「おかえりーっ」 「おう流華、お土産あるぞ」 学校から急いで家へ帰った私の目は、点になっていた。 玄関へ入った途端に、楽し気な声が聞こえてきた。私はすぐにそちらへと駆けていく。 すると、とんでもない光景が目に飛び込んできたのだ。 居間で、ヘンリーと祖父が仲良くお酒を酌み交わしている。 あ、ちなみにヘンリーはジュースだ。 机を挟み、向かい合わせに座った二人は酒とつまみを前に、私に微笑みかけてきた。「いったい……どういうこと?」 私はこの事態がなぜ起こっているのかわからなくて、目をしばたたかせた。「私が説明いたします」 いつの間にか背後にいた龍が、私にそっと耳打ちしてきた。 詳細はこうだ。 祖父はたまたま予定より早く旅行を切り上げ、家へ帰還した。すると、家の中をうろついていたヘンリーに出くわす。 はじめ驚いた祖父はヘンリーを捕らえた。しかし、ヘンリーがタイムスリップしてきたことを知ると、祖父の態度が一変したらしい。 興味深そうにヘンリーの話を聞き、故郷のことやこちらへ来てからの感想など、根掘り葉掘り聞いていたそうだ。 昔から祖父はそういうところがあった。 いつも好奇心溢れた少年のような心をもち、人生に楽しみと面白さを求めている。 きっと祖父の好奇心に、ヘンリーはマッチしたのだろう。 それから、祖父とヘンリーは仲良く話し込んでいたそうだ。 そこへ私が帰還した、というのが龍から聞かされた大まかな流れ。 なるほどね……なんとなく想像できる。 私があきれながら二人を見つめていると、祖父がとんでもないことを言い出した。「なあ、流華よ。ヘンリーもおまえと一緒に学校へ行かせてみてはどうだ?」 「は!?」 「何を言っているのですか!」 私と共に、龍も驚いて目を剥いた。 祖父が突拍子もないことを言うのには慣れていたが、今回はさすがの私も驚いた。
Last Updated : 2025-06-09 Read more