章真が動いたことで、その若手タレントの芸能人生は完全に終わった。ようやく少し名前が売れ始めた矢先、自らすべてを台無しにしたのだ。その夜、彼女はテレビカメラの前で涙ながらに窮状を訴えたが、世間もファンも同情しなかった。一方、結安のファンたちはようやく胸を撫で下ろし、次々とコメントを寄せた。【正直、葉山さんを義兄として受け入れるのは今でもかなり複雑。ずっと様子見だったし、スキャンダルが出たときは『結安ちゃん、男を見る目なかったんじゃない?』って本気で思った。でも今回を見る限り、葉山義兄、とりあえず誘惑には耐えたらしい】【まあ、もう少し様子見かな】【今のところ、まだ特に好きではない】【私はやっぱり藤堂駿派】【でも駿って結婚したんじゃなかった?】……そんなこんなで、また一日中ネットを賑わせる騒ぎとなった。結安だけは、その件について二度と口にしなかった。そうして、あっという間に週末がやってきた。本来なら、章真も結安と一緒に同窓会へ行くつもりだった。駿が帰国するというのに、自分が行かないわけにはいかない――少なくとも章真はそう思っていた。ところが急な問題が起きた。H市の支社でトラブルが発生し、しかも章真本人が出向かなければ収拾できないという。金曜の夕方、章真は一度楓ヶ丘邸へ戻ってきた。その表情には、珍しく憂いが滲んでいる。結安はリビングスペースで台本を読んでいた。出張のことなら、すでに桐生から聞いている。章真はH市へ行かなければならない。結安としては、むしろ好都合だった。同窓会に夫まで連れていくなんて、どう考えても気詰まりだ。それに、駿には会いたいと思っていた。結婚して、妻との間には子どもも生まれたと聞いている。きちんと「おめでとう」と伝えたかった。昔とは何もかも変わってしまったとしても、かつて大切だった人が今、幸せに暮らしている。それは素直に嬉しいことだった。ドアが開き、章真が入ってきた。結安は台本を置き、自然に立ち上がる。「もう出るの?荷物ならまとめてあるわ。クローゼットに置いてあるから、持ってくるね」章真はスーツのボタンを外しながら、片手で彼女の細い手首を掴んだ。そのままドアに鍵をかける。次の瞬間、結安の身体はソファへ押し倒されていた。
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