未央は困惑したように尋ねた。「何が分かったの?」「さっきあちらに赤い破片が散らばっているのを見かけたの。最初は手持ち花火かと思ったけど、今から考えると、博人が残した手がかりに違いないわ」知恵は未央を連れて、急いで南東方向へ向かった。案の定。細かい赤い紙切れが道しるべのように続いていた。注意してみないと気付かないほどだった。彼らはその紙をたどり、ある竹の林に来た。そこにはタイヤの跡が地面に残っていた。幸いここ数日雨が降っていないため、痕跡はまだ新しかった。未央は目が輝き、すぐに言った。「追いましょう」そのままタイヤの跡をたどり、どれだけ歩いただろうか。ようやく人里離れた山腹で止まった。そこにはワゴン車が止まっていたが、中には誰もいなかった。冷たい風が吹きつけ、落ち葉がさらさらと音を立て、周りは不気味なほど静かだった。未央は神経を研ぎ澄ませ、周りを警戒しながら落ち着いて言った。「高橋さん、先に警察に通報してください。周りを包囲するようお願いしてください。他の人は二人一組で、できるだけ一人で行動しないようにしてください。みんなは手分けして探しましょう」この緊急事態にも動揺せず、冷静に指示を出した。未央が厳しい表情で放つ威厳は、思わず従いたくなるような迫力感があったのだ。今の彼女の姿はまるで博人と重なっているようだ。知恵は複雑な感情が込み上げてきた。彼女は突然、どうして博人と理玖がこの人を好きになったのか、少し理解できた気がした。「西嶋夫人?」未央は少し困惑したように彼女を見つめて声をかけた。「早く行きましょう?」知恵は考え事をしていたため、何も考えずこう口を開いた。「お義母さんって呼んでいいのよ」「え?」未央は眉をひそめ、彼女がどうして突然変なことを言い出したのかと困惑した。知恵もふと我に返り、気まずそうに口元を歪めた。「行きましょう。博人が待ってるわ」日がもうすぐ暮れるので、彼らは捜査するスピードを上げた。その時、未央は何かに導かれるかのようにある坂道を下りた。暫く歩くと。やがて小さな洞窟が見えてきた。廃墟となった防空壕のようだ。知恵は最初気にも留めなかったが、未央の様子がおかしいのに気付き、そこへ視線を向けた。「博人がそこにいると思うの?
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