Semua Bab ロート・ブルーメ~赤ずきんは金色の狼に食される~: Bab 21 - Bab 30

57 Bab

賭け①

 ぱかりと、目蓋が上がった。 微睡(まどろみ)や、意識の浮上とかもなく突然目が覚める。 そうして飛び込んできた目の前の光景に心臓が止まるかと思った。「おはよ」「っ!?」 薄闇の中でもぼんやり光っているような金の髪。 冷たいのに、どこか甘さを含んだ青い瞳。 白磁(はくじ)の様に白い肌はなめらかで、その顔はどこまでも美しかった。 そんな顔が起きたら目の前にあったんだ。 息を止めて固まるのは普通のことだと思う。「美桜?」 不思議そうに紅夜のキレイな形の唇が私の名前を呼んだ。 その唇が私の体のいろんな場所に吸い付いたことを思い出し、今更な羞恥が襲い掛かって来る。「あ、う……こぅ、や?」 口がまともに動いてくれなくてかすれた声が出た。 すると引き寄せられて唇が塞がれる。 そのときになって、私は紅夜に抱き締められながら眠っていたんだと知った。 ついばみ、甘嚙みするようなキスに熱い吐息が混ざり合う。「美桜、お前煽ってんの? もっかいする?」「ぅえ!? も、もっかいって……?」 言葉の意味を理解出来ないような、ただ単純にしたくないような。 そんな思いで聞き返す。「そこで聞き返すなよ……じゃあしようかって言いたくなるだろ?」 眉間にしわを寄せ、今度は鼻を噛まれる。「いたっ」「今から街を出るっていうやつが俺を誘惑した罰」「ば、罰? 誘惑って」 そんなことしてないのに……。「で? 本当にする? そうしたら街からは出られないと思った方が良いけど?」 やっぱり私に選択をゆだねる紅夜。 それでもいいけど、と誘うような眼差しに一瞬紅夜の意見を優先したくなる。 いつものように、相手の意見に合わせようとしてしまう。 でも、流石にそれはダメだ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-22
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賭け②

「うん、ありがとう……」「で? 今晩も来てくれんの?」「え?」 考えてすらいなかった言葉に驚いて顔を上げると、スッと目を細められた。 相も変わらず冷たいのに、妖艶さすら漂わせる視線に絡めとられる。 紅夜の視線は私をすぐに捕えてしまう。「何で驚いてんの? 一晩じゃ足りないって言っただろ?」「あ、それは分かってるんだけど……」 昨日言われたことでもあるから、それは分かっている。 それに、私もまた会いたいと思っているから……。 でも、この黎華街は危険な街。 そう毎日のように来ていい場所じゃない。 いくら好きな人に会うためとはいえ、そう簡単には来られないと思っていた。「次は、また今度のお使いの時かと思っていたから……」 危険な街だから、やっぱり月一くらいじゃないと来られないかと無意識に思っていた。 それに、昨日の今日だとお母さんも心配するし、叔母さんにもそう毎日迷惑はかけられない。「お使いって……月一だろ? 待てないんだけど?」 冷たい瞳に不満の色が濃くなる。 そうなると少し子供っぽく見えて、ちょっと可愛いと思ってしまった。 ……あれ? でも私、紅夜にお使いが月に一度だって教えたっけ? 不思議に思ったけれど、それを口にするより先に紅夜が話し出す。「じゃあ、賭けをしようか?」「賭け?」「そう、その次のお使いまでにお前がこの街に来たら俺の勝ち。その日までに来なかったらお前の勝ち」「紅夜が勝ったらどうなるの?」 聞くと、引き寄せられて腰を抱かれ、顎を掴まれた。 昨夜見た、狼の目が私を見下ろす。「俺が勝ったらもう離してやらない。俺が来いと言ったら絶対に来るんだ」 今にも嚙みつかれそうな凶暴性を瞳の奥に見て、私はゴクリと唾を飲み
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-23
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誘いの交換条件①

 目深にフードを被った紅夜が私の手を引いて静かになった街を歩く。 夜の騒がしさが嘘のように、通りを歩いている人は他にいない。 まるでゴーストタウンのような大通りを二人だけで歩いた。 先を歩く紅夜は、フードのせいで顔が良く見えない。 フードを被った紅夜にどうして隠すのかと聞いたけれど、隠すわけじゃないと言われた。「太陽の光に弱いんだよ。朝はまだ大丈夫だと思うけど、あんまり浴びてると日光湿疹みたいになる」 詳しく聞くと紅夜は生まれつき色素が薄いらしい。 それでどこか体が弱かったりなんて事は無いけれど、肌の色素も薄いからか日の光に弱いのだとか。「あ、じゃあもしかしてその髪と目は……」「そ、地毛だし、カラコンなんて入れてねぇよ?」 そう言ってフードの中から試すような眼差しがのぞく。「気持ち悪い?」 聞いてくる声からは感情が読み取れない。 ただ、聞いてみただけという感じ。 でも、そう聞くって事は誰かにそう言われたことがあるのかもしれない。 そう思うと、心臓がギュッと苦しくなって泣きたくなってくる。 私は繋いでいる紅夜の手を両手で包み、「気持ち悪くなんてない」と答えた。「凄く、綺麗だよ?」 本心からの言葉だった。 すると紅夜はふわりと優しく微笑み――。「本気?」 凶悪な程の獣の眼差しを私に向けた。「っ!!」 その変化に、私は息を呑み身体を硬直させる。 口元は優しくほころんでいるのに、目だけは獲物を狙う狼のもの。 ううん。下手をしたら、もっと凶悪な猛獣なのかも知れない。 そう思わせる顔だった。「綺麗って言ってくれるのは嬉しいけど……」 そう言って繋いでいた手を引かれる。 もう片方の手が、私の後頭部を掴んだ。 冷たく、凶悪な目が楽しげな色を含ませて私を間近に見下ろす。「美桜、お
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-24
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誘いの交換条件②

 紅夜とは街の入り口で別れる。 私を捕えた狼は、一度その手を離してくれた。 そうして、私は紅夜のことが頭から離れない状態で一度家に帰るとすぐに学校に向かった。 こっちの方が日常のはずなのに、なぜか非日常的に感じる。 それほどに昨夜の出来事は私の身に刻み込まれていたみたいだ。 そんな日常からの乖離(かいり)を戻してくれたのは日葵だった。「美桜! おはよう」 いつもよりずいぶんと早い時間に来たはずなのに、日葵もすでに登校していた。「おはよう。日葵早いね?」 フワフワした思考でそう聞くと、日葵は声を抑えて言う。「昨日のこと、今日話すって言ってたでしょう?」「あ……そっか」 日葵の言葉で昨夜のことと今がつながる。 非現実的に見えていた周囲の景色がハッキリとした。「ねえ、場所変えよう? まだ人は少ないけど、教室じゃあちょっと……ね?」 日葵の言葉にうなずく。 黎華街の話なんて他の人に聞かれたらどうなるか分からないから。 日葵に付いて行くようにして、人が来そうにない空き教室へ入った。 ドアを閉めて、教室の中ほどまで来ると日葵が急に振り返り抱き着いてくる。「っ良かったっ……」「日葵?」「無事だって連絡はしてくれたけど、やっぱりこの目で見るまで安心できなかったんだよ?」 そして体を離してしっかり私を見る日葵。「ケガしてない? あの後本当に何もなかったの?」「大丈夫だよ。日葵こそ大丈夫? ちゃんと送ってもらえたの?」 思った以上に心配してくれている親友に、私は紅夜とのことは話さないことにした。 全部話したら余計な心配かけちゃう。 お使いが終わったら真っ直ぐ帰ったことにしよう。 そう決めて私は日葵の話を聞くことにした。「うん、愁一兄さんはちゃんと家まで送ってくれたよ」 もう街に
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-25
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誘いの交換条件③

 混乱しそうになる頭の中で、昨日見たワンシーンが思い出された。 叔母さんへのお使いの品を取りに行ったとき。 あのとき紅夜は何かを拾う仕草をしていた。 もしかしてあのとき!?「美桜がお使いがあるからって行ってしまったあと、比較的すぐにあの人が戻ってきたの。私の荷物と、あのヘアクリップを持って」 日葵の話で予測が確信に変わる。 でも、どうして紅夜は何も言ってくれなかったの? 確かに日葵が付けていたヘアクリップが私のものだとは言っていなかった。 だからあの時点では日葵のものだと思っていたんだろう。 そういえばあのとき日葵に話が出来たとか言っていたっけ。「どうして赤い花のモチーフがついた装飾品を付けてたのかって凄まれて……メチャクチャ怖かった」「赤い花だとダメだったの?」「そうらしいよ。ってか、その様子だとやっぱり美桜は知らなかったんだね」「え?」 何を、と聞く前に日葵が苦笑気味に説明してくれた。「赤い花のモチーフが付いたものは、あの人の……黎華街の管理者の女だって印なんだって」「管理者の、女……?」 言葉を繰り返し、色んな情報が頭の中をかけめぐる。 今朝、紅夜から赤い花のモチーフがついたリボンを貰った。 何が違うのか秘密だと言われたけれど、既に紅夜の女だって印を渡されてたって事だ。「っ!」 そのことに嬉しいとか恥ずかしいとかって思いを浮かべるより先に、もう一つのことに思い当たった。『その女、お前の女じゃないのか?』 そう言ったのは、日葵からヘアクリップを奪い取って路地裏に投げ込んだ男。 私達を襲って、日葵をどうにかしようとしていた男。 あれは、つまり……。「あ……じゃあ、日葵が襲われたのは……」 私のせいだ&he
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-25
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誘いの交換条件④

「これが懺悔。昨日のことは突然行きたいって言った私にも責任があるんだから、美桜がそこまで気にする必要はないよ」「……うん」 一応そう返事はしたものの納得していない私。 そんな私に日葵は優しく微笑んだ。「それに、助けてくれたでしょ?」「そりゃ、当然でしょ?」「当然でも実際に出来るかどうかは別だよ。……ありがとう、美桜」「日葵……」 本当に日葵は私を恨んでいないんだなって分かった。 それなのにいつまでも私が気にしていたらダメなんだってことも。 だから、ちょっとまだ罪悪感はあるけど気にしない様にしようと思った。 少しの間のあと、日葵はまた気まずそうに話し出す。「あの人に凄まれて、私怖くて……本当のこと言わないと殴られるって本気で思ったの」「紅夜が?」 確かに笑顔で人を殴りそうな怖い部分もある人だ。 でも、一般人の女の子に本気で殴るようなことは……。 しない、とも言いきれなかった。 思い返せば、はじめは笑顔で私達を脅しにかかってたし。 やっぱり私は紅夜のことを何も知らないんだな、と少し寂しく思った。「だからね、私馬鹿正直に美桜のものだって言っちゃったの。私が突然黎華街に来たいって言ったから貸してくれたって。美桜の大事なものだって」 私の考えてることなんて知らない日葵はその時のことを思い出したのか少し震えながら話す。「そうしたらあの人、突然機嫌が良くなって……そしてそれを渡されたの」 その言葉に促されるようにもう一度リングを見る。 内側に何か光るものが見えた。「美桜に、『これと交換だ。大事なものなら、取り返しに来いよ』って伝えろって……」「これと交換……」 紅夜は何を考えてそんなことを言っ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-26
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黎華街、再び①

 朝、日葵から聞かされた話を私は悶々と考えていた。 一週間以内、ですって? 日葵とのやり取りを私に黙っていた紅夜。  つまり彼は、賭けを提案しておきながら負けるつもりなんて最初からなかったんだ。  しかもひと月と言っていたのに、それより前に一週間という期限を付けて日葵に交換するものを渡しておいてたとか……。 紅夜が何を思ってそんな事をしたのかは詳しくは分からない。  でも、絶対に私を来させようって意図だけは物凄く感じる。  ヘアクリップは大事だし、取り戻せるなら取り戻したい。  それに、その事がなくても多分ひと月以内には紅夜のもとへ行っていたと思うから……。 でも。「何か、悔しい」 眉を寄せてひとりごちる。  別に私は負けず嫌いというわけでもない。  でも、こんなふうに何もかも紅夜の思い通りに事が運ぶように仕組まれると……。  思い通りに動かされているのが、ちょっと悔しい。 なんて思っているくせに、私は前に垂らすように結った髪に今朝彼から貰ったリボンを付けていた。  そして日葵から受け取ったシルバーリングを握りしめて、黎華街の入り口近くまで来ている。「……でも、やっぱり悔しい」 しかも、連日行くとか……。  まるで私の方がより紅夜に会いたいと思っているみたいで……。 いや、会いたいよ?  好きな人だもん。  出来るなら毎日会いたいよ? でも、こうやって仕組まれると……。 ギュッと眉間のシワが深くなる。 会いたい。  でも悔しい。  そんな気持ちを天秤にかけ、私は黎華街の入り口を見つめて揺れ動いていた。 しばらくそうしていると、近くに黒塗りの高級車が停まる。  何となくそのまま見ていると、中からスーツ姿の男性が降りて来た。  歳はお父さんと同じくらいか、もう少し上かって所。  でも確実にこの人の方がダンディで格好良かった。 その人は、車から降りるとタバコを吸い
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-26
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黎華街、再び②

 数歩、それだけでいつもと違うことに気付く。 街の空気が違う? ……ううん、視線が違うんだ。 いつもはチラリと視線を向けるだけの門番のような不良達。 彼らの目が一昨日日葵を見たときのとは違う様子で驚いている。 周囲に意識を向けると、明らかに外の人間だと思われる人以外から驚きの視線を感じた。 その視線に戸惑いつつも紅夜の元へ行こうとしてふと気付く。 ……どうやって行けばいいんだろう。 エレベーターのある場所は覚えている。 でも、あのエレベーターで紅夜の部屋に行くには彼の顔を認証しないとならない。 それに、また来いと言いつつ連絡先も交換していなかった。 うっかりし過ぎな自分が恥ずかしい。 本当に、会いたいという気持ちしか持ってこなかった。 街に行けば会えるなんて、そう簡単にいくことじゃなかったのに。 街に数歩入ったところで途方に暮れてしまった。 どうすればいいんだろう……。 考えて、叔母さんのことを思い出す。 そう言えば、叔母さんは紅夜のことを直接知っているような雰囲気だった。 とりあえず叔母さんに連絡して聞いてみよう。 そう思ってスマホを取り出したときだった。「ああ、良かった。来てくれたんだな」 とてもホッとした、という安堵の言葉が掛けられる。 声に振り向くと、見覚えのある黒髪が見えた。 黒いロングコートに身を包んだ長身の男性。 日葵のはとこで想い人の愁一さんだった。「え? あ、こんにちは」 とりあえず知り合いなので挨拶をすると、面くらったように目を丸くされる。「……ああ。はは、まともな挨拶とか……礼儀正しいな」「えっと……?」「スマン、この街にはいないタイプなもんで…&he
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-27
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黎華街、再び③

「ああ、この街を仕切ってる赤黎会(せきれいかい)の総長と副総長って関係だよ」 「赤黎会……」 聞いた事ない。「元々は俺が総長やってたんだけどな、この街に拠点を移した時に紅夜に総長やってもらうよう頼んだんだ」 思っていたより色々話してくれる愁一さんに、私はうんうんとうなずいて聞き役に徹した。  思えば、私は紅夜のことどころかこの街のこともよくは知らない。  毎月お使いのために通っているのに、この街は危険だという事しか知らない。  何かに首を突っ込めば危険な目に遭うだろうことは分かっていたし、叔母さんやお母さんの言いつけを破ろうとも思わなかったんだから仕方ないのかもしれないけれど……。 でも、今は違う。  あまり実感は湧かないけれど、紅夜の女になったんだし……。 そこまで考えてまた顔が熱くなりかける。  頭を振って、その恥ずかしさを追い払った。 実感はなくても、事実として赤い花付きのリボンを渡されている以上考えないわけにはいかなかった。「ん? どうした?」 「い、いえ! 続けてください!」 私の行動を不審に思った愁一さんが聞いて来るけど、答えられるようなものはない。  慌てて話の先を促すことしか出来なかった。「そうか……? えーっと、どこまで話したか……」 おかしなものを見る目をされたけれど、視線を前に戻しながら愁一さんは続けてくれた。「そうそう。紅夜に総長頼んだって話な。あいつにとってはこの街の管理者であることの方が重要らしいから、ほぼ名前だけなんだけどな。でもあいつ以上の適任はいなかったし、それにあいつにとっても俺達の存在は必要だったからな……」 「そう、なんですか?」 「ああ、なにせあいつは――」「シュウ?」「!?」 突然、透き通るような耳に心地いい声が聞こえた。  でもその声は、わずかに怒りを孕んでいる様にも聞こえる。 それは私が焦がれていた声だったけれど、わずかに感じる怒りに恐れを抱く。 ゆっく
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-27
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黎華街、再び④

「……確かに私はあなたに会いたかった。だから今日この街へ来たわ」 そう前置いて、キッと紅夜を睨み上げる。「でも賭けの約束はひと月。このリングとヘアクリップの交換だって一週間だったでしょう!? 必ずしも昨日来るとは限らないじゃない!」 私が怒りの声を上げるとは思わなかったのか、紅夜が目を丸くして驚く。  そんな顔はちょっと幼くて可愛いな、何て内心少しほだされそうになりながら私は続ける。「大体これだけ仕込んでおいて、私が来るってことは確実だったんでしょう!? なのに一日来なかっただけでそんなに怒るなんてっ……!」 私は紅夜に会えて嬉しいのに、紅夜は嬉しいと思うより昨日のうちに来なかったことを怒るの?  悔しさと悲しさから、涙が滲んでくる。  泣くまいとこらえるけれど、一筋だけ零れてしまった。 紅夜はその一滴を吸い取り、私の頭を優しく撫でる。  謝罪の言葉はまだないのに、それだけで許してしまいそうになる自分にまた腹が立つ。  でも、紅夜はすぐに謝罪の言葉を口にしてくれた。「悪かったよ。でもな、俺は怒ってたって言うか――」 続く言葉の途中で、エレベーターが到着する。 紅夜はそのまま言葉を切って私の手を引き箱の中に入る。  私は言葉の続きを待つけれど、紅夜は一通りの作業を進めていた。  だから、その作業が終わってから声をかける。「それで? 怒ってたって言うか……何?」 そう聞く私に、紅夜は答えるより先に私を抱きしめ唇を塞ぐ。  すぐに舌が入ってきて、文字通り貪られた。「んっはぁ、こう、やぁ?」 合間に何とか呼びかけるけれど、紅夜は離してくれない。  深い口づけに私は早くも意識が溶けそうになる。  それでも、性急な動作に彼が余裕をなくしている事だけは分かった。 結局エレベーターが最上階に止まるまでキスは続き、すでにクタクタになって足に力が入らなくなった私を紅夜はお姫様抱っこで運んでくれる。  そうしてから、やっと答えを口にしてくれた。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-28
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