「公平さん。率直に聞きます。あの方向には何かあるんですか?」「あの方向?」 俺はスッと腕を上げ、その方向を指差すと、公平さんは俺の腕の方向へと視線を向けた。「っ!?」 そしてその方向を見て、目を大きく見開き驚愕の表情をする。「……君は……何かを見たのかい?」 視線はそのままで俺に声を掛ける公平さん。その声は少しだけ先ほどまでの声よりも低くなっていた。「そう言われるという事は、何かあるんですね?」「…………」「言いたくないのであれば別にいいですよ。このまま何もしないでいて、皆に何かあったら嫌なので後ほど確認しに行こうとは思ってますけど」「お義兄ちゃん?」 何も言わない公平さんに聞かせるようにして話をしていると、それを聞いた伊織が俺の方へと詰め寄ってきた。「何それ? 聞いてないんだけど?」「ん? だってこのままじゃ安心できないだろ? 確かに感じるのは俺と伊織しかいないかもしれないけど、皆に何も被害が出ないとは言い切れないわけだし。なら先手必勝?」「先手必勝って……ちょっと違うと思うよ?」「あはは。気にするな」 伊織と話をする間も、公平さんは視線を変える事無く俺が差していた方向を向いて動かなかった。「じゃぁ今日の予定はそんな感じ?」「え?」 公平さんを連れて来る時に一緒に来ていた平先生が、そこでようやく声を掛けてくる。「皆にもその事を言わないとね」「あ、いや。行くのは俺だけで――」「「ダメ!! (です!!)」」 元から一人ででも行こうと思っていたので、そう言おうかとしたら平先生と伊織から先にダメ出しをされてしまった。「じゃぁ私は皆を呼んでくるわね」 そういうと平先生は皆の方へと歩いていく。 その後ろ姿を見ていたら、公平さ
Terakhir Diperbarui : 2025-11-06 Baca selengkapnya