そんな生活が数年続くと、わたしも長生きできるんじゃないか? なんて思い始めちゃうけど、その日は突然やってきた。 思った以上に私の体は弱っていたみたいで、家の中で突然倒れ、隣りの家に住む奥さんに発見されるとそのまま病院へと救急車にて運ばれた。 皆が心配をしてお見舞いに来て口々に励ましの言葉をかけてくれるけど、わたしにはもう分っていた。――私はもう長くない。 もう生きられない。まだ小さい真司を残して逝きたくない!! 絶望が襲ってくる。 気持とは裏腹に日ごとに弱っていく身体。 自分のチカラではもう立ち上がる事も出来なくなったある日、私は夫に頼んで真司を病室に連れて来てもらった。 そして二人きりにしてもらい、真司に最後の言葉をかける。「真司……」「何? お母さん」「お母さんから最後のお話をするわね」「え? 最後?」「そう……最後。あなたのその眼には多分、私たちの知らない、視えないモノが映っているんでしょ? それは他の人には理解できない能力。でもね真司、あなたならその能力を人に役立てられると信じています。今まで真司の事分かってあげられなくてごめんね」「お母さん!! 何でそんなこと言うの!? ねぇお母さん!!」 そういった私はその後すぐに意識を失った。 真司が慌てて夫や、家族を呼んでくれたみたいだけど、その後に私の意識は戻らないまま。 そのままこの世とお別れをした。 これが私の生涯なのだけど――。 わたしにも真司と同じような力が有った。でも真司のソレとは違い、わたしはそこに何かいるとはわかるものの、それが何であるかまでは分からなかった。強弱なんてものも分かるわけもなく、話なんてすることもできない。だからこそ、真司が視ている世界がどうなっているのかなんて、本当の意味では理解してあげられてなかったんだと思う。 今、私はその視えないモノにな
Última atualização : 2025-10-27 Ler mais