蓮司はハッとして内心驚いたが、表面上は平静を装い、動揺を悟られないようにした。蓮司は矢継ぎ早に問い返した。「そんなわけないだろ。お爺様、なんでそう思うんだ?自分で抜いて何になる?痛い思いをするのは俺だぞ」新井のお爺さんは言った。「一度ならず二度までもだ。わざとだと疑われても仕方あるまい。点滴すらまともに受けられんとはな。三歳の子供じゃあるまいし」蓮司は、すべて事故だったと言いたかった。ただ、その事故が二回続いただけだと。だが、彼が口を開くより先に、執事が助け舟を出した。「旦那様、一度目は若旦那様が昏睡中に寝返りを打って、不注意で引っ張ってしまわれたのです。よくあることです。二度目、つまり先ほどの件ですが、今日は若旦那様のお体が弱っておられ、お一人でトイレに行かれた際に力が入らず、手元が狂って針が抜けてしまったのでしょう」その説明を聞き、新井のお爺さんはそれ以上追及しなかった。確かに、わざとやったとして、蓮司に何の得がある?結局はまた針を刺され、痛い思いをするだけだ。彼らが話している間に、看護師たちがワゴンを押して入ってきた。前回の処置から三十分も経っていないのに、また針が「逃げ出した」のだ。普段なら、看護師は原因をしつこく尋ねるところだが、今回の患者の身分が特別だ。彼女たちは黙々と作業を進め、今度は左手に針を刺した。処置を終えると、看護師は注意した。「もう手を動かさないでくださいね。一度の点滴で手の甲に四つも穴が開いてしまいました。明日また点滴をする時、痛みますよ」「……明日もやるのか?」蓮司は尋ねた。「はい、三回のコースになっています。主に栄養補給を行い、体力の回復を早めるためです」看護師は答えた。蓮司は絶句した。……なら、今夜中に行動を起こさなければならない。でなければ、博の監視は厳しくなる一方だ。自分で針を抜く隙が見つからなければ、明日もまたこの茶番を繰り返すことになるのか?「一度や二度ならまだしも」と言うが、もし三度目も針が抜けたら、さすがに全員が故意だと疑うだろう。看護師が去った後、博が言った。「新井さん、もしまたトイレに行きたくなったら、僕が付き添います。また不注意で針を抜いてしまわないように」執事も言った。「若旦那様、点滴はあと二時間ほどかかります。わたくしがここにおります
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