All Chapters of 今さら私を愛しているなんてもう遅い: Chapter 501 - Chapter 504

504 Chapters

第501話

悠生も無理強いせず、体を大事にするように少し注意すると、背を向けて立ち去って言った。去る前に、彼はちらりと旭を見た。未央は眉をひそめて言った。「どうしてそんなに早く目が覚めたんですか?」普通なら、催眠術を問題なくかければ、彼を数時間は眠らせられるはずだった。何しろ彼は長い間、睡眠をとっていなかったのだから。催眠状態になれば、深い眠りに入り、少なくとも数時間は眠るだろう。彼女が離れて数分だけで、旭がもう目を覚ますなんて、いったいどこに問題があったのだろう?「以前、カウンセラーに診てもらったことがありますか。よく催眠で眠りについていたんですか」旭はうなずいた。「そうですね。ここ数年、休む時はいつもカウンセラーのところへ行って、催眠をかけてもらって数時間休むという繰り返しをしているんです」未央は問題点に気づいた。おそらく頻繁おこなっている催眠で、比較的浅い催眠に対して免疫ができてしまっているのだ。たとえ眠りについても、わずか数分で目が覚めてしまう。「それでは改めて催眠をかけ直します。今回はちょっと深い催眠をかけますよ、より良い休息がとれるはずです。あなたの場合は症状がかなり深刻ですから、必ず定期的に通院してください」「では白鳥さんの言った通りにしますよ、必ずちゃんと通院します。でも、眠れない時も白鳥さんのところへ来てもいいですか」未央は笑顔でうなずいた。「もちろん大丈夫ですよ」旭は彼女の患者なのだから、催眠を受けに来るのであればもちろん問題ない。患者に百パーセントのサポートするということは医者として当たり前のことだ。その夜、未央が仕事を終えると、旭はそこに座って彼女を待っていた。「白鳥さん、今までずっと忙しかったからまだ晩ご飯をとっていないでしょう?私が食事をご馳走します。今日は助けてもらった感謝の気持ちもありますから。正直言うと、今日のように気持ちよく、ぐっすり眠れたのは久しぶりです。以前は睡眠問題で仕事にも支障が出ていましたが、白鳥さんのような優秀なカウンセラーが治療をしてくれますので、すぐ良くなると思います」未央に深い催眠をかけられると、彼は本当に深い眠りに落ち、さっきまでぐっすり眠っていたのだ。今はすっきりとして、とても気分が良かった。正直に言うと、未央の催眠技術は業界全体を見ても、間違いなくトップク
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第502話

「食事に行くんじゃなかったんですか。どうしてあなたの家に?」未央は怪訝そうに旭を見た。この時間帯に、男女二人きりで同じ部屋にいるなんて。他の人に知られたら、きっと余計なことを考えるだろう。「この時間帯、外で食べたら大体屋台しかないでしょう。ちゃんとした料理ではないですから、自分で料理してご馳走しようと思ったんです」旭はドアを開けて中に入った。内装全体が非常にシンプルだった。彼は未央にリビングで少し待つように言い、ジュースを一杯淹れてあげてから、エプロンをつけてキッチンに入った。二時間で、三品の料理とスープが完成した。未央は彼に親指を立てて称賛した。「あなたはいつも訴訟の第一線で忙しく働いている方で、料理はあまりしないと思っていましたが、まさかこんなに料理が上手だとは思いませんでしたよ」「白鳥さん、事務所にはまだ多くの弁護士が仕事をしていますから、ほとんどの場合は、彼らが処理できる小さな案件で、どうしても解決できない場合だけ私が担当しますので、普段時間がある時はいつでも自分で料理をしているんですよ」旭の言葉は半分本当で半分嘘だった。彼が料理できることは確かなのだ。海外では基本的に糖分と油の多いものばかりで、自分で料理しないとすぐに太って病気になりやすくなってしまうだろう。未央は出された料理を味わい、確かにとても美味しく、なかなかの腕だと分かった。食事後、旭は彼女を家まで送りたかったが、未央に断られやむを得ず妥協した。このような状況では、ゆっくりと距離を縮めるしかなく、急ぎすぎるのは良くないことだ。未央は白鳥家の屋敷に戻ると、車のドアにもたれかかっている博人が見え、表情が一瞬で冷たくなった。「未央、どうして帰りがこんなに遅かったんだ?もし仕事が大変だったらしなくてもいいんだよ。俺の能力なら君を養うのに十分余裕があるのに……」博人は彼女の憔悴した小さな顔を見て、心が痛んだ。彼女は今妊娠していても病院で仕事をしているのだから、きっととても大変なはずだ。「博人、私のことはあなたと関係ないでしょう。あなたは自分自身のことを考えてちょうだい。それから離婚のことだけど、できるだけ早く確認して承諾してほしいの。これ以上引き延ばしても無意味なことでしょう」未央はそう言うと、無表情で車の隣を過ぎて中に入ろうとした。その瞬
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第503話

未央は博人とそれ以上話すことなく、彼に背を向けて家に入ると、全く迷わずドアを閉めた。博人はその扉を見つめていた。あと数日でスクレラとの契約の手続きが終わって、スクレラも海外へ帰るはずだ。その時には彼はしっかりと時間を取り、未央と数日を過ごし、二人の関係を修復しよう。翌日、スクレラは虹陽の刑務所を訪れた。雪乃は目の前の見知らない女性を不思議そうに見つめていた。彼女はこの外国人の女性を全く知らなかったし、相手が何の用で自分を訪ねてきたのかも分からなかった。二人は受話器を取った。雪乃は怪訝そうにスクレラを見た。「あなたが私に会いたいって人?」「綿井さん、はじめまして。私はスクレラと申します。西嶋博人さんの国際的なプロジェクトのビジネスパートナーです。あなたの資料を調べましたが、正直言って私はあなたをかなり高く評価しています。何と言っても、あなたは博人に7年以上も追いかけ続けさせたのですからね」スクレラは笑顔で雪乃を見つめた。正直、この女の資料を読み終えた後、彼女が策を立てることが上手で、特に男性の心を捉えるのが非常に上手いと認めざるを得なかった。雪乃は彼女の言葉を聞き、怪訝な眼差しを向けた。「あなたは結局何が言いたいの?」「私は博人が好きです。彼と一緒になりたいんです。私にとって彼は最高の結婚相手ですから。一緒になれば強い家柄同士の婚姻なんです。私たち以上にふさわしいカップルはきっといませんよ」雪乃は白目を剥いて、心の中で嘲笑った。この女は頭がおかしいんじゃないか?博人が好きなら自分で追いかけりゃいいのに、わざわざ私のところに来て何を言ってるんだ?「頭がおかしいなら脳神経外科に行くことをお勧めするわよ。あなたが彼を好きなことと私に何の関係があるっていうの!」雪乃が受話器を置こうとした時、スクレラの声が再び響いた。「あなたに策を練ってもらいたいんですよ。そして、あなたさえ良ければ、ここから出す方法を考えられますよ」スクレラは笑っているかどうかがはっきりと区別できない表情で言った。多くのことを計算している目をしていた。この言葉を聞いて、雪乃は突然顔を上げ、驚いた様子でスクレラを見つめた。刑務所での生活は彼女にとって生き地獄であり、言いようのない苦しみがさらに上回っていた。それにいつ出られるかも分からないのだ。絵里
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第504話

「西嶋社長、それなら白鳥さんともっと愛を育む必要がありますよ。白鳥さんのあなたへの愛を考えれば、きっとよりを戻すことができるはずです」高橋は未央がかつてどれほど西嶋社長を好きだったかということが当然忘れていなかった。何しろ少女時代から忘れられない人だったのだし、ましてやその間の数多くの誤解もすでに解けている。今二人に必要なのは二人きりの時間で、あのラブラブだった思い出を振り返ることだ……ちょっと待て!西嶋社長と白鳥さんが結婚してから、ラブラブだった思い出なんてあったっけ?博人は高橋の言ったことはもっともだと思った。確かに愛を育み直す必要がある。琉璃島では三人家族でとても楽しく過ごした。スクレラが仕事の話をしてこなかったら、今ごろまだ琉璃島で一家三人の楽しい時間を楽しんでいたはずだ。「西嶋社長、私が電話をかけないと、あなたも連絡するつもりはなかったんですね?」この時、スクレラが優雅な歩き方で入ってきて、顔のサングラスを外すと、笑顔で博人を見た。この声を聞いて、博人はなぜかイライラした。ここ数日、スクレラはいつも彼に仕事の話をしにまとわりついてきているのだ。しかもテレビ会議では、スクレラの父親も彼にスクレラをもっと指導し、管理に関する方法を理解させてほしいと望んでいた。しかし毎日べったり一緒にいるのも悪いだろう。未央があんな態度をとるのも無理はない。「西嶋社長、最近私は製薬業界に興味があるんです。ちょうどいいところですから、どの製薬会社が投資に適しているか見てくれませんか」スクレラはある書類を博人の前に置いた。博人は書類を取り上げ、じっくりと目を通した。「天見製薬はかなり良いですよ。財務報告も他のところも安定して上昇していて、投資と長期的な発展を考えるなら、天見を選ぶのが最も適切でしょう」博人は書類を置くと、顔を上げてスクレラを見た。「貴社は製薬に関するビジネスをするつもりがないと思いますが、突然どうしたんですか」スクレラは甘えた声で答えた。「最近父がちょっとお小遣いをくれたのです。投資して自分の力でより多くのお金を稼ぎ、父を驚かせたいと思っているんですよ。この間の株式市場を見ていて、虹陽の製薬事業がかなり発展していることに気づいたので、西嶋社長に相談しようと思いました。西嶋社長が天見製薬が良いと思って
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