『あなたは誰? あなたたちは何?』「え?」 自分の間近から声が聞こえたと同時に寒気が襲ってきた。音がしそうなほどにゆっくりと顔を声が聞こえた方へ向けた。『答えてよ……』 ますます寒さが増すと同時に体中から汗が吹き出し、鳥肌が全身にたつ。それでも確認したモノは少年のような恰好をしていた。「お義兄ちゃん!?」 何かを感じたのか、カレン達と話をしていた伊織が走ってきて、俺と|霊《かれ》の間に割って入った。そしてソレと二人で睨みあう形になって沈黙が下りる。『何をしに来たの? ちょっと前にも何人か来たみたいだけど、結局は見つけられなかったし……。ねぇ何をしに来たの?』 霊は俺と伊織を見つめたまま冷たい声色のままで訊ねてくる。 俺と伊織の異変に気付いた三人も近づいてきたが、何も見えていないようでおろおろとするばかり。ただ少し寒気を感じているのか水野さんだけが震えていた。「真司!! 伊織!!」「父さん……」「なんだ!? 来たのか!? 何か言ってるのか!?」 見えていないながらも俺と伊織をかばうようにして背中に隠してくれようとする父さん。「子供が視えるよ。少年みたいだけど……。このコが村上さんが言っていたモノ……」 俺が父さんに視えているモノについて説明しようとすると、「ごう」という音と共に俺たちの周囲の寒気が落ちた。霊《かれ》が圧力を増したのだ。こうなると普通の人ではなかなか動く事は出来なくなる。伊織は動けるだろうが俺たちのさらに後ろに居る二人は無理だろう。特に水野さんは最初に霊が現れた時点で震えていた。寒気を感じるという事は波長が合ってしまう恐れがある。なんとか水野さんの方に影響を行かせないようにと、俺は気づかれないように後ろに下がった。「ごう!!」という音が再び襲い、数歩下がったところまでで足止めを受けた。先ほどよりも更に増した寒気で今度こそ俺の足は停まった。
Last Updated : 2025-08-28 Read more