「美果ちゃん ! 美果ちゃん美果ちゃん !! あっははは ! 同じだよ !! 美果ちゃんもケイに拘ってるじゃない ! 」「こ、拘りじゃない ! わたしはケイくんを心配して……」「違うね」 ルキは美果を見据えると、キッパリと言い放つ。そして悪意のある笑みで語り始めた。「俺は思う。君、ケイの事なんか気にしてないだろ ? 君が住むのは自己肯定感の世界だ。 ここに来た本当の目的は復讐さ。前回、君を評価しなかった俺への恨みが動力源。ケイを助けるなんて口実だろ。 美果ちゃんも、俺たちの仲間に変態したんだよ。だから、自分を俺に認めさせないと気が済まない。 自分の興味のない相手なら二度と会わなくていいのに、どうしても俺が許せなかったんだね ? 」「……っ」 何も言い返せなかった。 美果は蛍と関わり、蛍を知れば知るほど深みにハマってしまったのだ。 歪んだ世界は一度触れると、時に、飲み込まれてしまうほど魅力的に溺れることがある。「あぁ、そだそだ。絵をおしえて一ヶ月くらい経つんだっけ ? 知ってるよ ? 美果ちゃん、ケイの絵ってどうなの ? よくシリアルキラーの描いた絵の展覧会やってるじゃん ? あんな感じ ? それとも……その様子だと、もっとイイの ? 」「…………」 蛍が描く絵はどれも個性的だが、芸術的センスが飛び抜けて目立つ訳では無かった。 だが、独特な狂気が存在した。 アートセラピーと言うカウンセリングがある。上手く自分を表現出来ない、または説明が上手く出来ない感情をケアする目的で絵を描くのだ。 美果の専攻では無いが、その絵を見た時。自分に関しての話をあまりしない、蛍の中にいる獣が、ようやく美果に可視化出来た瞬間でもあった。 そしてその奇妙なドス黒い感情をぶつけたスケッチブックに、とてつもない魅力を感じてしまったのだ。「ねぇ、美果ちゃん。教えてよ」「貴方になんか教えたくも見せたくも無い。触れさせないわよっ !! 」「くすくす。そんなにムキにならなくても !! 美果ちゃん、君は蝶だったんだね ! さぁ、その羽の色を見せてご覧よ。 この俺にお願い事をするんだ。君が俺に差し出せるものはあるの ? 」「え ? ……えと、お金は……」「まずオークションを一旦、止める事。 ケイを家に帰す事
Last Updated : 2025-05-22 Read more