-――人が大勢いるのは楽しい。男の子同士のふざけた遊びも楽しい。 女の子同士の秘密の恋バナも楽しい。聞いてるだけでも楽しくなる。でも話しかけられない。話を聞いてもらえない。 呼ばれた時は嬉しかった。必要とされてる気がしたから。私にとっては大切で大事な事でも、この子たちにとってはただの遊び。呼ばれることが多い時もあるけど、それも長く続かない。 そして人は変わっていく。 今年も来年もまた人が変わる。 今年も来年もまた人は変わる。 その時また呼ばれるのだろうか……。 私はまた待ち続ける。その時が来るまで、その人が来るまでいつまでも、いつまででも――。 今、鼓動はバクン! バクン! いっている。立ってるだけなのに手汗がびっしょりだ。 授業が終わった放課後だというのに、涼しくなるどころか熱い日差しもあって、全身から汗も噴き出して滝のように流れている。 俺は今、体育館の裏で女の子と二人だけで向き合っている。 二時間ちょっと前――。 昼飯を食べに屋上に行っていた俺は、予冷が鳴る前に自分の教室に向かった。特に早く戻ってもやることは無いけど、席についてぽ――っと窓の外を見ているのが結構好きだったからだ。 しかしなぜかこの日は、俺が教室へ戻るとクラスメイトがざわついた。いつもそんなことはないから少し気になったが、特に変わった様子はないので自分の席に着いたのだ。 [藤堂 真司 様へ] 見慣れぬかわいい封筒に俺の名前。「よう、真司。なんかさっき女子がソレ置いて行ったぞ」「なんだ藤堂やるなぁ!!」 とか、周りの男子は言ってるけど。「なんじゃこりゃぁぁぁぁ!!!」 叫んだのは言うまでもない。――で今である。「あの……手紙&hel
Terakhir Diperbarui : 2025-06-29 Baca selengkapnya