佳奈side 実家を訪問して、もしかしたら会うかもと思っていた夏也と顔を合わせた。私と別れた後も、海外に行っている時も日本に戻ってきてからも夏也は私の家族と親交を深めている。家族はみんな、私と夏也が付き合っていたことも、もちろん別れたことも知っている。それでも、小学生の小さい頃から知っている幼馴染として、私がいない今でも顔を出してくれる夏也を、内心、喜んでいた。 「子どもが大きくなると、家に友達が遊びに来ることがなくなるじゃない。まして、佳奈は一緒に暮らしていないから、佳奈の仲良かった友達の顔を見ることがないのよね。だから、たまに『元気にしているのかな?』って思うの。夏也君が顔出してくれると、昔を思い出して楽しいのよ」以前、帰省した時に母がぽつりと言っていたことを思い出す。母にとって夏也は、単なる娘の元カレではなく、幼少期から成長を見てきた可愛い息子のような存在でもあるのだ。母や三奈は啓介の前では気を遣って言わなかったが、頻繁に実家を訪れる夏也を見て、「夏也君、まだ気があるんじゃない?」と何度もからかわれていた。そのたびに私は「もう、そんなことないってば!」と笑って否定していた。私たちの恋は、学生時代にとっくに終わっている。少なくとも、私はそう思っている。私たちはあの日、お互いの未来のために「幼馴染」に戻ったのだ。そこに後悔も未練もないはずだ。 そんな夏也が、啓介の会社に仕事
Terakhir Diperbarui : 2025-08-09 Baca selengkapnya