男ばかりのBLパラダイスな要塞町であるが、やはり推しカプはいる。 まず第一にベネディクト×クィンタの幼馴染カプ。 彼らはあらゆる面が対照的なのがいい。 性格はベネディクトがクソ真面目、クィンタがチャラ男。戦闘スタイルはそれぞれ剣と魔法。出自もベネディクトは貴族に対し、クィンタは平民と聞いた。 彼らはずっと昔から仲がいいのに、お互いに腐れ縁だと言っている。そこもよい。 腐れ縁だの悪口を言いながら、背中を預けるだけの信頼がにじみ出ている。よきよき。 で、第二に軍団長×ベネディクトだ。ベネディクト氏大活躍である。 包容力のある大人な軍団長と堅苦しくて融通の効かないベネディクトの組み合わせ。もはや鉄板と言っても過言ではないだろう。 今日もクィンタとベネディクトが親しげに肩を組んでいたのを見て、私、内心で大歓喜である。 まあクィンタが一方的に腕を肩に回していて、ベネディクトはちょっと迷惑そうだったが。 むしろカプ解釈に沿っていてよろしい。 脳内に焼き付けた肩組み映像を反芻しながら掃除をしていると、急に声を掛けられた。「フェリシアさん? またニマニマして、どうしたんですか?」「うひょおぅ!?」 目を上げるとリリアがいた。 彼女とはすっかり打ち解けたので、つい油断して奇声まで上げてしまった。 他の人相手ならまだこうはならない。かつての帝都の鉄面皮令嬢の名にかけて、顔面崩壊だけは避けたい所存だ。 リリアは私の奇声に首を傾げた。「うひょう……。フェリシアさんは、普段は儚げなお嬢様なのに。ときどき変ですよね」「ごめん、聞かなかったことにして」「はあ」 リリアは呆れたようにちょっと笑った。 なんだろう、元気がない感じがする。「どうしたの? 何かあった?」「いえ……。また仕事で失敗してしまって」 リリアは肩を落としている。 彼女は私に仕事を教えてくれた先輩だけれど、確かにちょっとドジなところがある。
最終更新日 : 2025-05-10 続きを読む