ダークカラーの家具に、グレーのシーツ。そこは休憩室のベッドだった。それだけで、結安には巨石エンターテインメントの実権者がすでに入れ替わったのだとわかった。そうでなければ、彼がこんな場所で女性を泊めるはずがない。彼はそういうことに人一倍こだわる男だ。それに、枕に残っているのは彼の匂いだけだった。結安は細い身体を枕に預けながら、ぼんやりと考える。これから先、この場所は彼が女優たちを招き入れる場所になるのだろう。それが自分かもしれない。あるいは、別の誰かかもしれない。――昔から、彼は驚くほどスタミナのある人だった。背後には、鍛え上げられた男の体温がある。男は彼女の艶やかなロングヘアを指先でもてあそんでいた。正直なところ、悪くなかった。彼女はもう幼い少女ではない。彼もまた、痛くはないか、不快ではないかと気を遣う必要はなくなっていた。だから先ほどは、自分の欲望の赴くままに振る舞った。だが、それでも満足はしていないらしい。やがて男は冷えた声で言った。「起きろ」ベッドの上に服が投げられた。黒のスキニーパンツに白いTシャツ。その上から羽織るネイビーのジップアップジャケット。おそらく桐生が急いで買ってきたものだろう。結安はシャワーを浴び、その服に着替えた。着てみると驚くほどサイズが合っている。一方の男はすでに身支度を終えており、淡々とした目で彼女を見ていた。先ほどまでの余韻など微塵もない。まるで用事を済ませて立ち去るだけのような顔だ。床から天井まで届く窓の向こうでは、街に灯がともり始めていた。男は煙草を一本取り出し、ゆっくりと煙を吐く。そして彼女を見つめた。悪くない。先ほどよりはずっとまともな姿になった。だが、まだ直すべきところがある。しばらくして煙草をもみ消し、言った。「まずは飯だ」そのあとサロンへ連れて行き、髪をストレートにさせるつもりなのだろう。こんな派手な巻き髪はもう二度と許さないと言わんばかりに。結安が彼に連れられて外へ出るときには、サングラスをかけていた。メイクを落とし、服も着替えていたため、誰にも気づかれなかった。入口で待っていた小野ですら、目の前の女性が自分の上司であるシェリーだと気づくまで時間がかかったほどだ
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