「それで……ここからいったい、どうするのですか?」 逃げに逃げてたどり着いた教室。出口のゲートがある教室。そこに先生の声が響き渡る。「はぁはぁ……これ、は……」 呼吸を整えながら、教室の後ろの戸……本来ゲートが開いているはずのそこを見る。そこに入った時のようなゲートの光は無く、ただ開きっぱなしになった戸の向こうの廊下が見えるだけだった。「ゲートが……閉じてる……」 皐月も……この状況を意外とは思っていないようだけれど、悔しそうに眉間にしわを寄せる。そうして教室の中で足を止めていると、開かれていた戸が全てひとりでに閉まった。「さぁ、どうします? 見せてくださいよ。証明してください……あなた方があなた方の言動に見合う能力を持っていると……。それとも……」 音もなく……教室の中心に先生が現れる。姿を現すや否や、先生の呼び名に似つかわしくない行儀の悪さで机の上に足を組んで腰かけた。「……それとも、もう手も足も出ませんか……?」「こいつ……最初からこうなるのが分かってて……。本当悪趣味……」「なんとでも言ってください。どの道もう……あなたたちの運命は決まっています。安心してください、二人とも……命を失うことはありませんから。これはわたしのあなたたちに対する最後の誠意であり、その悲しき定めへの同情でもあります」 皐月の言葉に先生は相変わらず分かるような分からないようなことを言って答える。そういう部分も含めて……皐月の「悪趣味」という言葉には全面的に同意だった。 現れた先生は、既に皐月があの時つけたはずの傷が無い。皐月が「あの程度の傷では先生の生命に影響はない」とは言っていたが、まさか痕跡を残さずに完全にふさがっているとは思わなかったために思わず言葉に詰まった。「さて……まずは一つ……あなたのことを確認させていただきましょう。結局どのように目覚めたのかは明らかでないですからね。あなたがどのように起源への郷愁に抗ったのか、今後の参考にさせていただきましょう」「んなっ……!?」 俺がこの期に及んで無防備すぎたのもあるかもしれないが、先生はクイと人差し指を動かすだけで俺の体をその眼前まで引き寄せる。先生は俺の体を眺めながら「別にわざわざわたしから出向く必要も本来は無いのですよ」とつまらなそうに語った。「くっそ、放せ! いや、放せ……であ
최신 업데이트 : 2025-10-11 더 보기