Todos os capítulos de 幽霊が見えるからって慣れてるわけじゃない!!: Capítulo 171 - Capítulo 180

185 Capítulos

閑話 mother's thoughts  幽霊になってしまった私にできる事 2

   そんな生活が数年続くと、わたしも長生きできるんじゃないか? なんて思い始めちゃうけど、その日は突然やってきた。  思った以上に私の体は弱っていたみたいで、家の中で突然倒れ、隣りの家に住む奥さんに発見されるとそのまま病院へと救急車にて運ばれた。 皆が心配をしてお見舞いに来て口々に励ましの言葉をかけてくれるけど、わたしにはもう分っていた。――私はもう長くない。 もう生きられない。まだ小さい真司を残して逝きたくない!! 絶望が襲ってくる。 気持とは裏腹に日ごとに弱っていく身体。 自分のチカラではもう立ち上がる事も出来なくなったある日、私は夫に頼んで真司を病室に連れて来てもらった。 そして二人きりにしてもらい、真司に最後の言葉をかける。「真司……」「何? お母さん」「お母さんから最後のお話をするわね」「え? 最後?」「そう……最後。あなたのその眼には多分、私たちの知らない、視えないモノが映っているんでしょ? それは他の人には理解できない能力。でもね真司、あなたならその能力を人に役立てられると信じています。今まで真司の事分かってあげられなくてごめんね」「お母さん!! 何でそんなこと言うの!? ねぇお母さん!!」 そういった私はその後すぐに意識を失った。 真司が慌てて夫や、家族を呼んでくれたみたいだけど、その後に私の意識は戻らないまま。 そのままこの世とお別れをした。  これが私の生涯なのだけど――。  わたしにも真司と同じような力が有った。でも真司のソレとは違い、わたしはそこに何かいるとはわかるものの、それが何であるかまでは分からなかった。強弱なんてものも分かるわけもなく、話なんてすることもできない。だからこそ、真司が視ている世界がどうなっているのかなんて、本当の意味では理解してあげられてなかったんだと思う。 今、私はその視えないモノにな
last updateÚltima atualização : 2025-10-27
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第160話 誰!?

   生れ落ちるモノには色々とある。 例えば人の手によってつくられたものもまたその一つで、長いものでは幾年にもわたり原型を留めたまま残っていくものもあれば、すぐにでも新たなものが作られて、無くなってしまうモノもある。 それはモノばかりとは限らない。新たな人たちが生まれ、そしてこの世を去って行く。新たな命の芽吹きはまた新たな縁を結び、何年にも渡って縁が巡る事でその先にも、また新たな芽吹きを迎えることが出来る。   全く関係ないと思われているモノでも、実は元をたどれば――。 夏休みが終わって少し落ち着きを取り戻した学校の中では、すでに次の連休のことについて話が出ていた。巷ではそれをシルバーウィークというらしい。連休などには予定のよの字ですら立ったことが無かった俺だったのだが、ここ最近の俺の周りでは休みと聞きつけると少し浮かれる人が居る。 そのおかげという訳ではないのだが、何故か休みのたびに俺の所には予定というモノが経つようになってしまった。 時には少し本当に体を休めたいと思う時もあるが、せっかく立てた計画を無下にするわけにもいかない……という建前上は参加するを得ない。――なにせ断ると後が怖いからな。 そんな事を考えながら部室となっている部屋の中で、備え付けのパソコンに向かい、何を検索するでもなく投稿動画などを流し観していた。 部屋の中にはすでに放課後という事もあり、伊織はもちろんの事、カレンや市川姉妹の姿が見られる。ただ彼女たちは何かについて調べるわけでもなくおしゃべりしたり、時折ケータイにてポチポチと何かを打ち込んだりするくらいで、特に予定があるようには見えなかった。 つまりは部活という名目で、部室に集りただただ時間になるまで世間話をしているだけ。それがこの心霊研究部の内容だったりする。 ――部活ってこんなモノでいいのかな? 俺が彼女たちの方を見ながらそんな事を考えていると、長い廊下をバタバタと走ってくるような物音が遠くから段々と近づいてきている事に気が付
last updateÚltima atualização : 2025-10-28
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第161話 母さんの実家

   少し前にあった事をメンバーに話すと、みんななるほどと納得してくれた。そしてこれからはメンバーみんなが母さんの事を『司織さん』と呼ぶことになった。――なんでだよ!? 呼び名なんておば……。 俺の周りに冷気が集まってくるのを感じた。その正体は間違いなく母さんだろうと、母さんの方へと視線を向けるとにっっっこりと表現するしかない程、ゆっくり表情を変えた。――こわ!! ここにもエスパーが!? いや母さんは幽霊だろ!? どうして考えている事が読めたのかは分からないが、母さんの前でその言葉はNGワードみたいなので、その言葉を考えるのを止めた。  「そうかぁ……母さんの実家って〇〇市だったもんな……」「そうなんだ……」 俺の独り言が聞こえたのか、伊織から小さな声が漏れた。「あれ? 伊織は知らなかったんだっけ?」「うん。実家って言われるとお母さんの家にしか行ったこと無かったから。だからお義母さんの家の方には行ったこと無いよ」「あぁ……確かにそうだったな。父さんもあまり口に出さないしなぁ……」「だから行くのなら少し緊張するというか……」「あはははは……心配いらないぞ。爺ちゃんも婆ちゃんも凄く優しいから」「そう?」 シュンとする伊織をなだめるように、気が付くとまた伊織の頭をなでなでしていた。そしていつものように皆からジトっとした目で見られる。――いいだろ別に。義兄妹なんだし。 ぱっと手を放してから伊織を見ると、少しだけホホを赤く染めていた。嫌がるそぶりを見せていないから多分照れているだけだろう。 キャンプの事や母さんの事で話が盛り上がっていると、ガチャッという音と共に人が部室に入ってきた。「あら? 
last updateÚltima atualização : 2025-10-29
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第163話 俺達の為に

   「うわぁ……。凄く山間部にあるんだね……」「そりゃぁそうでしょう? キャンプをする場所は広い敷地が必要になるんだし、都会の真ん中でキャンプしてもビルばかりじゃない。面白くもなんともないわよ?」「それはそう……」 俺達の前の席で市川姉妹が外の景色を見ながらそんな会話をしている。俺と伊織は最後方の席で、流れゆく景色を黙って見ながらそんな車内の会話を耳にしていた。 遠出をする時になると活躍してくださるのが市川姉妹のご両親。今回のキャンプの話をしたら直ぐに車を出してくれる運びとなった。 俺達を送って行ってくれるだけではなく、そのキャンプ場で両親ともに俺達と過ごすらしく、二人共かなり乗り気になって準備していたと理央さんから話を聞いた。――送迎してもらえるだけってなると、本当に申し訳ないと思ってたから、これはこれでいいんだけどね。 楽しそうに会話する市川一家を微笑ましく思う。 相馬さんと日暮さんは、相馬さんの親戚を手伝うために先乗りしているとの事なので、キャンプ地に向かうのは俺達|義兄妹《きょうだい》二人と、市川一家の四人。今回残念なことに大野君は家族旅行で海外へと行く予定が既にたっていたので、俺達と一緒にキャンプするという事はできないという事で、かなり寂しそうにしていた。 前回の事を気にしている様子も少しあって、ちょっと遠慮した感じもあるけど、出来る限り俺達と共に同じ空間を共有したいと思っている様で、すこしでも前向きな方向へと気持ちを切り替えられた様子を見て、俺はほっと胸をなでおろした。――出来る限りのフォローはしてあげないとな……。 できればあのような暴露にも似た事はしたくは無かったが、隠しているままでこれから先に何かあれば、それは命取りになる事もあり得ない事じゃない。 知っていて行動するのと、知らないままで行動するのでは、その前の心構えが違ってくるし、出来る事の準備も変わる。俺達と一緒に部活を共にするので
last updateÚltima atualização : 2025-10-30
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第164話 始まり

   それから十数分後――。「さて、そろそろ着くよ」「良かった!!」「長かったわね……」 市川父が先の方を指さす。するとググっと体を伸ばしながら声を出す理央さんと響子さん。 俺や伊織も固まった体をほぐすために、ちょっとだけストレッチをすると、ホッとため息を同時に付いた。 キキッと甲高いブレーキ音をさせて車が止まる。 キャンプ場入り口という看板が出ているところから、更に少し進んだところに、専用の駐車場があり、俺達の車が止まるときには既に結構な数の車が停められていた。 車が止まったとにすぐドアを開けて外へと飛び出す理央さんと、持てるだけの荷物を手にしながら降りる響子さん。 そしてそれに続こうと俺も前の席へと手をかけ立ち上がろうとすると、伊織が俺の服の袖をくいっと引っ張った。「どうした伊織」「お義兄ちゃん、ここたぶんいるよ」「まぁ……そりゃ一人や二人はいるだろ? こういう場所だし、歴史的にも色々あった土地みたいだしな」「そう……なんだけど……」 少し不安そうな顔をした伊織の頭にぽふりと手を置いた。「大丈夫さ。みんないるんだし。俺もいるだろ?」「そうだね。皆が居るもんね」 ちょっとだけ元気になった伊織を見て、俺は伊織の方へと手を伸ばした。「行こう。みんな待ってるから」「うん!!」 俺の手をギュッと握り、伊織が立ちあがると、そのまま俺たちは車を降りた。 俺達が降りると、理央さんと響子さんはストレッチをしていたけど、市川夫婦の姿が見えない。 「あれ? おじさん達は?」「あぁ、二人は管理棟に付いた事の報告と、車の駐車の事を言いに行ったわよ」「あぁ、なるほどね」 理央さんがちょっと先にある建物を指差しながら説明してくれた。管理棟というぐらいだからしっかりとした大きな建物なのかと思っ
last updateÚltima atualização : 2025-10-31
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第165話 何か感じる?

   「…………」「お義兄ちゃん?」「ん? あ、うん……」 俺はその人影を見ながらも、伊織の言葉に返事をするので精一杯だった。――何でこうなるんだよ!! いつものことながらこういう事に巻き込まれる俺ってどうなんだろう? 視たくないと思っても視てしまうのはどうしようもないのかもしれないけど。「どうするの?」 ちょっと大きめのため息をついた俺に、伊織は俺の方を見あげながら訊ねて来た。「どうするって言っても……。とりあえずこのまま誰にも言わないでおこう。まずはキャンプを楽しまないとな」「わかった。それでいいのなら……」 伊織がこくりと頷きながら返事を返す。俺も伊織にこくりと頷いた。 そうして俺たち二人は、先ほど視たことをとりあえず見なかったことにして、皆の後を追うようにして歩き始めた。  俺達が借りられた場所は、周りでキャンプをする人の距離が遠く、チラリと人影が見える感じで騒音などの問題は起きづらい場所だった。 歩いて向かう途中で相馬さんが話してくれたんだけど、相馬さん達がバイトとして手伝いをするほどなのだから、連休中の宿泊やバーべキューだけをする人の予約が多かったらしい。  そんな中で俺達と共にキャンプ場を利用するという話を両親にしたところ、色々計らいをしてもらい公平さんに頼んでいい場所を先に取ってもらったそうだ。まぁつまりは親族特権を利用した感じなのだけど、俺達にちょっとしたお礼のようで気にする事は無いと、相馬さんは笑顔で語っていた。「遅いよ夢乃!!」 ちょっと広い場所に一人取り残された形になったのだろう日暮さんが、両手を腰に当てプンスカと相馬さんの姿が見えた瞬間に声を上げた。「ごめんね綾乃ちゃん。でもほら!! みんな連れて来たよ!!」 両手を合わせて日暮さんに謝
last updateÚltima atualização : 2025-11-01
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第166話 迫りくる気配

  「こうしてみんなで食べるご飯っておいしいよね!!」 モグモグと焼き立ての肉を頬張りながら相馬さんが笑う。「まぁそうね。そこは相馬さんの意見に賛成するわ」「でも本当の皆ではないんだけどね」 理央さんと響子さんは、同じように焼きあがった野菜を少しずつ口にしながら相馬さんの話に相槌を打つ。「カレンさんって来れるのかしら?」「うぅ~ん……難しいんじゃないかなぁ……」 日暮さんの質問に理央さんが答えた。 夕方になってきたので、早めに火を起しておいたバーべキュー用の窯へ金網を敷いたり鉄板を乗せたりして、持ってきた食材をジュージュー音を立てながら焼き始めると、山間にあるキャンプ場だからなのか、すぐに太陽が沈みオレンジ色の光線が目立ってきたので、少し早いけどランタンに火を入れて灯を確保し、俺達のいる場所の周辺へと置いてから、いざ晩御飯の開始である。  市川家で用意した食材や、相馬さんの家から提供された飲み物や食べ物などがたくさんあるので、皆遠慮せずにむしゃむしゃと焼きあがったと同時に食べ始める。 食べ始める直前には、相馬さんと日暮さんも合流したので、皆で一緒に星空の下で夕飯が始まったのだけど、話題は今一緒にいる事が叶わなかった人物のモノへと移っていた。「しょうがないんじゃない? だってライブが有るんでしょ?」「まぁそうよねぇ……。さすがにそれをほったらかしにして私達と一緒にってわけにはいかないものねぇ」 相馬さんが今度は大きな茄子にかじりつきながら話すと、響子さんはため息をつきながら答えた。「ねぇお義兄ちゃん。カレンさんから連絡は来てないの?」「え? 俺に?」 伊織が俺に質問を投げかけると、皆の視線が俺に向いた。「いやいや。俺には何も来てないぞ。それじゃなくて伊織とか響子さんや理央さんには来てないのか?」 そういうと皆が自分のスマホを確認し始めた。「やっぱり難
last updateÚltima atualização : 2025-11-02
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第167話 デフォルメされたくまさん

   「伊織!! 伊織起きろ!!」「むにぃ……? んにぇ?」「寝ぼけてないで起きろって!!」「……お、お義兄ちゃん? どうしたの?」 起きがけの伊織を見る機会などそうそう無いので、堪能したいところをグッと堪え、いまだにボヤッとしてふにゃふにゃな伊織を俺の隣に座らせると、こちらに近づいてくるモノの気配をまだ頭の回っていない伊織に伝える。 「そ、そっか!! う、うん!! お、起きた!!」「良し!! じゃぁそっと外を覗いてみてくれ」「う、うん!!」 数秒から数十秒の間で薄暗いテントの中でもはっきりとわかる位、伊織の瞳がようやく力強さを取り戻し頭が始動を始めると、なるべく音をたてないように静かに、それでいて素早くテントの入り口の方へと顔を近づけ、そっと布を少しだけめくって隙間を作り、夜でほぼ視界の利かない暗闇の中へと視線を向ける。 そのまま外の様子を静かに見ている伊織と、その伊織を見守る俺。「うん。確かにこっちに近づいて来るみたい……」「だよなぁ……」「どうするの? お義兄ちゃん」「うぅ~ん……」 暫く腕を組んで考える俺と、俺の方へと顔を向けてジッと答えを待つ伊織。――いつもより近いような気がするけど……。まぁこういう状況なら仕方ないか……。 すぐ近くから伊織の体温を感じそうなほどの距離。最近では当たり前に側にいる事が多くなったけど、少し前までは考えられない状況だ。 そうして考えている間にも、こちらに近づいて来る者たちの気配がだんだんと強くなってくる。「……俺達で何とかできないかな?」「……難しいと思うよ?」「伊織でもか?」「うん。だって…&helli
last updateÚltima atualização : 2025-11-03
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第168話 見た?

   伊織と向かい合ってお茶を飲んでいるが、伊織が何とも言えないデザインのパジャマを着ていた。――確かに可愛いとは思うけど、普段の伊織とのギャップが……。 などと考え事をしていると、それまでしていた衣擦れの音がしなくなっている事に気が付いた。「もう……いいよ……」「うん? 着替え終わったのか?」「うん」 伊織からの返事が返ってきたので、俺はようやく体の向きを変えることが出来た。そしてそんな俺の目の前には、先ほどまでの可愛らしさの有った服装とは打って変わって、動きやすさ重視なんだろうけど、それでいてスッキリとした形の黒のパンツと、季節と風景を意識して選んだであろうライトグリーンのシャツに、クリーム色のパーカーを合わせた姿の伊織がちょこんと座っていた。 ちょっとだけその姿を見て黙る。「な、なに? どこか変かな?」 俺が黙っている事で少し不安になった伊織が、自分の姿を見回した。「いや……。似合ってると思うぞ? うん。可愛いと……思う」「……ありがと……」 尻すぼみに小さくなった俺の言葉を受けて、伊織もまた小さく返事を返してくれた。その姿がどこか恥ずかしそうにしているので、俺もまた何故か恥ずかしくなってしまった。「じゃ、じゃぁ俺も着替えるよ」「う、うん。あ、私、朝ごはんの支度しに行ってくる!!」「おう!! 頼むな!!」「うん!!」 勢いよくテントから飛び出して行く伊織の後ろ姿を見送ると、俺もまたきがえをはじめるのだった。 「おはようございます」「あら、おはよう。早いのね」 テントから出て伊織の事を手伝おうかと炊事場へと向かって行くと、そこには用意された野菜を手早くカットしていく市川母の姿が有った。「よく眠れた?」
last updateÚltima atualização : 2025-11-04
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第169話 ハムスターみたい

     皆を起し終わり、市川父を手伝って火おこしの準備を整えていると、炊事場の方から色々な食材が綺麗にトレーに載せた皆が戻ってきた。 それからかまどや昨日のバーベキューセットの上に鉄板や鉄の網を載せて、ジュ―!! と音を立てながら食材を焼いたりしていく。 その隣で小さなかまどの上で小さな鍋を火にくべお湯を沸かす。このお湯は食事の時一緒に飲むスープやコーヒー用だ。 周囲にいい匂いが立ち込め始めると、いそいそと紙の皿を出したり、食材の入っているクーラーボックスから食パンやバゲットなどを取り出し始める理央さん達。準備ができたと市川母から声が掛けられる頃には、昇ってすぐの位置に有った太陽は少しだけ高くなっていた。「良しまずは食べよう!!」「いただきます!!」「「「「「いただきまぁす!!」」」」」 市川父が用意された椅子に腰かけながら声を掛け、キャンプ2日目の朝ごはんが始まった。 前日の夕飯は時間的には既に夜に差し掛かっていたこともあって、テントの準備や夕飯の食事の準備などで慌ただしく、周囲の様子は良く見えないまま火が通ってきたらすぐに食べ始めたので、朝になって自分たち以外がどのように過ごしているのかをようやく少し落ち着いた状態で見ることが出来た。 ちょっと離れた場所にテントを張っている人達も、朝食の準備をしている様で、忙しなく動き回っているのが視界に入ってきた。 ただ、キャンプ場自体が山間にあるという事もあり、ちょっと視線を樹々の生い茂る林の方へと向けると、静かに降り注ぐようにして視界を防ぐかのように漂う霧がその先を見る事の邪魔をしている。――たしかあっちの方へ行ったよな……。 深夜とも早朝とも言われる時間帯に見た者たちの移動していった先を見ながら、俺は手に持った食パンをかじる。 そんな俺の視線に気が付いたのか、視線を戻すと日暮さんが俺の方をじっと見つめていた。「真司君。なにか――」「あ、いたいた
last updateÚltima atualização : 2025-11-05
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