All Chapters of 私が去った後のクズ男の末路: Chapter 1261 - Chapter 1262

1262 Chapters

第1261話

ふとした瞬間、彰人は確信が持てなくなった。彼女が本当に眠っているのか――それとも、すでに目を覚ましているのか。もし起きているのだとしたら、車の中でこんなことをするのは嫌がるはずだ。願乃はもともとそういうのを好まない。無理強いするつもりもなかった。だが、かすかに震えるまつ毛が、彼女がとっくに目覚めていることを告げている。しかも、その手は遠慮なく彼の腿に置かれ、触れるか触れないかの曖昧な仕草で、どこか挑発的だった。彰人は身を寄せ、彼女の小さな顔を覗き込む。「願乃……あんまり煽るなよ」低く含んだような笑いが車内に落ちた。願乃はゆっくりと目を開け、そのまま身体を預けるようにして彼に寄り添い、首に腕を回す。声は甘く、とろけるようだった。「どうして、起きてるって分かったの?」彰人は視線を落とし、真剣な眼差しで彼女を見つめる。そして同じく真面目な口調で答えた。「お前のことなら、何でも分かるからな」あまりに真面目に言うものだから、かえってその響きに、かすかな色気が滲む。願乃は彼にしがみついたまま、その整った顎のラインを見つめ、ゆっくりと唇を寄せて軽く噛む。「この時間なら、清席はもう寝てるよね。上に戻ったら……起こしちゃうかな?」彰人は後部座席をちらりと見やり、分かりきったことをあえて口にする。「ここで、ってことか?」願乃は彼の頬をそっと撫でた。「たまにはいいでしょ。ねえ彰人……なんだか今、昔のあなたに戻ったみたい」彰人は何も言わなかった。言葉など、もう必要なかった。ここまで彼女が自分から求めているのに、ためらう理由はどこにもない。車を降りると、彰人はまず後部座席のドアを開け、それから助手席のシートを倒して願乃を抱き上げた。そのまま後部座席へと移すや否や、ドアを閉めるのも忘れて、彼女に口づける。次第にその口づけは深まり、やがて抑えきれない熱となって、長く燃え続けた――――どれほど時間が経ったのか。すべてが終わると、願乃は彰人の胸に身を預けたまま、ぐったりと寄りかかっていた。手で彼の顎をなぞりながら、わざと甘えるような声で言う。「ねえ彰人……ちょっと悪い人になった?昔はこんな感じじゃなかったのに」彰人は低く笑い、否定はしなかった。彼女の言うことはたいてい当たってい
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第1262話

翌朝、真っ先に現れたのはひどい隈を目の下に浮かべたモナだった。手には、5カラットのピンクダイヤのリング。昨夜、どれだけ駆け回ったのかは想像に難くない。残業代でもなければ、とてもやっていられない仕事だ。――まったく、社長は本当に次から次へと……いい歳をして、再婚なのにこんなに急ぐ必要ある?心の中で毒づきながらも、結局きっちり用意してしまうあたりがモナらしい。その日の朝、二人は人目を避けるようにして役所へ向かい、ひっそりと婚姻届を提出した。とても控えめな再出発だった。手続きを終えたあと、彰人はその場で願乃に白いベールを買い与え、そっと頭にかける。シンプルな黒のワンピースに、白いベール――それだけで、彼女は息をのむほど美しかった。写真を撮るとき、願乃は彼の腕に軽く手を添え、あの頃と変わらない笑顔を浮かべる。撮影が終わると、彰人はふと顔を寄せ、彼女の額に口づけた。そしてそのまま、大切なものを扱うように、静かに抱きしめる。言葉は、しばらくなかった。願乃は彼の胸に頬を寄せ、小さな声で囁く。「ねえ彰人……こんなの、見られたら笑われちゃうよ」「笑わせておけばいい。今、すごく抱きしめたい」――再び、彰人は彼女の頭に口づける。願乃、ありがとう。まだ、俺を愛してくれて。周防願乃、ありがとう。俺を愛してくれて。二人は誰にも告げずに再び夫婦になった。それからの日々。願乃は以前のように会社へはあまり顔を出さなくなった。別に彰人に依存しているわけではない。働きたい人は働き、好きなことをしたい人はそれをすればいい――ただそれだけのこと。彼女は再び慈善活動に力を注ぎ、その活動は見事なものだった。ある慈善パーティーの場で、願乃は改めて彰人を紹介する。「私の夫です」と。指先に輝く結婚指輪はシャンデリアの光を受けて、眩しいほどにきらめいていた。そして同時に、彼女は発表する。個人資産四千億円を拠出し、孤児の子どもたちの食事支援のための専用基金を設立すると。会場は一瞬にして静まり返った。この規模の寄付は、常識をはるかに超えている。数億円でも十分すぎると言われる中で、その桁違いの額に、誰もが息を呑んだ。そしてそれは、彰人にとっても同じだった。彼は知っている。
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