哲也は床に膝をつき、遠ざかっていく足音を聞きながら、ずるずると背中を丸めていった……後悔しているかって?とっくに後悔していた…………一方、誠也と安人が病院に駆けつけると、優希は綾の胸で声をあげて泣いていた。優希の泣き声に、父親である誠也も思わず目頭を熱くした。安人は奥歯をギリリと噛みしめ、今すぐにでももう一回栄光グループに乗り込んで哲也を殴りつけてやりたい衝動にかられた。そこへ、大輝と真奈美が慌ててやって来た。しかし、安人が病室のドアの前に立ちはだかり、二人を中に入れようとしなかった。大輝は自分たちに非があることを分かっているので、何も言えず、無理に入ることもできなかった。真奈美は目を真っ赤にして、安人に懇願した。「安人、お願い。私たちを中に入れて、優希の様子を見させてくれないかしら?」そう言われると、安人も真奈美に強くは出られず、どうすればいいかと綾に視線で問いかけた。すると、泣いていた優希が彼に向かってこくりと頷いた。それを見て、安人はようやく道をあけた。「どうぞ」真奈美はすぐにベッドのそばに駆け寄り、綾と優希に言った。「ごめん。来るのが遅くなってしまって」それを聞いた誠也は唇を引き結んでため息をつき、ドアのところまで行くと、大輝に声をかけた。「石川さん、少し外で話そう」大輝もため息をつき、誠也の後について病室を出た。病室のドアが閉まると、誠也は大輝に向き直った。「俺たちは事情を知る仲だ。哲也が記憶をなくし、心に問題を抱えていることも分かっている。だから、彼の行動にはどうしようもない部分があったのかもしれない。でも、9年間、優希は十分すぎるほどやってきたはず。結局、優希は哲也を救えなかったんだ。むしろ彼がずっと優希を苦しめ、彼女の重荷になってきた。なあ石川さん、俺たちの仲だ。あなたにだって娘がいる。もし彼女がこんな男に何度も傷つけられたとしたら、あなたは黙っていられるか?」大輝は重い表情で答えた。「分かっている。これまでずっと、哲也が優希を傷つけてきた。今回のことは、いくらなんでもひどすぎる。彼をかばうつもりは毛頭ない」「優希と安人は、綾が命がけで産んでくれた、かけがえのない宝物だ。優希は小さい頃から強くて明るい子だった。ただ、俺たちが過保護に育てすぎたのかもしれない。あまりに素直で
Leer más