そんなことを考えていると、相川さんがふいにこちらを向いた。 目が合い、にこっと笑われる。「どうしました? 僕に見惚れて」 その言葉に、顔がカッと熱くなる。「み、見惚れてなんかないです! ……ただ、どうして私なのかなって思って。 あ、やっぱり祖父たちに遠慮してるんですよね? 私もそうなんです、困りますよね、勝手に決められちゃって。 それか、私みたいなのが珍しくて、ちょっと興味出たって感じですかね!」 恥ずかしさを隠すように、私は早口でまくし立てた。 言い終わったあと、相川さんはしばし呆気にとられたような顔をしていた。「はい?」 首を傾げながら、なんとも言えない表情で私を見る。「おじいちゃんたちに遠慮してるなら、そんなこと気にしなくていいんですよ! 私だって──」「……あ! あの子、迷子じゃないですか?」 突然話題を変えられ、私はびっくりして相川さんが指さす方向を見る。 そこには、小さな子どもが不安そうな顔でウロウロしていた。「相川さん、ちょっとすみません!」 思い立ったら即行動な私。 相川さんをその場に残し、迷子らしき子どもへと駆け寄った。 「大丈夫だよ、お母さんとはぐれちゃったかな? 一緒に探してあげるからね」 私は子どもの手を取る。 今にも泣き出しそうな顔で、必死に涙をこらえている姿に胸が締め付けられる。 あたりを見渡してみるけど、母親らしき人影は見当たらない。 どうしよう──。 このまま動かない方がいいのか、でも……。 迷っていると、隣から声が聞こえた。「しばらくここで待ちましょう。 もしかしたら、お母さんが戻ってくるかもしれません」 相川さんだ。 そう言って、子どもの頭を優しく撫でていた。 子どもはきょとんとした顔で相川さんを見上げ、そして、こ
最終更新日 : 2025-09-16 続きを読む