Semua Bab 腐女子聖女~BL妄想は世界を救います~: Bab 71 - Bab 80

84 Bab

第71話 久方ぶりの帰還

「先ほど、軍団長の傷を治しましたよね。私自身の上達と、それ以上に魔道具の効果なのです。魔族の土地にはびこる瘴気の浄化にも成功しました。必ず事態は好転します」「そうか……。帝都からもたらされる情報は混乱していて正確性に欠けたため、私は独自に調査をした。どうやら帝都に瘴気が発生しているようだ。魔物がほとんど無尽蔵に出現し、その中心部は瘴気溜まりのようになっていると報告を受けた」 事態は思ったより切迫している。 私はそっとベネディクトたちと目配せをした。「中心部とは、帝都のどこですか?」 私の問いの答えは、意外な場所。「大神殿のある場所だ」 それはつまり、聖女の祭壇がある場所だった。     まさか瘴気の発生地点が聖女の祭壇付近とは。 もしかしたら九百年前は、あの辺りに瘴気の沼があったのかもしれない。 それで当時の建国の聖女が祭壇を設置して浄化した。 けれどあの頃の祭壇――魔力増幅の魔道具は今よりもずっと性能が低くて。 建国の聖女は瘴気を完全に浄化しきれないまま死んでしまった。 以降、数世代おきに現れる光の魔力の持ち主は聖女として国に仕えて、あの場所を守ってきた。 王政である頃は王妃として、共和制になってからは最高位の巫女として。そして帝政に移行してからは皇妃となった。 光の魔力を持つ聖女は、もともと数世代に一度しか現れない。 浄化は常に行われるわけではなく、不安定な状態だった可能性が高い。 それでもある程度は瘴気が抑えられていたが、ここへ来て問題が表面化してしまった。 それは私がテキトーな祈りしかしなかったせい……いや、違うな。 月に一度の祈りの際は、BL妄想で時間を潰していた。妄想が私の魔力の原動力なのだから、役目は果たせていたはずだ。 原因は元から不安定だった帝都の瘴気。 瘴気がそこにあると忘れ去られ、聖女の持つ真の力の
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-30
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第72話 帝都を目指す

 要塞町から帝都までは馬車で十日ほどの距離にある。 ゼナファ軍団の兵士たちは歩兵がメインだが、かなりの強行軍で馬車と同じだけの距離を進んだ。 最初の数日こそ何事もなく進んだが、それからが大変だった。 帝都を逃げ出して要塞町へ向かう大勢の人とすれ違う。 彼らに話を聞くと、魔物の被害と同じくらい人間が暴徒化したり、強盗を働いたりしているらしい。 帝都の秩序は完全に崩壊してしまっている。 瘴気の傷を受けた人がいればささっと治療を施しながら、私たちは道を急いだ。 出発後八~九日も経つと、魔物が出没するようになった。 弱いランクの魔物だったが、武装していない一般人には脅威でしかない。そして数もけっこう多い。 ゼナファ軍団の兵士たちは手慣れた様子で魔物を殺し、先に進む。 そして十日目。 首都がいよいよ近づいてきたとき。 街道の前方に立派な馬車が現れた。 魔獣型の魔物に追われて、今にも横転しそうな勢いで走っている。「助けてくれーっ!」 御者が叫んだ。灰色の狼の姿をした魔物が地を蹴り、御者に飛びかかる――。「ギャンッ!」 クィンタが放った魔法の矢を受けて、狼は血しぶきを上げて倒れた。 御者は無事だったが、馬車がバランスを崩して転がる。 さらにその後ろから何匹もの魔物が飛び出して、横たわった馬車に襲いかかった。「やだ、やだ、死にたくない!」「魔物ども、この女から殺して食え! 俺は関係ない!」「なんですって! ひどいわ!」 馬車の幌の下から声がする。人がいたようだ。 グランとゴードンが前に出て、素早く魔物たちを始末した。 その間に兵士たちが幌を取り払い、その下にいた人らを救助する。 引きずり出された男女は――。「皇太子殿下……と、ナタリー?」 髪も服もぼろぼろになった二人は、確かに皇太子ラウルと妹のナタリーだった。  
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-01
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第73話 思わぬ再会

「お前に何が分かる! 黙れッ!」 叫んで私に掴みかかってくる。 すぐにベネディクトらが動いて取り押さえようとしてくれた。 けど、いい機会だ。 彼らを制して一歩、前に出た。「歯ァ、食いしばれやがれですわ――!」 乾坤一擲。気合一閃。 積年の怨みと責任放棄への鉄拳じゃー! 私は拳を握りしめて、思いっきりラウルの頬に叩き込んだ!「な、な……」 ラウルはよろめいて呆然としている。 どうよ。人を殴ったのは初めてだったが、前世のバトル漫画でイメトレだけはばっちりだった。 でも、素人が下手に殴ると拳を痛めるっていうのは本当だね。指が痛い。こっそり光の魔力で治しておいた。 今度から殴るときは掌底にしておこうっと。「フェ、フェリシア。なにも殴ることはないだろう。いや、この男は殴られるだけのことをしたが、きみ自身が殴る必要はないというか……」 ベネディクトがドン引きとも困惑ともつかない表情をしている。「そうですか? せっかくですもの、一発やっておこうと思いまして」 正直な感想を言うと、クィンタがケラケラと笑い出した。「いやあ、さすがだぜフェリシアちゃん。そうだよな、他人に殴らせるなんぞもったいないわ。よくやった!」 そうでしょう、そうでしょう。私は内心で得意になる。 ふと横に視線を向けると、頬を赤く腫らしたラウルと愕然とした顔で口を開けているナタリーが見えた。 ナタリーのほうも平手打ちくらいやっておくべきだろうか。 まあいいや、それよりも最後まで始末をつけないと。「さて。これ以上、あなたがたとお話する意味はなさそうですね」 冷たい口調で言えば、二人の顔色が悪くなった。「皇太子殿下と婚約者様の責任放棄は明らかですが、私たちに裁く権利はありません。まずは帝都の混乱を鎮め、正当な手続きをもって二人に罰を与えましょう」 今さら許すつもりはない。 この人たち
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-02
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第74話 皇帝

「急ぎ救助を!」 広い皇宮に踏み込んで、魔物たちを殺していく。 魔物と人との死体が折り重なっていて、思わず目を逸らした。 死体を追うように進めば、やがて皇宮の奥にたどり着く。「皇帝陛下!」 ベネディクトが叫んだ。 もう十人にも満たない兵士たちに守られながら、壮年の男性が自ら剣を取って戦っていた。皇帝陛下だ。「……ベネディクト!? ゼナファ軍団が来てくれたのか!」 皇帝が声を上げる。 そうか、皇太子のラウルとベネディクトが従兄弟なら皇帝と血縁になるのか。だったら面識があるのも当然だ。 周囲の魔物はたちまち討ち取られ、疲労しきった皇帝と兵士はがっくりと膝をついた。 兵士の何人かが瘴気の傷を受けていたので、治療する。「お前は、フェリシアか……? 何をしている?」 皇帝の問いに手を止めず答えた。「瘴気の傷を治しています。放置すれば命を蝕みますので」「瘴気の傷を!? 馬鹿な、そんなことができるはずがない」「できるのです。彼女は真の聖女ですから」 ベネディクトが言えば、皇帝は困惑をにじませた。「しかしフェリシアは光の魔力があると偽り、我が息子との婚約を解消したはず。そもそも聖女の存在自体がただの伝説ではないのか?」 あ、やっぱり聖女の力を信じていなかったのか。まぁ私も最初はそうだったから仕方ない。 だから婚約解消のあとも特に何も言ってこなかったのね。 皇帝からすれば形だけ光の魔力があるとされれば誰でも良くて。 むしろ冷遇されている姉の私より、実家の連中に大事にされている妹のほうが都合が良かったのかもしれない。しらんけど。「聖女の力は確かに存在します。これから証明してみませましょう」 私が言うと、ベネディクはうなずいた。皇帝が不審の顔をする。「どこへ行く?」「大神殿へ。あそこにある聖女の祭壇を使えば、瘴気を浄化できます」 聖女の祭
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-03
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第75話 聖女の祭壇

 目を閉じて小さく呟くと、私の周囲に淡い光が灯ったのが分かった。 ここまでの道のりを思い出す。 首都は本当に酷い有様で、かつての活気を失ってしまっていた。 目に見える範囲ですらたくさんの死体があって、奪われた命を思うとどうしていいか分からなくなる。 彼らには生きる権利があった。 生きていればいいことも悪いこともいろいろあって、全員が幸せとは限らなかっただろうけど。 それでも生きていてほしかった。 だって、私は今、幸せなのだ。 小さいフェリシアから命をもらって、生き延びて。 辛いこともあったけど、楽しく生きる場所を見つけた。 みんな、私に親切にしてくれる。いい人ばかりだ。 前世で一度は死んだのに、また幸せを掴むなんて。私はなんて運がいいんだろう。 だからこの幸運を、幸せを、多くの人に分けてあげたい。 平和のうちに生きてほしい。 ……とかなんとかシリアスに考えてみたが、私の一番の幸せはやっぱりBL妄想である。 今も最推しカプ、ベネディクト×クィンタとゴードン×グランが目の前にいる。 みんな真剣な目で魔法陣に魔力を注いでいる。 彼らは戦士であり魔法使い。 有事の際には剣を取って頼もしく戦ってくれる。 さっきまでの魔物との戦いも、不謹慎だけどとてもかっこよかった。 特にベネクィの背中合わせの戦いとか。 グランとゴードンの個人技に見えて連携が取れてるとことか。 いやもう、ごちそうさまです。 ――カッと光があふれた。 真面目に人々の幸せを祈る心と、目の前の推しカプたちの勇姿がないまぜになる。 今まで出会った人たちのカプの可能性。 今まで友だちになった人たちと語り合った、萌えの可能性。 心が尊さでいっぱいになる。 尊すぎてちょっとしんどいくらいだ。 あ――~~~もう、みんな好き! 祭壇の間を満たす光の中、私はうっとりと宙を見上げた。 
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-04
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第76話 聖女の祭壇2

 祭壇の間から光が消えると、辺りは静けさに包まれていた。 ついさきほどまで間断なく続いていた戦闘はもう止んで、剣戟の音は聞こえない。兵士たちは剣を収めて祭壇の間を覗き込んでいた。 魔物は死体すら残さず消し飛んでしまったようだ。「やったな、フェリシア」 ベネディクトが手を差し出してくれた。「ええ、やったわ」 その手を取って微笑み返す。 クィンタとグラン、ゴードンもやって来て、みんなで抱き合った。「聖女の奇跡、この目で確かに見た」 皇帝が言う。「魔物が全て消えた上に、大神殿を覆っていた瘴気の気配も吹き飛んだ。この奇跡を見せられては、疑う余地はない」 彼はそう言って頭を下げた。「フェリシアよ、すまなかった。息子の讒言を真に受けて、ろくに精査もせずにお前を追い出してしまった。せめてもの詫びに、どんな願いでも聞き入れよう。皇太子は別の者にすげ替えるが、その者と婚約を結び直してもいい」「婚約は結構です」 私は首を振った。「お願いに関してはよく考えたいので、少し保留でいいでしょうか」 いらないと言おうと思ったのだが、せっかくの機会だ。 本を出版するにも、前世知識で便利なものを作るにしてもお金やコネはあったほうがいい。皇帝の権力があれば、この国で叶わない願いはないくらいだものね。「そうか……。皇太子の最有力候補は、ベネディクトだったのだが」「は!?」 いきなり言われて、私とベネディクトは素っ頓狂な声を上げた。 皇帝はため息をつく。「ラウルはもちろんのこと、他の息子たちもさっさと帝都を逃げ出してしまった。不甲斐ないことだ。であれば妹の子であるベネディクトを皇太子に指名しようと思ったのだが。今回の件で皇太子とするだけの功績は十分だろう」「身に余る光栄です。大きすぎる名誉ですので、とても受け取れません」 ベネディクトは生真面目に頭を下げている。 グランが口を挟んだ。「そ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-05
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第77話 エピローグ

 それからの私は、ユピテル帝国と魔族の国を行き来しながら暮らしている。 魔族の領土はまだところどころに瘴気が残っているので、浄化が必要。 魔族の女性たちに物語の続きを聞かせる約束をしたから、それも果たさなければならない。 そして、ユピテル帝国と魔族の間で正式に友好関係が樹立したので、その責任者の一人に私が任命されたのだ。 帝都の聖女の祭壇は経年劣化が著しく、新しいものに作り変えた。 同時に光の魔力についてしっかりと書き記して、数世代のブランクが起きても知識が失われないようにした。 祭壇が魔族の技術で作られた魔道具だったために、力の出どころが不明瞭で、光の魔力そのものが伝説扱いされてしまっていた。 今後はこういうことがないよう、しっかりと管理をしていかねば。 同時に次世代の聖女に負担がかかりすぎないよう、配慮もしておいた。 光の魔力は個人の心や感情を原動力とするので、抑圧したり無理やり言うことを聞かせるのはご法度なのだ。 さて、新しい祭壇で祈ってみたら、建国の聖女様はばっちり出てきた。 BL小説をとても楽しみにしていたようで、本を受け取ったらそそくさと消えてしまった。ろくに挨拶する暇もなかった。 読み終わる頃合いを見計らって、また訪ねようと思っている。萌え語りしたいもんね。 忙しい日々の合間を縫って、英雄叙事詩BLの続きも書いている。 第一弾が帝都の女性たちに大好評だったせいで、続編をせっつかれているのだ。 私の物語を買ってくれた本屋は大儲けして、帝都に立派な書店を構えるまでになった。 会うたびにお礼を言ってくれるんだけど、それ以上に「締切守ってくださいね!」と鬼のように言われるので、ちょっとだけ困っている。 旅ぐらしになってしまったが、私の家は要塞町だと思っている。 あそこにはリリアやメイドたちがいて、帰れば暖かく迎えてくれるから。 私の原点はここなのだと、毎回感じている。 そうそう、元皇太子と実家の家族たちなんだけど。 あの人たち、私が追放されてからかなり好き勝手に振る舞っていたみたいで、周
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-05
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番外編:スキ!が一番良い燃料1

 BLといってもいろんなものがある。 乙女に最も指示されるカプは、イケメンスパダリ✕儚げ天使美少年、だろう。 か細い美少年を守りながら、時に激しく時に優しく愛する。美少年は守られるべきもので宝なのである。 商業BLに多かったのもこのパターンだったように思う。ど真ん中の王道というやつである。 私も王道はもちろん好きだが、それを上回る勢いでバディものが好きだ。 最愛ラブは主従ものだけど、正反対カプと同じくらいバディものに心惹かれている。 対等な立場、同等の能力で互いに信頼し合う仲。その友情と信頼がいつしか一線を超えた愛に変わる。 さらに言えば純粋な現代ものよりもファンタジーや異能ものなどが好きで、襲いかかる敵を倒し、互いに互いの背中を守り合いながら戦う男たちが大好物だった。これぞバディものの醍醐味なのだ! この場合年齢は問わない。年が近い場合も少し離れていてもどちらもオイシイ。 私はその中でも、年下攻めのおじさん受けがさらに好きだった。 いつまでも若造、被保護者の若者と思っていた相方が思わぬ成長と執着を見せてきて戸惑うシーンなどは、それだけでごはん三杯いける。おっと、この世界にごはんはないからパン三個ってとこか。とにかくモリモリいけちゃうぜ。 というわけで、私は今目の前で繰り広げられている攻防をよだれを垂らしそうになりながら見ていた。 場所はゼナファ軍団の駐屯地。 久々に帰ってきた私を皆が歓迎してくれる中、なぜだかこんな話になっていたのだった。「僕はいつまでも弱いわけじゃない! 資格試験を通って副隊長資格を得ました。これからはクィンタさんは僕が守りますっ!」 顔を真赤にして言い募っているのは、ゼナファ軍団魔法分隊所属の若い魔法使いくん。 名前はデキムス、年齢は十七歳である。 以前クィンタが魔物の攻撃からかばった子だ。クィンタはそのせいで瘴気の傷を受けて一時は死にかけた。 デキムスはその件を深く心に刻んでいて、クィンタを信奉していたのだ。「守ってもらう必要なんざねえんだわ。資格だけ取ったって実戦経験がなけりゃ意味がない
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-06
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番外編:スキ!が一番良い燃料2

 デキムスが再び詠唱を始める。その手に炎が灯った――、いや灯ろうとした瞬間、「いたっ!?」 彼は額を抑えてしゃがみ込んだ。詠唱が中断されたために炎も掻き消える。 クィンタを見ると、ニヤニヤ笑いながら何やら手で弄んでした。「勝負ありだな。戦場じゃあ毎回ちんたら詠唱している時間があると思うな。そんなだから単純な手に引っかかるんだよ」「なにをしたんですか?」 私が問うとクィンタは肩をすくめた。「小石を投げただけ。クリーンヒットしたら、あんなもんだ」「小石……」 デキムスは涙の浮かんだ目でクィンタを見上げる。額がちょっと割れて血が滲んでいた。 なかなか痛そうだ。あとで光魔法で治してあげよう。「誰も魔法限定の勝負だとは言ってねえだろ。お前は風が使えるんだから、小石程度は防げたはずだ。食らったのはただの油断、怠慢。はい以上」「ううう……」 デキムスはがっくりとうなだれている。 そんな彼をちらりと見やってクィンタは続けた。「実力が上がったのは認める。お前が努力したのもな。だからこそあらゆる面に注意を払え。誰かを守りたいんだろ?」「……クィンタ隊長」 デキムスが目を上げる。「俺はお前より強いから、守ってもらう義理はねえが。軍団の仲間でも市民でもいい、守るべき相手は他にいる。もっと経験を積め。今度こそ後悔のないようにな」 デキムスはクィンタの言葉を噛みしめるように聞いて、ゆっくりとうなずいた。 それから額の血を拭って立ち上がり、礼の姿勢を取る。「ご指導ありがとうございました。僕はまだまだ未熟だと実感しました」「おう。素直なのがお前のいいところだ」「でも必ずクィンタ隊長に追いつきます! 仲間たちも市民も隊長も、僕が全員守ってみせますから!」「お、おう」 詰め寄らんばかりのデキムスにクィンタはだいぶ引いている様子だ。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-07
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番外編:魔族のその頃1

 北にある魔族の土地は瘴気がほとんど浄化されて、人の住める土地となった。 特に瘴気の濃い場所は未だに少し残っているケースもあるが、発見されたら私が出向いて浄化を行っている。 瘴気からは魔物が生まれて、魔物からもまた瘴気が生まれる。 放置して広がってしまったら、これまでの苦労が水の泡になってしまうからだ。 魔族の飛行兵たちが積極的に土地を見て回って、目を光らせている。空から見れば一目瞭然だからだ。 魔物はもうほとんど出ないから、監視兵たちの危険も少ない。二~三人程度の小隊を組んで見回りを行っているそうだ。 というわけで、今日も小さな瘴気溜まりを浄化した。 魔族の城から北東にある、元は沼地だった場所だった。「特に問題なかったね」 私を背中に乗せているドラゴンのグランが言うので、うなずいた。「私も光の魔力の扱いに慣れたわ。ただ、これだけ広い土地だから。少しの瘴気も見逃さないというのは、けっこう大変」「うん。少なくとも北の山脈までの土地は、瘴気がない状態にしておきたい。かなりの広さだ」 北の山脈は自然の要塞として瘴気の侵入を阻んでいた歴史がある。 けれど瘴気は最後には山を乗り越えて南の平原までやってきた。 それからの汚染のスピードは早く、歴代の魔王が魔力の障壁で阻んでいながらも次々と追い詰められる羽目になったのだ。「北の山脈までの土地をしっかり確保できれば、山裾を監視するだけで良くなるから。そうなればいくらか楽だと思う」「早くそうしたいわね」「十年以内にはできると思うよ。この一年でだいぶ減らしたしね」 話しながらも、ドラゴンのグランは素晴らしいスピードで飛んでいく。 彼は魔王なだけあって、他のどんな魔族よりも速い速度で空を駆けることができる。 瘴気溜まりを見つけたら、素早く現地まで行けるのは大きなメリットだ。 もちろん力も強いので、多少の魔物が出ても簡単に蹴散らしてくれる。「それにしても、これだけの広大な土地……」 グラン
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-08
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