先ほどの激しい交わりのせいか。帰りの車内では、二人の間に何とも言えない空気が流れていた。結安は何も言わず、ずっと黙ったまま窓の外を見ている。ただ、横顔を見れば、首筋にはっきりと赤紫色の痕が残っていた。あまりにも激しかったのだろう、隠しきれないほど目立っている。章真も決して余裕があるわけではなかった。背中には、彼女が残した爪痕がいくつも残っている。乱れて重なった痕跡を見れば、二人がどれほど感情を抑えられなかったのか分かるほどだった。章真はしばらく彼女の横顔を見つめ、喉を上下させた後、静かに尋ねた。「戻ったら、主寝室にする?それとも東側の部屋にする?」結安は少し考えてから答えた。「……主寝室でいい。想乃に気づかれたくないから」少なくとも、妊娠するまでは。娘に余計なことを悟らせたくなかった。章真は頷いた。「そうだな。そのほうがいい」結局のところ、やはり気まずさは拭えなかった。今まで、こんなふうになったことなどなかった。いつも一方的に理性を失っていたのは章真のほうだった。結安がここまで激しく感情をさらけ出したことは、一度もなかった。……楓ヶ丘邸へ向かう道中。章真は車の窓を少し開けた。そうでもしなければ、まだ身体の熱が収まらなかった。彼は昔から欲望が強い男だった。長く我慢している間は抑えられるが、一度溜め込んだものが解放されると、簡単には止まれない。けれど、結安は何かをする必要すらなかった。ただ彼のそばにいる、それだけで章真にとっては何よりの媚薬だった。それでも、章真は何も見せず、いつもの冷静な表情を保っていた。30分後。ロールス・ロイス・ファントムは、ゆっくりと楓ヶ丘邸へ入っていった。屋敷全体には、重い空気が漂っていた。使用人たちは皆、想乃が白血病だと知っている。だからこそ、いつも以上に慎重に、そして優しく彼女を見守っていた。車が停まると、章真は先に降り、後部トランクから結安の荷物を取り出した。そこへ蝶野が迎えに出てくる。声を落として言った。「先ほど目を覚ましたんですけどね……学校に行きたいって騒いでいて、どうしたらいいのか分からなくて」蝶野は人生経験のある女性だった。章真と結安の距離感を見れば、すぐに何かを察した。男女が深く結ばれ
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