「一つ目は、近いうちに啓介の誕生日パーティーを開いてほしいということ」母の言葉に俺は首を傾げた。俺の誕生日パーティー? それと結婚に何の関係が?「二つ目。そのパーティーに啓介の知人や仕事関係の方々を大勢呼んでほしいの。そして、そのパーティーの招待や段取りは佳奈さんが主体となって行ってちょうだい。」佳奈は母の言葉に小さく頷いた。「そして、三つ目。そのパーティーで皆の前であなたたちの婚約を報告すること」最後の言葉を聞いた瞬間、俺と佳奈は再び顔を見合わせた。驚きを通り越して戸惑いと警戒心が入り混じった表情になった。(二つ目は佳奈の力量を見極めようとしているのかもしれないと思ったが、婚約の報告を皆の前で?なんでそんな大々的に報告する必要なあるんだ?それに皆の前で報告したら、結婚を既に認めたようなものじゃないか?)母は、そんな俺たちの戸惑いを気にする様子もなくニコリと微笑んだ。その笑顔はまるで全てを見通しているかのようだった。「どうかしら? この条件をクリアできればあなたたちの結婚を心から祝福するわ」母の言葉は、甘く響きながらもどこか重い響きを含んでいた。俺は佳奈の顔を見た。彼女の目にも同じような警戒の色が浮かんでいるのが分かった。これは結婚を認めるための条件ではない。俺たちを試しているかのような、あるいは何かを企んでいるかのようなそんな不穏な空気が漂っていた。「分かりました、お母様。啓介さんのお誕生日を素敵な集まりに出来るよう計画しますね」佳奈は俺の隣で毅然とした態度で母に答えた。その言葉に俺は内心驚いた。(この状況でよく承知できるな……。)しかし、佳奈の瞳の奥には確固たる決意が宿っているようだった。この状況を乗り越える覚悟を決めているのだ。
Terakhir Diperbarui : 2025-06-30 Baca selengkapnya