Semua Bab 幽霊が見えるからって慣れてるわけじゃない!!: Bab 71 - Bab 80

96 Bab

閑話 第8話 結婚しろ

  「珍しいな藤堂。お前が俺に頼み事してくるなんて」「ああ。本当言うと頼みたくはねぇんだが……ウチの署員じゃ信用できんから仕方なくだ」「ほう……。では俺は信用していると」「仕方なくだって言ってんだろ!! 耳ついてねぇのか!!」 車の後部座席でお互い前を向きつつ俺と言いあっているこいつは結城哲平《ゆうきてっぺい》。 なんと警視庁の捜査員である。大学の同期ってだけで仲良くはないんだが、こういう時は何かと動いてくれたりとなかなか頼れるやつで助かっている。しかもなぜか所轄の俺や村上の事を気にかけてくれているようで、今まで頼んだことは断られたことを数える方が早い。 それに今回の頼み事は内容が内容なだけに、ウチの所轄内はもちろん近くの所轄の人間でさえ頼み込めるだけの適合者がいないのが実情。――背に腹は代えられないってとこかな。「で、要するにお前のところの課長を探ればいいのか?」「そうだ。頼めるか?」「……上げてもいいのか?」「……時と場合によってはな」 少し長い沈黙が車内に落ちる。「いいだろう」「本当か!?」「条件がある」 こいつに頼みごとをするといつもこうなのである。だから頼み事はあまりしたくないのだが、こいつが見返りに求めて来るもののほとんどは、ちょっと苦労するくらいで達成できるものばかり。だからと言って好き好んでやりたいやけではない。「なんだよ……めんどくさいのは無しだぞ。それと所轄の俺達に出来る範囲の事なら聞いてやるよ」「この一件がかたずいたら……お前結婚しろ」 コイツから発せられるとは予想していなかった言葉を聞いて固まる。改めて説明することもないだろうけど、俺はこいつに何も話してはいない。もちろん何もと言う件は柏木さん親娘の事だが、こいつがその事を指して結婚しろとか言ってるならとてつ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-19
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閑話 第9話 鋭い息子

   その日は突然訪れた。 まだ小鳥のさえずりさえも聞こえない夜と朝とも境目の時間帯。  間もなく山の背中から顔を出す太陽の光で空が赤焼けしている頃、出しっぱなしのケータイの着信音が狭い茶の間に響き渡った。布団の中で丸まったままの俺は、ケータイを手にして表示されている名前を確認する。[結城哲平]「あの野郎……こんな朝から……」 仕方なく体を無理やり起こして布団から頭と腕だけを出してケータイを握り直す。 昨晩飲んだビールの缶などが置いたままのテーブルにメモ帳を放り投げる。そのまま考え事を始めたのと同時に意識がどんどん薄くなっていく。 ジリリリリン!!  ジリリリリン!! 昔懐かしの黒電話の着信音。  これは同業者に設定しているもの。「はい、藤堂……」 「やっと出やがったか!!」  朝から聞きたくもない声をケータイから聞かされた俺はそこからものすごく機嫌が悪くなっていくのを感じた。「こんな朝からてめぇの声なんざ聴きたくねぇよ……切るぞ!!」 「お、おい!! ちょっと待て!! 情報が入ったんだ!!」 「情報だぁ!? 変なのだったら容赦しねぇぞ」 「それは大丈夫だ!! お前んとこの課長さんの話だからな……」  それまでの冗談めかした会話から一転。二人とも真面目な声色で語り始める。 もちろん俺は布団からしっかりと出てしっかりとメモを取り、いつでも出かけられるように準備を始める。「お父さん……」  声がした方に振り向くと真司が枕を抱えながら襖の《ふすま》のそばに立っていた。「真司か……すまん起こしたか?」 「ううん……大丈夫」 「これから出かけなくちゃならなくなったんだけど大丈夫か?」 「そんなに子供じゃないから平気だよ。それに……」  まだ見る限り明らかに子共だろ? 自然に笑顔になる。「それに? 」 「伊織ちゃんのお母さんにれんらくするから……」 「おま!! どうして
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-20
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閑話 第10話 なぜ動かない

    俺達が目にした光景――。    なにやら人が多く連れられてきている。その人たちはだんだんと建物の中に入れられて行き、出てくるのは白いクーラーボックスのような箱。「なんだこれは……」 「あまり当たって欲しくは無かったけど……慎吾の思っていた、いや真司の話はやっぱり本物だったようだな」 「ああ……。藤堂どうする? 突っ込むか?」 車の中で光景を静かに見つめる中交わされる会話。同乗してる結城は俺達所轄とは違い命令権を持っているのに、なぜか俺に聞いてくる。それが不思議でならない。「なぁ結城」 「なんだ?」  表情が変わらないままで俺の顔をじっと見る結城。「お前たちが先にここに網張ってるんだからすぐに動けるんだろ? なのになぜおれに聞く?」 「あぁそうか……俺や慎吾よりも動きやすいはずだな。なぜだ? なぜ動かない」  村上もその事に気づいたようだ。 後部座席の結城はもともと何を考えてるかよくわからない奴だけど、ここで俺達に遠慮するような奴じゃない事は付き合いから分かっている。その言葉によって動員できる人数も俺達二人の比じゃない。 「ふっ……。何のことだ? 確かにここには自分の息のかかっている捜査員が数人いるにはいるが……中に入って行く事はないぞ」「なに!?」 「何を驚く。これは君たちの事件だろ? ならばウチが動いて手を出すことは無い。俺は犯人が挙がってさえくれればいいんだからな」 「でもそれじゃぁ……今お前がここにいるのは?」 「俺か? 俺はお前たちの同僚としてだ。ただそれだけだが? 手伝って当たり前だろう?」  俺と村上が顔を合わせて苦笑いする。「バカだ」 「あぁバカだな」 「む!! なんだと!!」 そう言いながらガチャガチャと腰に下げたモノを確認する。 「そろそろ来る時間だぞ……」 「ヤツか?」 「そのはずだ」  停めている車の前に一台の黒塗りの高級車が停まる。それから
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-21
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閑話 第11話 愛してる

   何よりも結城の野郎が人は数人しか……とか言ってたくせに後からなだれ込んできたのは数十人規模で俺と村上が唖然とする中、物的証拠などをあらかた回収して持ち運んで行ったり犯人を連行していったりと素早く短時間のうちに片付いてしまったのだ。その後から遅れてウチの捜査員が到着した時には結城を残してその人たちも姿を消していた。 まぁ、そのモノがウチの署に大量に届いたと連絡が入った時にはかなり驚いたが、結城が言っていた「ただの連れ」って言葉は嘘じゃなかったって事だ。 アイツには感謝しかない。――あれ? でもこれってあの約束が……。 なんて考えてうろたえたが、この後の事務処理的な事を考えてたらすっかり忘れてしまっていた。俺の足の痛みと共に。 「「「カンパーイ!!」」」 ウチの班のメンバーだけが集まったささやかな慰労会が俺の行きつけの居酒屋で行われている。なんだかんだといいながらも、勝手な行動に走り気味の俺についてきてくれた事に感謝の気持ちを込めて開いたこの飲み会に、は俺も含めて七名が参加している。村上は諸事情が有るからと遅れてくるらしいのだが、その代わりというかなぜか乾杯の前から結城の姿があった。「おい結城!!」「どうした? 飲まんのか?」「てか何故にお前がここにいる!!」 何を言っている? というような顔をして俺の事を見る結城。「なぜって……呼ばれたからな」「なに!? 誰に!? 俺は呼んでないぞ!?」 俺達の話を横で聞いていた同僚たちはそこにいるのがさも自然な事のように、結城に対して普通に話をしたりお酌をしたり、時には少し仕事の内情などを聞いているヤツもいたけど、意外にも盛り上がりを見せて俺と結城の会話を途中で途切れさせた。何か不自然だなぁって思いながらも、その場がしらける事もなく皆が楽しく飲んだり食べたりしているのでひとまずは安心して俺も飲むピッチを少しだけ上げることにした。 俺だけがこの盛り上がりに乗り遅れるわけに
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-22
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第64話 私のカレシ

     悲しい思いをするのは自分だけでいいと思っていた。それなのにまたあの時の繰り返し。  今度は止められる? それとも護ってあげる?  どれが正解か分からないまま、私はこの子に憑《つ》いている。 あなたを守りたい。皆を守りたい。そしてこの舞踊も守りたい。 時が経ってまたこの年が巡ってきた。あの時の記憶、忘れられない記憶、私が私でなくなった記憶。 悔しい哀しいでも守りたいモノが私にはある。その事も忘れてはいない。この想いが分かってくれる人、私はこの子の後ろでずっと待ち続けるだろう。    俺は頭を抱えていた――  目の前には伊織とカレンと幽霊の母さんが座っている。もちろんカレンには母さんの姿は見えていないけど。 ここは俺の部屋。真夏の暑い最中である。 俺の背中には暑さから流れ出る和えではない冷えたモノがツツーっとシャツを濡らしていた。俺が固まってる間に伊織が対応したみたいで気づいたら電話は切れていた。  それから1時間後が今の状況だ。「な、なんでカレンがここに?」 「あ、ごめんね。お義兄《にい》ちゃんが違う世界に行ってる間に話が進まないからカレンさんに来てもらっちゃった」  ペロッと舌を出しながら顔の前で手を合わせる義妹《いもうと》。まぁ、あの状態だから怒ることはできないけど。「そろそろ夏休みじゃない? だからみんなでどこかに行こうって話になったんだけど、どうかな?」  まるでさっきの会話が無かったみたいに笑顔で話を振ってきたカレン。その周りをフワフワ飛び回りながら興味津々な母さん。――どこを突っ込んでいいやら……。「みんなって?」 「もちろん、響子と理央とあんたたち義兄妹《きょうだい》よ」 「え!? 私もご一緒していいんですか!?」 「もちろんよ!! 伊織ちゃん大好きだものぉ~!!」  きゃ~きゃ~言いながら顔をくっつけあってすりすりしている二人は非常に絵にはなる。なるんだけど……。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-23
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第65話 あれかぁ!!

   『もし、無事に身体があって、元に戻ることができたら……シンジ君、あなたの彼女になってあげるよ』   キャッって感じで両手をホホに添えてもだえるカレンと、その言葉を聞いて目が見開かれる伊織。そして俺の脳裏にもようやくあの時の事が思い浮かんできた。 「あれかぁぁぁぁぁ!!」 絶叫から生還してカレンに詰める。「おまえ、あれの事言ってたのか!?」  俺は今更ながら混乱していた。確かにそんな話をしてたような気がしているけど、まさか今更そんな話が持ち上がるなって思ってなかったから。――あれからどれくらい経ってると思ってんだコイツ……「そうよ!! だって約束したでしょ!! だから私が今シンジ君のカノジョなわけよ」 「だって、まさか本気で思ってるなんて考えてなかったし。それに……」 「何よ!?」 「みんなからそんな事聞かれてもおまえも否定してただろ?」 「あたし、否定した覚えなんて一回もないけど?」  首をかしげてこちらを向くカレン。――こんな状況じゃなければかわいいって思っちゃうんだけど。今はそれどころじゃないな。そんな事言ったって、響子さん達に聞かれた時とか…。あれ? セカンドのみんなに聞かれた時とかも……。 あれ? あれ?? た、確かに思い出してみれば、俺が否定してるだけでカレンは一回も否定はしていない。    ブワッ! っと体中から汗が噴き出してくるのが分かる。「まて、だいたいあの時のカレンは自分の意識のもとで霊になったわけじゃないんだから、普通は戻ったら記憶とか無くなってるはずなんだよ。そのままなんて事は考えてなかったから想定外だ」 む~っと口を結んでいたカレンが一言。 「じゃぁ今から考えなさいよ」 「え!?」 「答えを出せって言ってるわけじゃないわ。考えといてって事よ」 顔を真っ赤にしてカレンが下を向く。 「あの、え~っと……私ってお邪魔ですかね?」  部屋にいたけど声を出せずに固まったま
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-24
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第66話 やはりそうですか

  夏休みまであと二週間と迫った俺は学校で机に向かって紙をにらみつけていた。「……わかんねぇ。もう無理……」 キーンコーンカーンコーン「はい!! 終了!! そこまでだ!! 後ろから順に集めてきて!!」 先生の声と共に集められる答案用紙。期末考査の真っ最中である。 夏休み前にあるこのテストを潜り抜けなければ、高校生になって初めての夏休みに学校に登校するっていう苦行を強いられてしまう。 ちなみに俺はここまでの成績から言うとちょうど学年の平均くらいの位置にいる。気を抜くとかなり危ない。 特に苦しめられているのは数学だ。中学生の時から比べると、突然レベルが上がってるように感じる。もともと苦手意識があったのに、今では完全に嫌いで苦手な教科になった。つい最近各学校共にテスト期間が近づいているという事で勉強会ならぬおしゃべり会が市川邸で行われたのだが、そこでも釘を刺されてしまった。「いい!! せっかくの計画なんだから、補習なんかで、潰さないようにね」「な、何で俺に言うんだよ!! カレンだって人の事言えないだろ!!」「残念だけど、カレンは成績いいのよ?」「そうなのよねぇ、こう見えてけっこう頑張り屋さんなのよぉ」 意外としか言いようのないカレンの成績評価だ。なのにどうして普段はああなのだろう? 「普段からそれらしくしてれば、良い子なんだけど」「確かに」「普段はポンコツお嬢だからなぁ」「きぃ~っ!! ポンコツ言うな!! みんなで何よ!!」 きゃいきゃい相変わらずにぎやかだ。こんなんだから[おしゃべり会]とか市川夫人に笑われちゃううんだよ。この勉強会には伊織も参加しているが、テーブルは同じだけど何も話をすることなく、黙々と下を向いて勉強していた。さすが我が義妹《いもうと》真面目である。「それで、いつから行くのか決まったのか?」 カレンの頭に電球が浮かんだ。ピコーン!! て感じで。「そうそう! それも話しておかなきゃね。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-25
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第67話 水着!?

  「やっぱりって、心当たりがあるんですか?」 このセリフ。俺は言った瞬間にやっちまったと心の中で舌打ちした。「やっぱり藤堂クンなら気になると思ってたんだよぉ。良かったぁ声かけて。私じゃどうしようもないもん」 そう言いうと満足そうにマグカップに手を伸ばす相馬。完全にはめられた感がするけど、このままにしておくってのも気が引ける。この性格を何とかしたいとは思うけど、目の前の困りごとは小さい時からほっとけないんだよなぁ。「はぁ~」  深いため息が自然と出てしまう。こういう流れになってしまったなら覚悟するしかない。「わかったよ話は聞くけど、日暮さん俺には払ったりするような力はありませんよ」「ええ。それは夢乃ちゃんから聞いています。 それに……今私の後ろに憑《つ》いている方はたぶん私の血縁者でしょう。そういう心配はいらないと思います」「と、いうと?」 自分から憑《つ》いてるモノについて知っているし、この落ち着き方。俺は少し興味がわいて来ていた。「ええ、私は今の学校におじさんの家から通っています。実家は隣の県の〇〇市にあるんですけど、そこで夏に開かれるお祭りがありまして、そのお祭りに代々携わってきているんです」――あれ? 〇〇市っていったら俺達が夏に行く場所の隣じゃないか。「そのお祭りは竜神様を鎮めるというのが本来の目的で、その鎮める巫女と|守《も》り人として続いてきたのが私の家なのですが、今年は荒れ狂う年と言われている数年に一度の年でもあるんです」「へ~。じゃぁ日暮さんとか数人で鎮めるの?」「はい。その日は三人の巫女と三人の守り人が踊りながら鎮めることになってるんです」 俺は一度カップの中のコーヒーをすする。 それを見て日暮も唇を潤した。「そこまでの話を聞く限り、特別何か起きそうにはないんだけど」 下を向いた日暮さんの肩に女性の霊《ひと》が手を添えた。「ちょっと前のこのお祭りで死者が出てしまったんです。その年以降のお祭りでは失敗が続
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-26
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第68話 私もそう思うよ

  「――では、明日から夏休みですが羽目を外さないように。以上!!」 そう言って担任の先生が教室から出ていくと始まる喧噪。「「「よっしゃー!!」」」「「「夏休みぃぃ!!」」」 いろいろな声が教室を揺らす。俺も楽しみではあるんだけど、高校生になって初めての夏休みだし。今までは部屋からあまり外出の予定はなかったけど、今年は少し違う。何と言っても今年の夏休みは水着が待っているのだ。しかも四人も!! (伊織を含む)「さて……と」 夏休みに入った途端に飛び出していく生徒たち。  俺はその波に巻き込まれないように、ゆっくりと立ち上がり、誰もいなくなった教室を後にする。四月に入学してもうすぐ四か月になるけど、長かったような短かったような……。知り合いが増えたし、親友と呼べる存在がそうさせてるのかもしれない。そう考えると、この学校生活は悪くない出だしだと思える。しか知り合えたのが女の子ばかりというのが少し気がかりではあるが。 ブブブブッ ブブブブッ 何者かからの着信を知らせるように震える衣類。こういうタイミングで電話をかけてくる奴は分かっている……。ポケットにしまっておいたケータイを取り出して、着信表示の名前を確認する。「え!? 日暮……さん!? っと、もしもし!?」「あ、ごめんなさい。藤堂クン?」「あ、うん。ど、どうしたの?」 予想外の人物、しかも女の子からと言うだけでブワァ!! って全身から滴るほどの汗が出てくる。夏休みの件もあるし連絡用のアドレスや番号も交換し合ったと言は言え、正直自分にかかってくるとは思ってなかった。「少し話しておきたいことがあるんだけど、もう帰っちゃったかな?」「え~っと、まだ学校にはいるんだけど日暮さんはどこに?」「良かった。じゃぁこのあいだ話を聞いてくれた喫茶店にいるから来てもらえるかな?」「う、うん。じゃぁこれから向かうよ」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-27
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第69話 そんなキャラだっけ?

   夏休みと言っても特にいつもと変わったことは無い。 少し夜遅くまで起きてたり、昼過ぎくらいまで寝てるなんてことは、今までの週末となんら変わりないのだ。 違いなんていえるのは、学校に行かないってくらいのモノだろう。 その代わり宿題はたっぷりと出るからタチが悪い。コツコツやれば十分に終わるようにしっかり計算されてるみたいだ。 数日間はノートを開いて辞書を出して調べたり、インターネットを駆使して調べ物したりと真面目に取り組んできたものの、三日目あたりから飽きてきた。 この間に遊びにいくなどの用事もなければお誘いもなかった。結構凹む。 こんこん「お義兄《にい》ちゃん?」「は、はい?」 ベッドの上で一人モヤモヤしてると、開け放たれたドアを律義にたたきながら小さな顔が覗き込んできた。「ちょっといいかな?」「おう全然大丈夫!! なんの予定も今のところないからな」「あ、う、うん てへっ」――あ、今伊織が笑ってごまかした。かわいかったけど少しショックだ。  テクテクと部屋に入って来てクッションの上にぽふっと座る。そしてあの時以来何故か母さんが姿を現すようになって、今も当たり前のように伊織の隣に座っている。「あのねお義兄ちゃん。今回の話なんだけど……たぶん私達だけじゃ解決できないとおっもうんだよね」『そうねぇ……あなた達だけじゃかなり不安ねぇ』「俺もそうは思ってるんだ。仮に日暮さんの話が真実だったとしたら事件になる。そんな事になった到底俺達じゃ解決どころか傷口を広げてしまうだけかもしれない」「傷口?」「うん。被害者だよ」 少し考えていた伊織が何かに気付いたかのようにクチに手を当てて目を大きくする。「母さんはどう思う? あの日暮綾香さんの事」 腕を組んで少し考えるような姿勢を取ると、近頃は見せてなかった真剣な顔を向ける。『彼女はたぶんこの
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-28
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