼を見て、心ごと全部持っていかれたと自覚した。「宮田さんって……意外と肉食だったんですね」 「そうだよ。マチコさんにも言ったでしょ。パーティが終わったらいっぱいイチャつくって
Terakhir Diperbarui : 2025-04-24 Baca selengkapnya