苦笑いを返しながら大野君はその質問に答え始める。「はい。友達6人と共にその家に行ったんです。時間は確か夕方位だったかな? それで、門をくぐって敷地の中に入ったんですけど、そこで小さな……当時の僕らと同じくらいの女の子が視えました。でも……そのあとすぐに記憶が無くなって、気が付いたら両親に抱きつかれたまま病院のベッドの上に居ました」「…………」 俺は返事することが出来ないでいた。実の所その時に俺の家の周りでも、その事が噂として広まっていたから記憶にはあった。 まさかその時の当事者から話を聞くことが出来るとは思っていなかったんだ。「お兄さん?」「いや……何でも無いよ。続けて」「はい。じゃぁ……。病院からはすぐに出ることが出来ました。でもそれから先はそれまで視えていたモノたちが、急に視えなくなったんです。気配位は感じることが出来ていたんですけど、それも時間が経って小学校を卒業する前には既に感じなくなりました。でもそんな事周りの友達は知りません。言えなかった。だってそれまで僕は皆のヒーローだったから」「そうか……」「だから今まで、お兄さんに言われるまでは、視えているという事にして友達と今までと同じように過ごしてきました。そんなことしていちゃいけないと分かっていても、除け者にされるのが……皆が離れていっちゃうのが怖かったんです……」 そこまで話すと大野君はまた下を向いた。「それで?」「え?」「それでどうして今ここに居ることになったの?」 話が切れてから少し経つと、母さんやいつの間にか集まっているメンバー数人の中から伊織の声が聞こえた。そちらへ俺が視線を向けると、すでに母さんの姿は無く、代わりに伊織がケータイで何やら調べものをしている姿が写った。伊織の周りにいるメンバーはその画面
Última atualização : 2025-10-17 Ler mais