「そろそろ薬を替えましょう」医者が外から軽くノックした。悠良は反射的に素早く伶を押しのけ、乱れた髪を慌てて整える。医者はまるで見慣れているかのように平然と中へ入り、伶の前に立った。「ガーゼを替えますよ。今夜は外出したみたいだし、薬ももう染み出しているはずです」伶は素直にベッドへ横になった。「お願いします」医者はカーテンも閉めずに、手を伸ばしてズボンを下ろそうとした。だが伶は腰帯を掴んで止める。「待って。カーテンを閉めてもらえますか」医者は思わず笑った。「なんですか。恋人同士なのに、今さら隠すなんて」悠良は黙ったまま。むしろカーテンを閉めないでほしい。そうすれば彼の腿の付け根に本当に傷痕があるかどうか確認できるからだ。前にやっとの思いで機会を得たのに、結局見られなかった。伶は口元を押さえて小さく咳払いする。「うちの彼女は大胆なんです。今の俺の状態、先生ならわかるでしょ」声は小さく、医者だけに聞こえる程度。その言葉に医者は一瞬ぽかんとし、それから思わず悠良へ視線を向けた。怪訝な視線を受けた悠良は反射的に尋ねる。「何か?」医者は口元を引きつらせて苦笑した。「いえ、何でもありません」そう言って二人の間にカーテンを引いた。突然のことに悠良は呆気に取られる。どういう意味?さっき伶、医者の前で一体何を言ったのか。考えるまでもなく、ろくでもないことだろう。だが、見せないなんてあり得ない。こっそり見ればいい。悠良は指先でそっとカーテンの端をつまみ、少しだけ隙間を開けた。視界に飛び込んできたのは、引き締まった伶の腿。無駄のない流麗なライン。何度もその体を見てきたはずなのに、やはり息を呑む。こんな脚を持つ男、雲城中探しても二人目はいない。悠良はぶんぶんと頭を振った。今は脚を眺めてる場合じゃない。伶も医者も、彼女の視線に気づいていない。悠良はもっとよく見ようと、さらに隙間を広げた。医者が身を屈めて処置している傷は、痛々しいものだった。広い範囲で皮膚が破れ、肉が露出し、あちこちに痣が残っている。その惨状に、悠良の胸はぎゅっと締めつけられる。彼が広斗の手下と揉み合っていたことは知っていた。だがここまで深刻な怪我とは思いもしなかっ
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