一方、悠斗がどこまでやれるか、どの地位まで上り詰めるかは、まだ静観する必要がある。ただ確かなのは、蓮司がこれに猛反対しており、二人の関係は水と油のように激しく対立しているということだ。本来は入院中のはずなのに、蓮司は今朝のプロジェクト会議に直接顔を出した。今回の蓮司の入院について、内部の人間は事情を聞いていたが、それは博明が漏らしたものだった。しかし社員たちにとっては、もう見慣れた光景であり、むしろ正常だとさえ思っていた。何しろこの前、蓮司が透子を追いかけるために全国を騒がせ、京田市ではさらに派手にやらかしたからだ。また噂によると、椿山のリゾート施設を開発している近藤社長が、訴訟トラブルに巻き込まれたらしい。危うく刑務所行きになるところだったが、結局は罰金で済んだものの、損失額は莫大だった。これが、博明の話の信憑性を裏付けていた。もちろん、これらはただの噂話に過ぎない。重要なのは社内の動向、つまり今回、蓮司が再び悠斗を追い出せるかどうかだ。そうして午前中いっぱい待ったが、上層部は蓮司の具体的な行動を目にすることはなかった。ただいつも通り会議をし、書類を決裁するだけだった。逆に博明の動きは活発で、自ら本部へ出向き、数人の副社長を食事に誘おうとしていた。今、博明は副社長の高山勝裕(たかやま かつひろ)オフィスにいて、執拗に食い下がって食事に誘っていた。ここに来る前に、他の副社長たちにはことごとく「丁重に断られた」からだ。勝裕さえ説得できれば、残りの連中も何とかなるだろう。博明は言葉を尽くして説得を続けていた。「ただ兄弟の集まりじゃないか。高山さん、そんなに警戒することはないだろう?もう十年来の付き合いだ。仕事上の関係だけじゃなく、情だってあるだろう?他意はないんだ。古い友人を何人か呼んで、軽く食事をして親睦を深めたいだけだよ」勝裕は博明の情に訴える言葉を聞きながら、心の中でこう思っていた。よりによって、博明の次男が本部に戻ってきた今日この日を選ぶなんて。馬鹿でなければ、博明の言葉が白々しいことくらい誰でも分かる。だから勝裕も、調子を合わせるつもりはなかった。彼は直接断らず、博明が話し終えて帰るのを待っていた。何しろ相手は新井のお爺さんの親族だ。表立って対立するのは得策ではない。勝裕は時計
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