俊則はそっとため息をついた。さっきのジュウゴの言葉を思い出し、心は罪悪感でいっぱいだった。「早く行け。俺のせいで、彼女は半年も苦しんだ。何か償いをしなければ、気が済まない」大翔は言い淀んだ。もうとっくに、風歌様に借りなどないというのに!だが、大翔には分かっていた。ボスは風歌を愛しすぎており、あらゆる手段で彼女の機嫌を取ろうとしている。あまりにも、惨めな愛し方だ!大翔は心から彼を不憫に思ったが、どうすることもできなかった。……風歌は目を覚ました。真っ先に、体にキスマークが残っていないか確認した。ソファの上は掛け布団がきちんと畳まれていた。どうやら昨夜、俊則は機に乗じて自分に手を出したりはしなかったようだ。律儀にソファで寝てくれるなんて、意外とちゃんとした男だ。噂で聞いていた彼とは少し違う。昨夜、意識を失う前に起こったことは自分もまだ覚えていた。しかし、昨夜は酒を飲んでいたせいで、頭が冷静ではなかった。俊則のことは不可解すぎる。もう一度、調べる必要がある。吉田家の当主から朝食の誘いを受けた時、最初は断るつもりだったが、俊則の件を思い出し、受けることにした。食卓で、風歌は御当主と世間話をする合間に、探りを入れた。「お爺さん、伺ったのですけれど、とし様は半年前にお戻りになったとか?昨夜ご本人をお見かけしましたが、とても素敵な方でしたのに、どうして『醜い』などという噂が?」御当主は顔色も変えずに言った。「あいつがS市で地位を確立してから、言い寄ってくる令嬢が後を絶たなくてな。本人がそれを嫌い、わざと流させた噂だ」「そういうことですね」風歌はにこやかに笑い、続けた。「ではあの方は昔から今のようなお顔立ちで?」「もちろんだ」当主は不思議そうに彼女を一瞥した。その皺だらけの顔はごく自然だ。風歌は笑みを深めた。「とし様があまりに素敵なので、昔のお写真はないものかと思いまして」「写真はない。あやつは写真を撮られるのが大嫌いでな」写真嫌い?その点は俊永とよく似ている。彼女は黙り込み、朝食を続けた。帰りの車の中。彼女は恵美が以前ミスティックバーで言っていた言葉を思い出した。恵美は言った。「俊則兄さん、可哀想なのよ。半年前、任務から帰
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