「誓うわ。私も、一矢を一生大切にする……! だって、私もずっと、ずっとずっと一矢が大好きだったの……!」 間髪入れずに一矢の胸に飛び込んだ。ぎゅうっと力いっぱい彼を抱きしめて、そのぬくもりを確かめるように、何度も彼の胸元に頬を寄せた。「伊織も同じ気持ちでいてくれたのか。嬉しいぞ」 一矢は目を細めて優しく微笑んでくれた。互いの顔が少しずつ近づいていく。そっと目を閉じると、ふわりと優しく唇が重なった。 本当ならここが初めてのキスになる予定だったのに。もう既に一矢との初めてを済ませてしまったから、これは二回目――セカンド・キスということになる。「伊織、実は……お前に謝らなければならないことがある」 唇を離した一矢が申し訳なさそうに口を開いた。「今、お前はこのキスが初めてだと思っているだろう? だが実は、違うのだ」「知ってるよ。二回目でしょ?」「なっ……! どういうことだ伊織! 私以外の男と、まさか――」 一矢の顔が見る見るうちに青ざめていく。私は慌てて弁解した。「ば、ばばばかっ! 違うわよっ! は、初めてこの屋敷に泊まった夜、一矢、私に勝手にキスしたでしょっ! 私、気づいていたんだからっ! あれ、どういうつもりだったのよっ!」「お前っ……! あの時、起きていたのか!?」 端正な旦那様の顔に、明らかな焦りが滲み出た。「なぜ言わなかったんだ! 眠っているとばかり思っていたのに……!」「す、好きな男が隣で寝ているのに、そう簡単に眠れるわけないでしょーがっ!」「なっ……その、『好きな男』というのは……まさか、私のことか?」「他に誰がいるのよっ!」 青白かった旦那様の頬が、みるみるうちに真っ赤に染まった。「すまない……お、お前のファースト・キスがどうしても欲しかったのだ。他の男に盗られる前に、せめてそれだけは、主人である私のものにしたかった……。お前の気持ちも確かめず、勝手にしてしまって悪かった」「もういいよっ。キスの初めては、好きな人のために取っておいたんだから……」 自分で言いながらも恥ずかしくなり、私も一矢に負けないくらい真っ赤になってしまった。「伊織」 そっと私の頬に手を添えて、一矢が真剣な眼差しで見つめてきた。「その『好きな人』というのは、私のことだと、思ってもいいのだな?」 こくん、と静かに頷く。「伊織……」 一矢
Last Updated : 2025-07-19 Read more