まず俺達が取り掛かった事は、レイジの記憶をたどって元々いたであろう場所を、ある程度の範囲で絞り込む事。それが済めばその範囲内のそれらしい建物や神社、祠《ほこら》などの検索と現存してることの確認。捜索する頭数は別荘内にそろってるし、ここまで一緒にいる日々が長いとそれぞれに得手や不得手も分かってくる。得意分野で貢献できるように作業を割り振れば、こういった作業も案外スムーズに運んでいく。 その中で俺は……お茶や飲み物を出したり、メモを見ながら買い物に行ったり位しか手を出すことが無いのが申し訳なく思える。そして今も市川母と二人で買い物に向かう途中なのだ。「ねぇシンジ君」「は、はい!!」ふふふっ 運転していた市川母が俺の方を向いたと思ったら突然笑い出した。「そんなに緊張しなくても大丈夫よぉ。とって食べたり……しないから」――その……間はなんですか?「あ、いえその、き、緊張してるわけではないんですけど……」「真司君てウソがつけない良い子なのねぇ。なんとなくわかる様な気がするわ」「えと……何の話ですか?」「あぁ、そうそう……そういえばここの別荘を買う時に少し聞いた事があるんだけど、この前伊織ちゃんと日暮さんが踊ってたあの舞台って確か前は違うところにあったらしいのよね」「へぇ~そうなんですか……ん? それってどういう事ですか?」 その話が気になった俺は、買い物に行き予定の店の駐車場で詳しく……といっても市川母が聞いた範囲の中での事だけど聞かないといけないような気がした。何かが俺の心と頭に引っかかりを感じたからなんだけど。「それじゃぁ……もしかしたら……すいません!! 予定変更できますか?」「え!? ええできますよ。買い物は&hellip
Last Updated : 2025-08-18 Read more