悠斗が勝ち取ったこのプロジェクトは非常に有望であり、投資家からの入金も迅速だったため、プロジェクトの成功はほぼ盤石なものとなった。新井グループの役員会は、悠斗からのこの「実績」を受け取った。博明は、役員一人一人に個別に連絡を取った。その意図は明確だ。末っ子を本社に戻したいのだ。新井家の次男坊がこれだけの実績を出した以上、本社に復帰する資格は十分にある。だが……当初、悠斗を追い出すよう命じたのは蓮司であり、現在も実権を握っているのは蓮司だ。海千山千の役員たちは、誰一人として明確な約束をしなかった。博明は役員たちが日和見主義者ばかりだと見て取り、悔しさに歯噛みしながら、自ら本邸へ足を運び、新井のお爺さんに直談判することにした。博明はそこで、泣き落としから逆ギレまで、ありとあらゆる手段を使って駄々をこねた。新井のお爺さんは不公平だ。悠斗だって可愛い孫だろう、実績も出したのになぜ公平なチャンスをやらないんだ、と喚き散らしたのだ。新井のお爺さんは、その無様な振る舞いに目眩がするほど腹を立て、執事に命じて博明を追い出させた。新井のお爺さんは机を激しく叩いて怒鳴った。「五十過ぎたいい大人が!町のならず者じゃあるまいし、何たるざまだ!」新井のお爺さんは、昔もう一人子供を作っておかなかったことを心底後悔した。唯一の息子がこれでは、産まなかったのと同じだ。役に立つどころか足を引っ張るばかりだ。執事が戻ってきて、新井のお爺さんが息を荒げているのを見て、背中をさすりながらなだめた。「博明様も、親心ゆえでしょう。末の息子に道を用意してやりたい一心なのです」新井のお爺さんはさらに激昂した。「親心だと?笑わせるな!あいつは末っ子のことばかりで、長男はどうなんだ?!蓮司のことはこれっぽっちも気にかけていないじゃないか!」執事は溜息をついた。「旦那様、博明様が優等生ばかりをひいきなさるのは、今に始まったことではございません。あちらの親子こそが『家族』でございます。若旦那様にはほとんどご関心をお持ちではありませんが、若旦那様は旦那様が手塩にかけてお育てになったお子でございます。今日のことは、若旦那様には絶対に聞かせてはなりません。彼はまだ入院中です。もし耳に入れば、また精神を病んでしまうかもしれません」新井のお爺さんの怒りは少し収まっ
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