ぱかりと、目蓋が上がった。 微睡(まどろみ)や、意識の浮上とかもなく突然目が覚める。 そうして飛び込んできた目の前の光景に心臓が止まるかと思った。「おはよ」「っ!?」 薄闇の中でもぼんやり光っているような金の髪。 冷たいのに、どこか甘さを含んだ青い瞳。 白磁(はくじ)の様に白い肌はなめらかで、その顔はどこまでも美しかった。 そんな顔が起きたら目の前にあったんだ。 息を止めて固まるのは普通のことだと思う。「美桜?」 不思議そうに紅夜のキレイな形の唇が私の名前を呼んだ。 その唇が私の体のいろんな場所に吸い付いたことを思い出し、今更な羞恥が襲い掛かって来る。「あ、う……こぅ、や?」 口がまともに動いてくれなくてかすれた声が出た。 すると引き寄せられて唇が塞がれる。 そのときになって、私は紅夜に抱き締められながら眠っていたんだと知った。 ついばみ、甘嚙みするようなキスに熱い吐息が混ざり合う。「美桜、お前煽ってんの? もっかいする?」「ぅえ!? も、もっかいって……?」 言葉の意味を理解出来ないような、ただ単純にしたくないような。 そんな思いで聞き返す。「そこで聞き返すなよ……じゃあしようかって言いたくなるだろ?」 眉間にしわを寄せ、今度は鼻を噛まれる。「いたっ」「今から街を出るっていうやつが俺を誘惑した罰」「ば、罰? 誘惑って」 そんなことしてないのに……。「で? 本当にする? そうしたら街からは出られないと思った方が良いけど?」 やっぱり私に選択をゆだねる紅夜。 それでもいいけど、と誘うような眼差しに一瞬紅夜の意見を優先したくなる。 いつものように、相手の意見に合わせようとしてしまう。 でも、流石にそれはダメだ
Terakhir Diperbarui : 2025-05-22 Baca selengkapnya