彼女は、ついに真正面から問いただした。章真は怒らなかった。今の自分には、怒る資格などないと分かっていたからだ。彼は手にしていた箸を静かに置き、結安の顔をじっと見つめた。まるで何でも話し合えると言わんばかりの穏やかな表情だった。「分かった。じゃあ、想乃の親権について話そう。親権はお前に渡してもいい。ただし、条件がある」「……条件?」男は彼女の小さな顔を見つめながら、ゆっくりと言った。「一生、結婚しないこと……そして、恋人も作らないこと。もし破ったら、想乃の親権は俺が取り戻す。それから、約束事を書面に残す。お前は恋人を作らない、結婚しない。そして俺にはいつでも想乃に会う権利を認める。毎週2、3日は想乃を楓ヶ丘邸に連れて帰る権利も持つ。それと、最低でも月に二回は家族で食事をする。簡単に言えば……三人で食卓を囲む。遊園地に行くことも含めて」……結安はゆっくりと瞬きをしながら、彼を見つめた。――本当に、図々しい人。自分がいらないと言った時は、好き勝手にしていたくせに。女優と付き合い、恋人を作り、今になって自分と一緒にいたいと言い出す。そのくせ、自分には恋人も結婚も許さない。挙げ句の果てには「家族三人」で食事をしようと言う。結安は迷いなく言い返した。「私たちは、一度も家族三人なんかじゃなかった。せいぜい、想乃の父親と母親。それだけよ。あなたが想乃に会う権利を持つことは否定しない。でも、私はあなたと仲睦まじい夫婦のふりをするつもりはない。そんな必要なんてないから。あなたは橘川美玲と結婚寸前だったでしょう?葉山章真。本当に妻が必要なら、今からでも彼女を取り戻せばいい。あなたの年齢で、これから自分に合う若い女性を探すのは簡単じゃないでしょうし。でも私は戻らない。そんな契約書にサインするつもりもない」彼女の声には、一切の揺らぎがなかった。章真は低く笑った。「署名したくないなら、しなくていい。俺が想乃を育てればいいだけだ。お前が会いたいなら、楓ヶ丘邸まで来ればいい」……「どういう意味?」結安の問いに、章真は答えなかった。けれど、その意味はあまりにも明白だった。――子どもに会いたいなら、黙って楓ヶ丘邸へ来い。結安は静かに箸を置いた。もう、何
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