悠良は、またもや伶が不埒なことを言い出したのを聞いて、顔を真っ赤にしながら彼を押しのけた。「もうちょっと言い方あるでしょ」伶は彼女を抱き寄せ、耳元で頬を擦りながら、低くて色気のある声で堂々と言う。「彼女とイチャついてるんだ、無理」そう言って、彼は彼女の唇に軽く口づけた。「悠良ちゃん、感情ってのはちゃんと言葉にしないとダメだぞ?じゃなきゃ関係が壊れるよ」悠良は、暑いのか、キスで痺れたのか、頭の中に毛糸玉が詰まったみたいになり、思考がふわふわと彼に引っ張られる。彼の胸に寄りかかると、後頭部を撫でられ、額に落ちてきた前髪を指でそっと払われる。「それが言い過ぎだって言ってるの」その瞬間、悠良の脳裏に、言葉にできないような光景がふっとよぎる。伶は、普段の姿とあの時の姿がまるで別人だ。外では冷たく、落ち着いていて、感情を掴ませず、誰も心に踏み込めない雰囲気をまとっているのに――ベッドの上では一転して大胆で熱っぽく、こっちが穴を掘って埋まりたくなるほど攻めてくる。......まあ、正直、悪くはないのだが。「言い過ぎ?俺としては、ちょうどいい力加減だと思ってるけどな」伶はまた顔を寄せ、堪えきれずにキスを落とす。悠良は反射的に避けようとするが、吐息がくすぐったく首筋にかかり、尾てい骨あたりから電流が駆け上がるような感覚が走る。「......ゴホッ、ゴホッ!」そのタイミングで光紀がドアを開けて入ってきた。悠良は、毛を逆立てた猫みたいに飛び上がり、反射的に伶を突き飛ばす。伶は不意を突かれ、椅子ごとひっくり返りそうになったが、咄嗟に支えてどうにか転倒を免れた。悠良は何事もなかったようにベッドに戻り、点滴を受けている体で完全に知らんぷり。さっきまでの光景など存在しなかったと言わんばかりだ。体勢を立て直した伶は、気まずそうに立ち尽くしている光紀を鋭く睨む。「いつになったら空気を読めるようになるんだ、光紀。次にどこで働くことになっても、そういうとこ直さないと長続きできないぞ」光紀はやっと事態を理解し、慌てて頭を下げた。「す、すみません社長!急ぎでお伝えしたいことがあって......!」伶はシャツの襟を整えながら言う。「で?」「さっき航空便を確認したんですが、どうも向こうでトラブルが
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