ふとした瞬間、彰人は確信が持てなくなった。彼女が本当に眠っているのか――それとも、すでに目を覚ましているのか。もし起きているのだとしたら、車の中でこんなことをするのは嫌がるはずだ。願乃はもともとそういうのを好まない。無理強いするつもりもなかった。だが、かすかに震えるまつ毛が、彼女がとっくに目覚めていることを告げている。しかも、その手は遠慮なく彼の腿に置かれ、触れるか触れないかの曖昧な仕草で、どこか挑発的だった。彰人は身を寄せ、彼女の小さな顔を覗き込む。「願乃……あんまり煽るなよ」低く含んだような笑いが車内に落ちた。願乃はゆっくりと目を開け、そのまま身体を預けるようにして彼に寄り添い、首に腕を回す。声は甘く、とろけるようだった。「どうして、起きてるって分かったの?」彰人は視線を落とし、真剣な眼差しで彼女を見つめる。そして同じく真面目な口調で答えた。「お前のことなら、何でも分かるからな」あまりに真面目に言うものだから、かえってその響きに、かすかな色気が滲む。願乃は彼にしがみついたまま、その整った顎のラインを見つめ、ゆっくりと唇を寄せて軽く噛む。「この時間なら、清席はもう寝てるよね。上に戻ったら……起こしちゃうかな?」彰人は後部座席をちらりと見やり、分かりきったことをあえて口にする。「ここで、ってことか?」願乃は彼の頬をそっと撫でた。「たまにはいいでしょ。ねえ彰人……なんだか今、昔のあなたに戻ったみたい」彰人は何も言わなかった。言葉など、もう必要なかった。ここまで彼女が自分から求めているのに、ためらう理由はどこにもない。車を降りると、彰人はまず後部座席のドアを開け、それから助手席のシートを倒して願乃を抱き上げた。そのまま後部座席へと移すや否や、ドアを閉めるのも忘れて、彼女に口づける。次第にその口づけは深まり、やがて抑えきれない熱となって、長く燃え続けた――――どれほど時間が経ったのか。すべてが終わると、願乃は彰人の胸に身を預けたまま、ぐったりと寄りかかっていた。手で彼の顎をなぞりながら、わざと甘えるような声で言う。「ねえ彰人……ちょっと悪い人になった?昔はこんな感じじゃなかったのに」彰人は低く笑い、否定はしなかった。彼女の言うことはたいてい当たってい
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