今、理央さんの中に入っている方はおそらく戦国期になってお嫁に来てくれた反逆していた方の家の方で、亡くなった経緯は前に話を聞いたり、調べたりした事と同様だった。 しかし、やはり自分達だけで調べたモノの中見は限界があって、新島家に伝わる話はもっと詳しかった。特にこの方が亡くなる直前に、今部屋の中にある鏡台に自分の魂が宿る様に願った事や、鏡台を誰かに譲渡したり、売ったりしないようにときつく頼んでいた事、二度とこのような事が起きないように自分が亡くなった後に監視、見守る事を言い残してこの世を去ったことなどが伝えられた。 新島家の先祖たちは、この女性の念がこもった鏡台を初めは大事に使っていたのだが、家の中や周辺で良くないことが起こり始め、怖くなって家の中でも誰も出入りの出来ない部屋を造り、そこへと押し込めた。 中には「売ってしまえ」とか「壊してしまえ」とかいう親戚や、新島家当主もいたのだがこの彼女の念を恐れて結局は何処にも出せず、何もできずにそのまま末裔に引き継がれていくことになったという。「――という訳じゃ。どうだろうか? わしの聞いた話と違いはないじゃろうか?」 話し終えた祖父が彼女の方へと視線を向ける。それと一緒にみんなも彼女へ集中した。『おおよそは間違っていないわね。ただ私は呪ったりして無いわよ? ただ悪い事をしない、させないために圧力は掛けさせてもらっているけど』「あの……」 祖父と彼女の会話におずおずと伊織が加わる。「どうしてあなたは怒っているのですか? 前回来た時もかなり怖かったですけど、今日はなんというか……ちょっと危険な感じがします」 彼女の顔をじっと見つめながら伊織は疑問を口にした。『あぁ……それはね、この中に居てはいけない人が居るからよ』「それはどういう意味ですか?」『言ったでしょ? 私はそういうモノたちを許す事は出来ないの。つまりこの家にも敷地にも入って欲しくないのよ。前に来た時にあなたたちの事は見ていたわ
Última atualização : 2025-10-07 Ler mais