「ミハイル ! どうしたの !? 急に」 慌てて玄関まで出てきた真理に、ミハイルは微笑み、ゆっくりとハグをして肩を抱く。「何も。君のグリーンティーを飲み忘れたのを思い出して戻っただけさ。煎れてくれ」「ええ ! 勿論よ」 金髪に青い瞳。ルキより男らしい顔つきと広い肩幅。 そのミハイルに真理は、心臓が激しく感じていた。「お抹茶もあるけど、どうする ? 」「いつものやつでいい」「そう。 ……日本にまだいたのね」 早々と真理がボロを出す。ミハイルが経ったとルキに聞いて油断していたと言う事。「ルキはここに来てるんだな」「え……あ、いえ。今回はたまたまみたいよ…… ? 」「どうした ? 何も隠すことは無い。お前はルキの良き母親だ。ここに来たがるあいつの気持ちを束縛するつもりは無い。 それに真理。そのドレスもだ」 ロングヘアが乱れたまま、フォーマルな装いをした真理の生活は、ミハイルからすれば手に取るようにバレてしまう。「思い出すな。俺も若かった。いつでも綺麗に居てくれ、とは言ったが……。それは昔の事だ」「いいえ。ただ、ご近所さんから浮かないように振舞おうと。面倒は困るし」「今、この城で何がドレスコードなのかは君が決めるべきだし、俺は口出ししないさ」「……ええ。でも、いいのよ。たまにこうして会うくらいの時は女でいさせて。ただ、事前に連絡が欲しいわ。 あなたの前にいる時は、あなたに見合った女でいたいの。 ……おかしい ? こんな年齢になってからもそんな事言う女って……」「いいや。素敵さ」 真理の側に座ると、そっと髪に口付ける。「ルキはどんな様子だ ? 」「いつも通りよ。相変わらず敬語だし、素直じゃないしね」「あいつのことになると嘘が下手だな」 ミハイルは差し出された湯飲みに一度、唇をつけると懐から何かの写真を取り出す。 パサっと音を立ててローテーブルに散らば
Last Updated : 2025-08-09 Read more