旅の支度はセリーヌや邸の者が全て整えてくれたので、私自身は特に何も用意するものもなく、あとはジークが来るのを待つのみといった感じだった。 イルボーネの街は王家が管理している街なので王族が立ち寄る事も考えて美しい邸が建てられている。 今回は私とジークが婚約した事がすぐに発表されたので、新婚旅行みたいに二人で旅行に出るといった名目らしい。 この発表もとても速やかだったので、お父様と陛下がどこまで知っていたのだろうかと疑念が生まれる。 もう二人とも絶対確信犯だわ。 ジークが私を好きで、こういう流れになるだろうと想定してイルボーネの街に行けと言ったのね。 その通りになるのは少しばかり癪だけど、ジークと婚約したのは素直に嬉しかった。それを公表してくれた事も。 私はこの世界では悪女的な立場だし、彼と婚約出来るとは思っていなかったから。 ジークは光の王子と言われるほど国民のイメージもクリアで素晴らしく、そんな彼と結ばれるのはどこかの国の王女とか、国にとって有益な相手じゃなければいけないと誰もが思っている。 まさか陛下が私との婚約を許可するとは思わなかった――――私が聖なる力を持っていたからなのかもしれないけど。 この力にも感謝しながら使わなきゃね。 「お嬢様、準備完了です!」 「ありがとう、セリーヌ。あなたも来てくれるの?」 「もちろんですよ~~お嬢様の行くところ、セリーヌありです!地獄の果てまでお供いたしますっ」 「ふふっ、ありがとう」 地獄は嫌だけど、セリーヌが来てくれるのは本当に嬉しいし安心する。 そうこうしているうちにジークが到着したのでエントランスホールを出ると、門の前には王族専用の馬車が停まっていて、彼と婚約出来たのだなとヒシヒシと実感する。 婚約した2人が乗る馬車だから外装も美しいわね……ジークは人目につかずに行きたい感じだったから質素な馬車かと思っていたのだけど、陛下にダメだと言われたのかしら。 「
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