「……紅夜は、許したの?」 静かに話す紅夜に、怒りの感情は見えない。 許したんだとは思ったけど、何も思わなかったわけじゃないだろう。「まあ、養父……父さんと親子として過ごせなかったことには恨みもなくはないけどな……。でも、やっぱり美玲は俺にとって母親代わりで、一緒に過ごした時間もあるから……」「……うん」「それに俺、小さい頃は美玲のこと母さんって呼びたかったんだ。一度呼んだら叱られたからやめたけど」 小さい頃なら、そう思うのも自然だよね。 母親という存在が恋しいだろうし……。「で、その辺りのことも話したら……なんか父さんが考えてみるって言いだして……」「……え?」 それってどういう……。「なんか、美玲と結婚するための準備始め出した……」「……」 隆志さん!? ちょっと極端過ぎるんじゃないかな!?「え? えっと……紅夜はそれでいいの?」「うーん……」 紅夜は何とも言えない笑みを浮かべ、答えを少し迷っている様だった。「どっちでもいいかなとは思ってる。……賛成よりな方で」「そ、そっか」 賛成よりなら、そのまま話を進めても良いって思ってるってことだよね?「美玲は罰を受けなきゃないのにこれじゃあむしろご褒美だ、なんて言って落ち込んだり喜んだりしてる。別に罰したいわけじゃないから、素直に喜べばいいのにな」「まあ、そういうわけにもいかないんじゃないかな……?」 取り返しのつかない罪を犯したと思い悩んでいたときの姿
Terakhir Diperbarui : 2025-06-12 Baca selengkapnya