ルキのプライベートルーム。 未だ点滴をしている蛍はルキの息がかかった一般の病院へ転院扱いとなる。美果と行った課外活動で足を滑らせ唐竹が刺さったという診断で押し通す。蛍も同意した。 大学にも口裏合わせと多少の御礼も含めて、移動には時間がかかっていた。 今頃、結々花も駆けずり回っていることだろう。 ルキと美果は再びここに戻ってきたが、昼に映画を観ていたスクリーンは片付けられ、空調もベッドメイクもしっかり整えられていた。 そして大きな窓の側。 小さなアンティーク調のコーヒーテーブルが置かれていた。 向かい合うように座る二人。 白いアクセントクロスに、シャンパングラスともっきりがおかれていた。「枡で出すなんて最高」 テーブルの側には数種類のグラスのはいったキャビネット。その上にアイスペールにはいったシャンパンが冷えていた。「熱燗の方がよかったかい ? 」「折角だし、木の香りを楽しむわ」「あいつはね、ガタイは強そうなんだけど。こういう気遣いの方が得意みたいなんだ。面白いだろう ? 」「スミスって人 ? そういえば、ゲームの時も説明が丁寧だったし、眼鏡のお兄さんより威圧感も無いわね。 いやぁ……そんな事より、あのさぁ。別にソファで飲んでも変わんないんだけど……。なんであんたとカップルのディナーみたいな絵面で向かい合わなきゃなんないのか……」「美果ちゃん、飲む前にそういうの良くないよ……もー」 部屋から見える景色は既に夜。 コンテナターミナルの外灯と、遠くに見える漁船や海岸沿いのクレーンの誘導灯の妖しい輝き。 確かに旅行中の恋人同士と言っても過言では無い落ち着いた空間だった。「さぁ、いただこうか。遠慮なくどうぞ」「ええ、ありがとう。折角だし、酌くらいするわよ。このシャンパンでいいの ? 」「ああ、ありがとう」 お互い相手の酒を注ぎ合う。
Terakhir Diperbarui : 2025-06-01 Baca selengkapnya