悠生も無理強いせず、体を大事にするように少し注意すると、背を向けて立ち去って言った。去る前に、彼はちらりと旭を見た。未央は眉をひそめて言った。「どうしてそんなに早く目が覚めたんですか?」普通なら、催眠術を問題なくかければ、彼を数時間は眠らせられるはずだった。何しろ彼は長い間、睡眠をとっていなかったのだから。催眠状態になれば、深い眠りに入り、少なくとも数時間は眠るだろう。彼女が離れて数分だけで、旭がもう目を覚ますなんて、いったいどこに問題があったのだろう?「以前、カウンセラーに診てもらったことがありますか。よく催眠で眠りについていたんですか」旭はうなずいた。「そうですね。ここ数年、休む時はいつもカウンセラーのところへ行って、催眠をかけてもらって数時間休むという繰り返しをしているんです」未央は問題点に気づいた。おそらく頻繁おこなっている催眠で、比較的浅い催眠に対して免疫ができてしまっているのだ。たとえ眠りについても、わずか数分で目が覚めてしまう。「それでは改めて催眠をかけ直します。今回はちょっと深い催眠をかけますよ、より良い休息がとれるはずです。あなたの場合は症状がかなり深刻ですから、必ず定期的に通院してください」「では白鳥さんの言った通りにしますよ、必ずちゃんと通院します。でも、眠れない時も白鳥さんのところへ来てもいいですか」未央は笑顔でうなずいた。「もちろん大丈夫ですよ」旭は彼女の患者なのだから、催眠を受けに来るのであればもちろん問題ない。患者に百パーセントのサポートするということは医者として当たり前のことだ。その夜、未央が仕事を終えると、旭はそこに座って彼女を待っていた。「白鳥さん、今までずっと忙しかったからまだ晩ご飯をとっていないでしょう?私が食事をご馳走します。今日は助けてもらった感謝の気持ちもありますから。正直言うと、今日のように気持ちよく、ぐっすり眠れたのは久しぶりです。以前は睡眠問題で仕事にも支障が出ていましたが、白鳥さんのような優秀なカウンセラーが治療をしてくれますので、すぐ良くなると思います」未央に深い催眠をかけられると、彼は本当に深い眠りに落ち、さっきまでぐっすり眠っていたのだ。今はすっきりとして、とても気分が良かった。正直に言うと、未央の催眠技術は業界全体を見ても、間違いなくトップク
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