「芹沢琴音に薬を盛られたんだ。今……だんだん自分を抑えられなくなっている」蓮の眼差しは苦痛ともがきに満ちており、まるで檻に囚われた野獣のようだった。「正気の時はかろうじて理性を保てる。だが一度発作が起きると……」そう言うと、蓮は拳を固く握りしめ爪が深く掌に食い込んだ。「このままでは取り返しのつかないことをしてしまうかもしれない」苑は彼を見つめ、ようやく事態の深刻さを悟った。「一度きりの事故だと思っていた。でもその後……彼女はますますひどくなっていった」苑はしばらく黙り、冷たい声で言った。「警察に通報することも、治療することもできます。私に後始末をさせる必要はありません」「もう手遅れだ」蓮は首を振り、その眼差しは黯淡としていた。「もう治療は試した。でも発作が起きるたびに、まるで別人のようになるんだ……暴力的で、偏執的で、さらには……母さんをもう少しで傷つけるところだった」蓮は目を閉じ、その声はほとんど聞こえないほど低かった。苑の心臓がどきりとした。蓮は顔を上げ、その眼差しはほとんど懇願に近いものだった。「彼女を連れてここを離れたい。静かな場所へ行って治療に専念するんだ。もしある日回復できたら、朝倉グループを引き継ぎに戻ってくる。もしダメなら……」次に言うべき言葉を思い、蓮は一度言葉を切り、苦笑を浮かべた。「最後にもう一度だけ、俺を助けてくれ。その時、朝倉グループは……君が管理したければすればいいし、したくなければ売ってしまえばいい」風が二人の間を吹き抜け、苑の髪を揺らし、蓮の目の中の最後の希望さえも吹き散らした。苑は長い間黙り込み、ようやく口を開いた。「代行管理するだけです」蓮は一瞬固まり、そして安堵したかのように笑った。「ありがとう」「礼を言う必要はありません。どうあれ朝倉グループには私の心血も注がれています。あなたの手で滅びるのを見たくないだけです」苑は顔を背け、もう彼を見なかった。蓮は頷き、ポケットから一枚の書類を取り出して彼女に手渡した。「これは株式譲渡契約書と俺の委任状だ。もう公証も済ませてある」苑は書類を受け取り、ぱらぱらと数ページめくり、問題がないことを確認してバッグにしまった。「いつ発つおつもりですか?」「早ければ早いほどいい。君が数日考
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