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All Chapters of あおい荘にようこそ: Chapter 111 - Chapter 120

130 Chapters

111 家族の思い

  この日のスタッフ会議の議題は、あおい荘で初めてのクリスマスをどう迎えるかだった。 子供の頃は、こういった季節季節での行事を楽しみにしていた物だった。保育園や幼稚園でも、先生たちが行事の意義を教えてくれて、その話に魅了され、各々が心の中で物語に思いを馳せてもいた。 しかし年齢を重ねていく中で、日々の慌ただしい生活の影に隠れていき、気が付くと「もうそんな時期なんだ」と思い出す程度になっていく。 直希は季節の移り変わりや、古くから伝わる風習や伝統を大切にしたいと考えていた。それはどの施設でも同じで、季節ごとに飾り付けや催し物を利用者と共に行うことで、コミュニケーションも深まり、変化の少ない生活の中に刺激を与えることが出来るからだった。  * * *「サンタ役は当然、直希よね」「いやいやつぐみ、当然って何だよ」「あら、サンタは男でしょ。それとも何? 直希は私たちにサンタの衣装を着せて、それをいやらしい目で楽しみたいのかしら」「……あおいちゃんや菜乃花ちゃんもいるんだし、冤罪を吹っ掛けるのはやめてくれ」「ふふっ。それでみなさんへのプレゼントは……このリストね」「あ、はい。私とあおいさんで、みなさんが喜んでくれるんじゃないかと思う物を書き出してみました」「山下さんには映画のDVD、まあ順当よね。それから小山さんには……あら、菜乃花手編みのマフラーなの? いいわね、これ」「は、はい……部屋では編めないので、学校で少しずつ編んでるんです。 おばあちゃん、ここに来て本当に元気になりました。直希さんやつぐみさんには、本当に感謝しかありません。足の方も、毎日リハビリを頑張ってくれてますので、少しずつですけど、歩けるようにもなってきました。だから、その……このマフラーをつけて、外を一緒にお散歩出来たらいいなって思って。あと手袋と毛糸の帽子、これはあおい荘からのプレゼントとしてあげたいと思ってます」
last updateLast Updated : 2025-09-02
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112 新しい関係

 「その為に、あおい荘のような施設が必要なの。一昔前なら、自分の親を施設に預けるなんて、とんだ親不孝者だ、なんて言う人も多かった。でもこれだけ高齢化が進んで、認知症の患者が増えた今となっては、それを受け入れる社会にも限界が来てしまったの。核家族化も晩婚化も進んでいる。個人で背負うには、あまりにも負担が大きすぎるの」「それは分かりますです。ここに来た頃の節子さんを安藤さんが見るなんて、とても出来るとは思えませんです」「節子さんだけじゃないわよ。例えば、寝たきりになった人のお世話だってそう」「身体介護……ですか」「ええ。私たちは仕事で、決められた時間にだけ従事してたらいい。特養(特別養護老人ホーム)に行けばよく分かると思うけど、ああいった施設では、二時間から三時間おきに、オムツの交換があるの。あと、体位変換もね」「……」「家で家族の人が、自分の生活も維持しながら出来ると思う? それも一日二日じゃない、ずっとよ」「確かに……大変ですね」「勿論夜も。二時間おきに目を覚まして、オムツの交換をするの。食事の介助もしなくてはいけない」「……」「その繰り返しが延々と続く生活。家族の疲労とストレスは分かるわよね」「……はい」「だから私たちがいるの。そういう方たちのお世話をさせていただくことで、家族さんの負担を減らすことが出来る。そして家族さんたちは自分の生活を少しずつ立て直して、心と体に余裕を取り戻していける」「それが今の安藤さんなんだよ。あおいちゃん、菜乃花ちゃん」「あ……」「心に余裕が生まれると、笑顔も増える。今の安藤さんを見てると、分かるでしょ」「はい。よく分かりますです」「そして今、あれほど負担に思っていた母親に会いに来ることが、安藤さんの中で楽しみになっている。ある意味安藤さんと節子さんにとっての、新しい親子関
last updateLast Updated : 2025-09-03
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113 想いの先には、いつもあなたが

  クリスマスの飾り付けの準備をしながら、つぐみは先日のミーティングを思い出していた。 節子や山下の一件を通じて、つぐみはあおいと菜乃花の成長を強く感じていた。二人共、何度も何度も心が折れそうになったことだろう。彼女たちを励ましていた自分でさえ、袋小路に迷い込んだような気になり、挫けそうになった。だが彼女たちは、そんな自分の言葉に奮起し、立ち上がってきた。 介護に正解はない。 なぜなのか。対象となる相手によって、対応が違うからだ。 介護職の対象は、あくまでも人間。機械が相手なら、マニュアルを作りそれに沿って作業すればいい。だが人となると、そうはいかない。 この人が成功したからといって、別の人にも通用するとは限らない。そういう意味では自分もまた、あおいたちと同じく、試行錯誤を繰り返すしかなかったのだ。違う点があるとすれば、彼女たちよりも経験が長く、それなりに対応策を心得ているということぐらいだった。 それでも自分も人間、心が折れそうになる時もある。 しかしそういう時、つぐみの前には必ず直希がいた。 直希も自分と同じ、無力な人間だ。だが直希はそんな中でも、いつも希望を捨てず、自分の理想に向かって走り続けている。 手が届かないところにまで、直希が行ってしまわないように。そう思い、つぐみは歯を食いしばって直希の後を追い続けた。 ――直希がいたからこそ、今の自分もあるんだ。 そう思った時、再びつぐみの脳裏に、あおいを愛おしそうに見つめ、抱きしめている直希の姿が蘇った。「はぁ……」 大きなため息をつき、つぐみが手を止めた。 あおいは本当に強くなった。元々楽天的で明るく、物事を諦めない芯の強い子だと思っていた。 しかし彼女は、絶望的な状況からも逃げることなく、そして節子の信頼を勝ち取った。 今回の件は、あおいの尽力がなければ、とてもじゃないが解決出来たとは思えなかった。 その原動力は何なのか。 そこまで考えて、つぐみは自虐的な笑みを浮かべた。 決まってい
last updateLast Updated : 2025-09-04
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114 こんにちは!

  あおい荘の門をくぐった少年は、花壇の前で足を止めた。 穏やかな笑みを浮かべ、今日の点数2点追加だ、そう思いスマホのアプリに加点する。「こんにちは! 失礼します!」 玄関に立った彼。 生田兼嗣の孫、兼太は元気いっぱいに声を上げた。  * * *「おじいちゃんの家に泊まる?」 夕食の済んだ生田家。兼太の言葉に、父の兼吾が意外な顔をした。「うん。俺、母ちゃんとの約束守って、期末試験も頑張った。手応えもあったし、これなら多分、学年10位以内は大丈夫だと思う」「そうか。お前、頑張ってたからな……しかしなるほど、そういうことだったのか」「あれから俺、じいちゃんの家に行きたくて、何度も母ちゃんに頼んでたんだ。でも母ちゃん、受験生がそんなことでどうするんだって、聞いてもくれなかった。でも俺、どうしてもじいちゃんに会いたいんだ。だから父ちゃん、駄目かな」「いや……いいんじゃないか」「よしっ!」 兼太が拳を握り、嬉しそうに声を上げる。「ちょっとあなた、勝手に話を進めないでもらえます? 兼太、私は反対ですよ。試験が終わったぐらいで浮かれてどうするの。受験まで気を抜いてる暇なんてないんですからね。そんな覚悟で受かるほど、あなたの志望校は楽じゃないのよ」「俺のって言うか、母ちゃんの志望校だろ」「まあまあ、兼太も仁美も落ち着きなさい。兼太、母さんの言うこと、分かってくれるよな。母さんはお前の為、あえて嫌われ役になってくれてるんだ」「……分かってるよ。俺だって子供じゃないんだから」「仁美、お前もだぞ。考えてもみなさい。兼太がお前の言葉をないがしろにしてることなんて、今まであったか? こいつはこいつなりに考えて、お前の言いつけを守ってる。だから……たまにはこいつの言うことも、聞いてやってくれないか」「でも……
last updateLast Updated : 2025-09-05
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115 菜乃花さんと兼太くん

 「それでその、他の方たちは」「一人は生田さんの見守りで、お風呂場にいます。覚えてませんか、あおいさんって言うんですけど」「あおいさん……ああ、覚えてます。風見さん、ですよね。あの時じいちゃんに、自分のことも名前で呼んでほしいって言ってた、ちょっと面白い話し方の」「面白いって、ふふっ……そうですね。あおいさんの口調、ちょっと面白いですよね」「ああでも、馬鹿にしてる訳じゃないんです。何て言うか、あのお姉さんにぴったりの話し方だなって思って」「そうですね。あおいさんって言ったらあの話し方、ですよね。ふふっ……あと、直希さんとつぐみさんは、ご存知でしたよね」「はい。お二人とは、初めて来た時に挨拶させてもらってます」「二人は入居者さんの付き添いで、病院に行ってるんです」「病院って、何かあったのですか」「あ、いえ、そういう訳ではなくて……新しく入ってこられた入居者さんなんですけど、最近調子がよくなってきましたので、確認の意味で検査に」「そうだったんですね、よかった」「それでその、兼太さんはこんな時期にどうして? 今日は金曜ですし、学校もまだ」「うちの学校、試験休みなんです」「え? まだ11月なのに」「はい。うちは進学校なので、普通の学校とはスケジュールが違ってて。今月いっぱいが休みで、12月からはまた授業が始まるんです」「私のところは二週間先です。それが終わったら、試験休みと合わせてそのまま冬休みで」「普通はそうですよね」「試験休みの後で、まだ一か月授業なんて。大変ですね」「いえ、俺にとってはそれが普通なので。それにどうせ家にいても勉強してますし、そんなに変わらなくて」「兼太さんは、その……進学先は、もう」「はい。医者になることを目指してますので、国立の医学部に」「お医者さんで
last updateLast Updated : 2025-09-06
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116 兼太の決意

 「やってしまった……初手でいきなり、やってしまった……」 生田の部屋。 アプリに-5点を入れ、兼太が頭を抱えていた。 そんな孫の様子に苦笑しながら、生田が声をかける。「確かに菜乃花くんは、少し幼く見えるのかもしれないが……それにしても中学生は酷すぎたな、兼太」「じいちゃん、追い打ちかけないでくれるかな」「ははっ。だが、いきなりお前が来たものだからな、かなり驚いたぞ。今日は学校、休みだったのか」「ああ、うん。今試験休みだから」「そうか……試験はどうだったんだ。手応え、あったのか」「あったと思う……さっきの菜乃花ちゃんとのやり取りに比べれば、それはもう遥かに」「そ、そうなのか……それで、せっかくの休みだと言うのに、どうしてあおい荘に……あ、いや……聞くまでもないか」「いやいやじいちゃん、誤解してるから。じいちゃんのところに来たかったのは本当だから」「そうなのか?」「うん……そうだ、さっきのがあったからすっかり忘れてたよ。じいちゃん、この前はその……母ちゃんが変なこと言って、本当にごめん」「なんだお前、まだ気にしてたのか。あの時にも言ったはずだぞ。お前が謝ることなんてないんだ」「でも、その……俺のせいでもあるんだよ」「どういうことだ?」「俺が母ちゃんに言ったんだよ。いつまでじいちゃんを放っておくつもりなんだって」「……」「家族は大切だって、母ちゃんいつも俺に言ってた。実際母ちゃん、身内に対しての愛情はすごく持ってる。でも……それなのに母ちゃん、じいちゃんに対してだけはそうじゃなかった。ばあち
last updateLast Updated : 2025-09-07
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117 菜乃花ちゃんはお姉さん

 「しっかし……中学生はないわよね」 夕食の準備をする菜乃花に向かい、つぐみが微笑む。「菜乃花は可愛いし、若く見えても仕方ないとは思うけど」「つぐみさん。それって私が幼いってことですか」「いえいえ、そういう意味じゃないからね」「本当、失礼な人ですよ、兼太くんってば」「あははっ……」 怒ってる顔も可愛いな、そう思いながらつぐみが苦笑した。「でもね、菜乃花。今はそう思うかもしれないけど、もうちょっとしたら、今度は逆のことを思うようになるのよ」「どういうことですか?」「実際の年齢より、若く見られたいって思うようになるってこと」「そういうものでしょうか」「まあ、私の場合は昔から、実際より年上に見られてたからね。特にそう思うんだろうけど」「つぐみさんは、その……しっかりされてるから」「……ごめん菜乃花。それって何のフォローにもなってないから」「ええっ? ご、ごめんなさい」「別にいいんだけどね、もう慣れちゃったし。でも……それにしても中学生はないわ、やっぱり」「全く……話をしてて、ずっと違和感があったんですよ。大体兼太くん、私より年下なんですよ? せめて同級生ぐらいだったら、私もこんなに怒らなかったのに」「あはははっ……でもほら、もうすぐ兼太くんも来るんだから、いつまでもそんな顔しないの」「……分かってますよ、そんなの……」「二人共お疲れ様。いい匂いだね」 節子の入浴を済ませた直希が、食堂に現れた。「あ……直希さん、お疲れ様です」「直希、お疲れ。節子さんも、さっぱりしてよかったですね」 相変わら
last updateLast Updated : 2025-09-08
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118 節子先生と不幸な事故と

  兼太が分からないままに、食堂中が穏やかな笑いに包まれていた。 先程のやり取りから、入居者たちもそれとなく、兼太の気持ちに気付いているようだった。しかし、その兼太に向かい節子の放った一撃が、「それを言ってしまったら駄目でしょう」とばかりに入居者たちの笑いを誘った。 入居者たちが、顔を真っ赤にして動揺する兼太に温かい視線を送る。「そうだ兼太くん。節子さんはね、国語の先生だったんだよ」 少しかわいそうになってきた直希が、そう言って兼太に助け舟を出した。「そうなんですか?」「うん。特に節子さん、純文学には目がなくてね。兼太くんは好きな本とかあるのかな」「そうですね、一応は……子供の頃から母ちゃんに言われて、結構読んでましたので」「どんな本さね」「本」というワードに反応し、節子が兼太に問いかける。「そう、ですね……俺はどっちかって言ったら、昔の本より今の本の方が好きです。ファンタジーとかSFとか」「昔のは面白くなかったかね」「いえ、面白い面白くないとかじゃなくて……なんて言ったらいいんでしょう、やっぱり古典だなって言うか、堅苦しいって言うか。話の展開もあまりなくて、ちょっと退屈って言うか」「……」 兼太の言葉に、節子は目をつむって黙って聞いている。「この前も、その……芥川龍之介の『トロッコ』を国語の時間に読んだんですけど、何て言うか、別に? それで? としか思えなくて……」「やっぱり童〈わらし〉さね、あんたは」 そう言って、節子が小さく息を吐く。「子供ってのは、とにかく話の展開だけを追うもんさね。話が面白いかどうか、興味はそこにしかないもんさね。だから展開が少ないと、良さを感じる前に拒絶してしまう。 今あんたが言った『トロッコ』、私もよく教材として教えたもんさ。でもほとんどの生徒は、退屈そ
last updateLast Updated : 2025-09-09
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119 俺の天使

  脳裏から、風呂場で見た菜乃花の姿が消えなかった。 事情を聞いて真っ青な顔をしている生田をよそに、早々に布団に潜り込んだ兼太は、菜乃花を思い浮かべながら悶々としていた。  * * * 初めて出会ったあの日。 頭の中が生田のことでいっぱいだったにも関わらず、菜乃花から目を離せなかった。 これまで幾度となく、女子に告白されていた。しかし兼太は、恋なるものがどういうものなのか、よく分かっていなかった。 恥じらいうつむく女子に向かい、「ちなみに、俺を好きってどういうことなのかな? 俺、よく分からなくて」 と不思議そうに見つめ、首をかしげていた。 しかし菜乃花に会ったあの日。ようやくそれがどういうことなのか、分かった気がした。 目に涙を浮かべ、心配そうに生田を見つめる菜乃花を見て、全身に鳥肌がたった。 それから3か月。毎日菜乃花を思い浮かべ、眠れぬ夜を過ごした。  ――もう一度会いたい。あの天使に。  そう思い、勉学に励んだ。 そして再会。彼女が髪を切っていたことに驚いた。 肩まであった、あのふわふわな髪。顔を埋めて眠りたい、そんな妄想をしていた髪がなくなっていた。 しかし自分の気持ちが、何ひとつとして冷めていないことを感じた。 むしろ、前に会った時よりも魅力を感じた。 弱々しく映っていた彼女。しかしその中に兼太は、強い何かが眠っていることを感じていた。今目の前にいる彼女は、正に自分が思っていた彼女だ。そう思った。 俺は彼女に恋している。そう確信したのだった。 そんな彼女のあられもない姿を目にしてしまい、申し訳なさと同時に、抑えようのない気持ちの昂りを覚えた。 何度も何度も、アプリに加点と減点を繰り返しながら、兼太は眠りについたのだった。「菜乃花ちゃん……やっぱ天使だよ、君は……」 
last updateLast Updated : 2025-09-10
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120 先生と呼ばせてください

  顔を洗って食堂に向かうと、食堂ではつぐみとあおい、そして菜乃花が慌ただしく動き回っていた。「……」 勢いのままに謝ろうと思っていた兼太だったが、皆の真剣な表情に圧倒され、声をかけられなくなってしまった。「あおい、もたもたしないの。テーブルの消毒は終わったの?」「は、はいです! 今からしますです!」「ちゃんと消毒しておいてよね。今は風邪も流行ってるし、入居者さんに何かあってからじゃ遅いんだからね」「分かりましたです!」「つぐみさん、小皿の盛り付け、お願いしてもいいですか」「了解よ。菜乃花は大皿の方、頼んだわね」「はい、まかせてください」 「すごいな、みんな……こんな朝早くから、もう仕事モード全開なんだ……」「おはよう、兼太くん」 声に振り返ると、節子にしがみつかれている直希が立っていた。「お、おはようございます!」「ははっ、相変わらず元気いいね。どう? よく眠れたかな」「は、はいっ! それはもう、爆睡させていただきました!」「それはよかった」「ああ直希、ちょうどよかったわ。トレイに料理、置いていってもらえるかしら」「おう、まかせとけ。それじゃあ節子さん、一緒にお願い出来ますか」 直希がそう言って節子の顔を覗き込む。節子は少し頬を赤らめ、小さくうなずいた。「あら? 兼太くん、もう来てたのね。よく眠れたかしら」「お、おはようございます! あ、あの……俺も手伝います!」 そう言ってカウンターに行き、トレイを持とうとした。「待ちなさい」「え……?」 菜乃花の冷たい声に、つぐみもあおいも手を止めた。「え……今のって、ひょっとして菜乃
last updateLast Updated : 2025-09-11
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