「ええと……つまり、どういうこと?」 戦いの後、俺は先ほどの発見について黒の空間でハナさんたちに話していた。倉井さんは特に表情を変えないが、ハナさんは分かったような分からないような……少し混乱した表情を浮かべている。「ですから、えっと……まぁ、とにかく! 一度行ってみた方が早いでしょう!」 俺は一旦言葉での説明を放棄して、俺たちが今立っている足元を指さした。百聞は一見に如かず、実際にこのダンジョンの実際の構造を見てしまえば……たとえ理解できなくとも感覚的に大体つかめるだろう。「いいですか……?」 最終確認のつもりで、二人に声を投げかける。ハナさんはもう少し何か言葉での説明を求めるように倉井さんに視線を向けるが、もう色々と理解できている様子の倉井さんはそれにただ黙って頷くだけだった。ハナさんも、それにしぶしぶ頷く。それを肯定と受け取って……。「じゃあ、やりますよ……」 俺は先ほどもそうしたのと同じように、地面に向かって攻撃を放った。もう慣れてきたもので、大体必要な力加減も分かってきている。だから何の苦労もなく、再び足場を崩壊させられた。「わわ……」 崩れて不安定になった足場に驚いて、ハナさんが数歩後ずさる。しかしハナさん自身もこれからここに入ってゆかねばならないこと自体は分かっているようで、緊張感を伴った表情で瓦解した空間の穴の縁まで歩み寄った。「大丈夫ですよ。もう一回……こっちに戻ってくるのも含めれば二回落ちてる俺が言うんだから間違いありません」「う……それもそうだね……。けどあたし、その……シンプルに落ちるっていうのが怖いかも……」 穴を見つめるハナさんの表情は、嫌いな野菜をにらめっこする子供のようだ。ハナさんにもなんというか……ちゃんと苦手なことがあるんだなって思うと……どこか親近感が湧いた。「じゃあハナさん……僕は……早いとこ下の景色も撮りたいんで、もう行っちゃいますね。あんまりグズグズしてると穴も閉じちゃうみたいなんで……」「うぅ……倉井ちゃん冷たい~……」「あっ、今カメラ回してるんですから名前呼ばないでくださいよぉ……」 そう言い残して、倉井さんは本当に何のためらいもなく穴へ入って行ってしまう。一回覗くだけ覗いてみるみたいなことをするかなと思っていたけれど、あんな落ち着いた様子でいてこの下に広がっている
Terakhir Diperbarui : 2025-09-01 Baca selengkapnya