All Chapters of 誰が契約結婚だって?ハイスぺCEOは私しか見ていない: Chapter 141 - Chapter 150

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141.男の気持ち、結婚挨拶

「そんなんじゃないけど……。」私は慌ててスマホの画面を伏せた。しかし、佐藤くんは興味津々でこちらを見ている。彼は私の隣の席に座ると、さも当然のようにコーヒーを一口飲み、続きを促すように私を見つめた。私は観念し、両親への正式な挨拶へ行くこと、そして初めて顔を合わせたのがテレビ電話越しで、しかも啓介がスウェット姿だったことを話した。それを聞いた佐藤くんは、腹を抱えて豪快に笑い始めた。その笑い声は、休憩室中に響き渡り、周りの同僚たちがチラリとこちらを見た。「いやー、それは男としたら気にするよ!マジかよ、スウェットはねーわ!ドラマとかでもあるじゃん。スーツをバシッと決めて、『娘さんを僕にください!』的な挨拶。それくらいの気合いで臨まなきゃ、って男は思ってるもんだって。」佐藤くんは涙を拭いながら熱弁する。「戦に行くのに武器なし、防御する盾もなく向かうようなものだって。そんな状態で大切な戦に挑めるかよ、社長さんだってそう思っただろうよ!」彼の例えに、私は再び苦笑した。確かに、啓介も後で「あの時は焦った」とこっそり私に打ち明けていた。「戦って。うちの親、そんな攻撃的な感じじゃないけれど。」「会ったことないなら、どんな相手か分からないから身構えるもんだって
last updateLast Updated : 2025-07-29
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142.ファインプレー佐藤の名言

「坂本の親に挨拶ってことは、社長さんの家の問題は解決したんだな?」佐藤くんの眼差しが急に真剣になった。彼が、私がこの数ヶ月で経験してきた困難を、どこまで知っているのかは分からない。しかし、彼が私を気遣ってくれていることは確かだ。「うん、お母さんも承諾してくれた。」「あのDVDのことはちゃんと話せたか?」さっきまでの陽気な声とは違い、周りには聞こえないようボリュームを下げて低く冷静な声になっている。あのパーティーで映像を担当していた佐藤くんは誰よりも早く、DVDの中身を確認していた。そして、機転を利かせ少しだけ流した後に本来流す映像に切り替えたのだ。その際に会場にいる人たちの表情を観察し、動揺や怒りなど他の招待客と違う反応をしている凜を姿を見つけていた。佐藤くんの洞察力と瞬時の判断力には感心させられる。「うん、啓介に伝えてお母さんからもちゃんと話を聞くことが出来た。映像が流れなくて本当によかったって泣いていたよ。佐藤くんのおかげ。本当に助かった、ありがとう。」私は心からの感謝を伝えた。彼の機転がなければパーティーは修羅場と化していたはずだ。「問題が解決して良かったよ。それに俺は任された仕事をしただけで大したことはしていないよ。なんたってプロだからな!」今日の佐藤くんはい
last updateLast Updated : 2025-07-30
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143.立場逆転!啓介の緊張

早速、母に電話をかけると私の報告に弾んだ声が返ってきた。「もちろんよ!私たちはいつでもいいんだけど、三奈が啓介さんに会いたいって言ってるのよ。今度の連休はどう? みんなで一緒にご飯食べましょう!」母の声からは、私以上に喜んでいる様子が伝わってきた。妹の三奈も前回のテレビ電話で啓介のことをかっこいいと興奮気味で何度も口にしていたことを思い出す。こうして来月の連休に、実家への訪問が決定した。週末、二人で連休の計画を立てていると、啓介は一大プロジェクトの準備をするかのように、真剣な顔で私に問いかけてきた。「どんな服装がいいかな? やっぱりスーツかな? フォーマルすぎると引かれるかな。でも、砕けすぎても失礼だし……。あと、手土産は何がいいかな? お父さんの好みは? お母さんの好きなものは?」その質問攻めに私は思わず目を丸くしてしまった。普段のクールで冷静な啓介からは想像もつかないほど、緊張しているのが分かる。「えー、そんなに気にしなくても大丈夫だよ。適当でいいって。うちの親、そんなに堅苦しいタイプじゃないし。」私は笑いながらそう答えたが、啓介は首を傾げた。「そんなこと言って。俺の実家に行くときは佳奈もこんな感じだったのに、なんか立場が逆転したみたいだな。」啓介はわざと少しだけ
last updateLast Updated : 2025-07-30
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146.温かい歓迎と嵐の前の静けさ

当日、新幹線と在来線を乗り継ぎ実家へ向かった。タクシーから見える海岸沿いの景色を眺めながら、ここで佳奈が育ったのかと思うと親近感が湧いた。「ここで佳奈が育ったのか……。」俺の故郷とは全く異なる開放的でどこか懐かしい風景。佳奈の明るくおおらかな性格はこの土地で育まれたのだろうか。やがてタクシーは海から少し入った住宅街の一角に止まった。「ただいまー!」佳奈は全く緊張する素振りもなく玄関を開ける。ご両親は家庭菜園が趣味らしく庭にはところ狭しと野菜が栽培されていた。「ようこそ、啓介くんもよく来たねー。さ、入って入って!」佳奈の言う通り、ご両親は俺のことをまるで昔からの知り合いかのように、温かく歓迎してくれた。自分の実家とは全く違うアットホームで開放的な雰囲気に驚きながらも、俺は彼らの温かさに誘われるように少し遠慮がちに中へと足を踏み入れた。リビングに通されると、佳奈の母・美香さんが出してくれたお茶を飲みながら四人で談笑していた。お父さんの五郎さんは、俺が持参した手土産を手に取り、「おお、これは!美味しそうなものをありがとう。」と満面の笑みで喜んでくれた。社員たちの選定に間違いはなかったようだ。しばらくすると玄関から、ガラガラと少し古びた引き戸の音が
last updateLast Updated : 2025-08-01
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147.質問攻めと惚気

その後も、佳奈の実家で夕食をご馳走になりながら会話は続いた。訪問してから既に四時間以上、リビングで話を続けていることに俺は圧倒されていた。自分の親と、こんなにも長く途切れることなく会話を続けた記憶はほとんどない。父は忙しく平日は帰りが遅く休日も家にいないことが多かった。母も小学生の頃は話をしたが、思春期以降は必要最低限の会話のみだった気がする。だからこそ、佳奈の家族が次から次へと会話の種を見つけ、笑い声が途切れないことに俺は驚きを隠せずにいた。「お姉ちゃんは私と一緒で昔から負けず嫌いで気が強いところあるんですけど、啓介さんは気が強い女性でもいいんですか?」三奈の真っ直ぐな瞳に見つめられ、俺は思わず吹き出しそうになった。俺の母親も最初佳奈に対して「気が強そうだ」と思っていたが、三奈も同じような印象を持っているらしい。だが、俺が佳奈に抱く感情は全く違う。「負けず嫌いは思うけれど、気が強いと感じたことはないかな。」俺は普段感じている佳奈への印象を、飾り気なく、素直に話した。「佳奈さんは、初めて会った時から向上心が強く、目的を持って行動していました。だから、『気が強い』じゃなくて、『芯の強い』自分を持っている女性だと感じています。」そう答えると佳奈は少し照れくさそうに笑っていた。三奈は、目を輝かせ、その後も俺と佳奈の出会いや付き合った経緯など質問攻めしてくる。今まで自
last updateLast Updated : 2025-08-02
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148.佳奈を知る人物の訪問

夕食を食べているとインターホンが鳴り響いた。こんな時間に誰だろう、と皆が顔を見合わせる。母の美香さんが「はーい」と声を上げ玄関へと向かっていくと、すぐに男性の明るい声が聞こえてきた。その声はリビングにまでハッキリと筒抜けだった。「おばさん、こんばんは。佳奈いる?帰ってきたって聞いたからさ、お土産持ってきたよ」「あら、夏也くん。わざわざありがとう。」「これ、佳奈が好きなやつだから食べたいかなと思って。あとこれはおばさん分。三奈ちゃんにこの前せがまれたんだよ。でもその時、現金持ってなくて、今度持ってくるって約束してたから!」美香さんは、その後も夏也という人と立ち話を続けている。声の雰囲気や口調には親しみが込められており、仲がいいことが伺えた。三奈ちゃんも自分の名前が出てきたので、玄関に顔を出しに行ってお礼を言っている。「わー!ほんとだ!夏兄ちゃんありがとう!嬉しい。」「おう、いいよ。三奈ちゃんは妹みたいなもんだから。」佳奈にも声は聞こえているはずだが、俺に気を遣ってか椅子に座ったままだ。「俺が一人になるのを気にしているなら大丈夫だから、佳奈も顔出して来たら?」「あ、うん。ありがとう。それなら少し顔出してくるね」
last updateLast Updated : 2025-08-02
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