午前中の授業が終わり、教室が騒がしくなる。 朝から疲労困憊な私は、机に突っ伏し、しばらくぼーっとしていた。由香里ちゃんが振り向いて、前の席から腕を伸ばし、優しく頭を撫でる。「凜くん、お疲れ~。私もめっちゃ疲れた……ご飯どうする? 私お弁当だったんだけど、朝の騒動で壊滅的状況」 その言葉に小さく笑う。「私もだよ。購買にでも行く? あ……でも……」 そういえば、私、瀬戸先輩とお昼食べる約束してるんだった。(先輩、どう……するんだろう……) 江崎先生の仲裁で話し合う姿勢を取ってくれたけど、ふたりきりは不安も残る。たぶん私じゃ瀬戸先輩を止められないし、場所によっては逃げ出すのも難しい。 そんなことを考えていると、由香里ちゃんが肩を叩いた。顔を上げると、廊下を顎で指して呟く。「凜くん、あれ……」 その視線を辿れば、廊下の窓際に瀬戸先輩が立って、じっと私を見つめていた。その眼差しが真っすぐで、どきりと心臓が跳ねる。視線が合うと、ふわりと微笑んだ。それがあまりに可愛らしくて思わずうなってしまう。「ぐぅ……っ、先輩、あざとすぎる……!」 それを見て、由香里ちゃんが呆れた声を出した。「なんだかんだ言って、凜くんも瀬戸先輩好きだもんね。最初はお人好しな間抜け、なんて思ってたけどさ。凜くんは、見た目で判断される苦しさを知ってた……それなのに私は……」 暗くなる由香里ちゃんに、私は慌てて首を振る。「そんな風に言わないで。今はこうして、友達になってくれたんだもん」 そっと小さな手を握ると、頬がうっすら色ずいてはにかむ。「うん、ありがと。私も、凜くんのこと知れて嬉しいんだ。ただの『王子様』じゃない凜くんをね」 ふたりで笑い合っていると、廊下から焦れたような声が響いた。「凜ちゃん! お昼、一緒に食べよ。約束、まだ有効だよね?」 そう言って掲げた腕には、購買の袋が下がっている。妙に膨れたそれを示しながら、上を指さす。「屋上、行こう。ちゃんと話したい」
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