美月はその言葉に頷くしかなく、自室へと戻った。ドアの背後で。美月はドアに背を預け、両手を強く握りしめ、恨めしげに歯を食いしばった。一日中、丸一日、あの理恵という憎らしい女性と一緒にいたなんて。理恵はきっと、雅人に不純な下心を抱いているに違いない!問題は、アシスタントが彼を「疲れている」と言っていたこと……疲れている……まさか、あの女が雅人を誘惑して、一日中ベッドで……そうでなければ、雅人のあの体格で、そう簡単に疲れるはずがないわ。考えれば考えるほど、彼女は奥歯を噛みしめ、歯が砕けるほどの力で、怒りのあまり床を強く踏み鳴らした。彼女が怒りに震えている頃、場所は透子の家に移る。理恵は投稿の文章を編集していると、ちょうど雅人から写真が届いた。彼女は一枚ずつスライドして見ていき、かなり意外に感じた。雅人のような無愛想な男性が撮った写真が、思いのほか優れているなんて。少なくとも、かなりの数の良質な写真を選び出せる。彼がこんな繊細な作業をこなせるとは想像もしていなかった。理恵は画像加工の必要性さえ感じなかった。夕陽の自然な光が美しく映り込んでいる上に、彼女自身の容姿が優れているから、特に加工は不要だった。そのまま、まとめてインスタグラムに投稿した。投稿後まもなく、兄の聡がそれに気づいた。彼は、妹が今日、雅人を「カモ」にしに行ったことを知っていたが、ソファ一面を埋め尽くすショッピングバッグの山を見て、思わず眉をひそめた。もちろん、彼が雅人のためにお金を惜しんでいるわけではない。ただ、自分の妹が本当に買い物し過ぎで、まるで店を丸ごと買い占めたのではないかと思ったのだ。しかも、これだけの量の買い物なら、さぞかし長時間歩き回ったことだろう。彼女の足首のことが気になり、聡は確認のメッセージを送った。妹が終始セグウェイに乗り、雅人が徒歩で、午前九時から午後五時まで付き添ったと知った時、聡は一瞬言葉を失った。なるほど……理恵に目を付けられるとは、雅人も災難だったな。だが、美月が先に手を出したのだ。雅人にも責任の一端はあるだろう。【服やバッグや靴を買わせただけじゃなく、荷物持ちとカメラマンもやってもらったわよ。インスタにアップした写真は、橘が撮影したものだから】さらに、理恵は「おまけ」として、インスタには掲
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