Semua Bab only/otherなキミとなら: Bab 31 - Bab 40

86 Bab

第31話《4/29㈫祝》おはようのキス

 カーテンの隙間から入り込んだ陽射しで、理玖は目を開けた。  自分の家の、いつものベッドだ。  目覚ましを掛けずに寝て起きる、いつもの休日。  一つ違うのは、体中が、特に腰が異常に痛い。   (晴翔君はやっぱりotherだった。研究室のベッドでは手加減してたんだ。夜は、容赦なかった)    部屋に着いたら、風呂に入って夕飯を食べて報告書の話をする、はずだった。  きっかけが何だったか、よく覚えていない。  気が付いたら、狭いベッドに二人で雪崩れ込んでいた。  めちゃくちゃに抱いてほしいと、自分から言った気はする。  晴翔の目はやっぱり獣じみて、tripするんじゃないかと思うほど気持ち善くされて、激しくされて、甘い言葉を何度も言われて。  空っぽになっても何度もイカされているうちに、理玖の意識はどうやら飛んだらしい。途中から記憶が断片的だ。   (tripしたのとは、違う、よね。普通に、僕が潰れただけだよね。あんなに激しくて長いエッチしたの、初めてだから、よくわからない)    やっぱり晴翔は若いんだなと、つくづく思う。  隣を振り返ると、晴翔がいない。  さっきウトウトと目を覚ました時には、理玖を抱いて寝ていたのに。  理玖はベッドから何とか起き上がると、重い体を引き摺ってリビングに向かった。  リビングで、晴翔
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第32話 事件の推理①

 風呂から戻ったら、すぐに晴翔に手を引かれて、胡坐をかいた上に座らされた。 腕が腹に回って、軽く抱き寄せると、乾かしたばかりの髪に晴翔がスリスリした。 「理玖さん、良い匂い。風呂上がりの理玖さんを抱っこできるとか、恋人って凄い」  晴翔の声が耳元で甘えて響く。 恋人というワードが晴翔の口から飛び出して、ドキドキする。 (やっぱり僕らは、恋人で、いいんだ。恋人に、なったんだ)  晴翔が理玖の髪に触れながら、ずっとスリスリしている。 昨日から晴翔がずっと甘えモードで、理玖としてはそっちの方が可愛い。 晴翔が大きく息を吸って、長く吐いた。 「えっと、ですね。まず、この調査報告なんですけど……」  晴翔が前屈みになると、顔が近付いて、またドキドキする。 昨日からずっと晴翔と距離が近くて、まだ慣れない。 「俺のモノではありません。だけど、報告書の内容は、読みました」「さっき、読んだって話では、ないよね」  よくわからなくて、疑問を投げる。 昨日、研究室でへたり込んでいた理玖に向かって、晴翔は報告書を「読んだ」と答えた。 「この、紙の報告書と同じ内容が、昨日の理玖さんの講義中に、俺個人の職員メールに添付されてきました。差出人のアドレスは既に退職した職員で、どこのハードから送ったメールか確認するためにシステムに行っていたんです」「メール……。だから僕が講義終わりで戻った時、晴翔君はいなかったんだ。ハードは、わかったの?」  晴翔は頷きとも取れない返事をした。 「第一研究棟一階の北側の一番奥に、空いている研究室があるのを知ってますか? あそこに設置されてるノートPCでした」&nbs
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第33話 事件の推理②

「でも、もしかしたら、それが犯人の狙いだったのかもしれません」「どういう意味?」  晴翔が、報告書が入っていた茶封筒を取り出した。 中から一枚のメッセージカードが出てきた。 『花は咲きましたか?』  理玖は目を疑った。 報告書の表紙と同じ毛筆体でプリントされた文字だ。まるで今の理玖と晴翔を予言した言葉に見えた。 「さっき、封筒の中を確認している時に見つけました。偶然にしてはあまりにタイミングが良すぎて、背筋が寒くなります」  手が震えて、言葉が出ない。 息の吸い方がわからなくなって、呼吸が上手くできない。 (花なんて、これじゃまるで、僕と晴翔君がWOだって知っているみたいな。こんなの……、僕と晴翔君がspouseになるのを望んでいるような)  震える理玖の手を晴翔が握って、後ろから抱きしめた。 「理玖さんに負荷をかけてフェロモンを放出させて、otherの俺に襲わせようとしたんだと、最初は考えました。だけど、それだけじゃないかもしれない。犯人は俺たちをspouseにするのが目的だったのかもしれません」  弁当盗難の時も、理玖は晴翔のフェロモンに煽られて大量のフェロモンを放出して、自分が飲まれて倒れた。 今回も同じような負荷を掛ければ、今度こそ晴翔が理玖を襲うと思ったのだろうか。 襲われたとして、spouseになるとは限らないのに。 「そんな、僕の気持ちも晴翔君の気持ちも、知っている人なんかいないはずなのに」  理玖と晴翔自身ですら、互いの気持ちを知らなかったのに。二人の気持ちを知ってる人物なんか、いるんだろうか。 「それを確かめるための、弁当の窃盗だったのかなって、考えまし
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第34話 事件の推理③

「詳しいんだね、晴翔君」  素直な感想が零れた。 晴翔は大学事務員で医療関連の職業ではない。卒業大学も理工系で、無関係に思える。 「いや、その……。俺、筑紫大の理工学部卒なんですけど、自分がotherだから、卒論がそっち方面というか、WO関連で上げてて。医療についても、割と調べて」  何となく、慌てているような、しどろもどろしている。 恥ずかしいのだろうか。恥じる必要はないのに。 「だから、理玖さんの論文も、実はかなり読み込んでます……」  晴翔が顔を赤くしている。 それはむしろ、理玖の方が恥ずかしい。 (それはつまり、出会う前から僕を知っていたということで)  初めて会った時、御姫様抱っこをしてくれた時には、晴翔は理玖を知っていたことになる。あの時の晴翔に今のような恋心はなかっただろうが。 (中途半端に有名人扱いとかしないで、普通に接してくれた)  ただの一職員として接してくれたのが嬉しかった。 何となく、晴翔の手を握って包み込んだ。 「えっと、こういう治験が流入してくるくらいだし、otherの興奮剤の治験とか、治験が無理でも、伝手さえあれば日本でも持ってる奴はいそうだなって思って」  晴翔が必死に話を戻そうとしている。 こういう晴翔は珍しいなと思いながら、理玖は考え込んだ。 「正規のルートに紛れてotherの興奮剤が国内流入している可能性は、なくはないかもしれないね」  日本においては犯罪になるが、ことWOに関連した事柄は世界中の認識が甘い。加えて関連事業は開発を焦るから多少の無理もする。 「弁当に興
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第35話 事件の推理④

「でも、俺と理玖さんをspouseにしたい理由って、何なんでしょう。本人たち以外に得する人なんか、いるのかな」  晴翔の純粋な疑問には、思い当たる節がある。 「恐らく犯人は、rulerとotherをspouseにしたいんだろうと思う」  晴翔が難しい顔を向ける。  「rulerはspouseを得ても、その他大勢のotherに対してフェロモンの影響力を維持する。ただし、その性質は変化して、結果的に世間がいう|奴隷《servant》契約がonly以上に容易になってしまう」  spouseを得ればonlyもotherも互いのフェロモンしか感じなくなる。 今の晴翔は理玖のフェロモンしか感知しない。理玖も晴翔のフェロモンしか感じない。 だが、rulerである理玖のフェロモンは、その他大勢のotherに影響してしまう。 故に、他のotherから自分の身を守るため、SAフェロモンの催眠効果が高まりotherをtripさせる率が上がる。結果、servant契約がしやすくなる。 (使い方の問題だ。本来はservantを作るためのシステムじゃない。身を守るシステムだ。だけど、できてしまう。できてしまうなら、使いたい奴はいる) 「じゃぁ、犯人の狙いは、rulerである理玖さんを利用すること……?」「可能性は高いね。どう利用するつもりかは、わからないけど」  犯罪集団に加担でもさせたいのか。単純にrulerがspouseを得た場合の臨床データが欲しいのか。いずれにしてもWO関連の何者かである可能性は高い。 「僕の噂を知っている人物なら、利用しようと考えるかもしれない。晴翔君は、僕の噂は、知っている?」  晴翔の顔が引き攣った。 「……少しなら、知ってます。理玖さんがo
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第36話 魔法使い

   北欧では、生活の中に魔法使いが存在する。  数々の薬の調合、薬と毒の見分け方、料理を美味しくする調味料の配合、畑を肥やす土の作り方、水を濾過する方法。そういう手法を魔法使いが人々に伝授してきた。  科学が台頭した現代でも、魔法使いは生活の中の隣人である。   「魔法使いの魔法は様々だけど、rulerたる魔法使いは、発狂した人を一瞬で正気に戻したり、強姦を止めたり、相性の良い者同士を引合せたりする、いわゆる性に関わる犯罪や揉め事、相談を担っている場合が多かった」    性に関する営みや悩みもまた、深く生活の一部だ。  誰にでもはできない相談も、解決する手段を持つ魔法使いになら話せる。   「|彼《か》の地方の人々が魔法使いと呼ぶ存在の中には、今の僕らがrulerと呼ぶ存在が確かにいて、第二の性を持つ人々の悩みを解決し、犯罪を防いでいたんだ」    WO自体、世界共通の概念となって百年程度だ。  概念としては新しくても、onlyやotherの性をもつ人々は古くから存在した。そういう人々を助けてきたのが魔法使いに紛れたrulerだった。   「魔法使いの中に、rulerが……。そう言われると、しっくりきますね。onlyやotherのフェロモンもそうだけど、特にrulerのフェロモンは魔法みたいに感じるかもしれません」    晴翔の感覚は、割と一般的だ。  フェロモンを
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第37話《5/8㈭》かくれんぼサークル①

 今年のGWは短く、大学勤務の理玖と晴翔は最初の祝日と土日を休んだだけで、いつもとほぼ同じ一週間を過ごした。 世間的にも今年は四連休程度の短いGWだったが、大学が休みを増やしたので、学生にとっては約一週間の大型連休になっていた。 その間は部活動やサークル活動、ゼミなどを大学が推奨していたので、一週間の休暇中も大学には学生や教職員が溢れていた。 だから、長期休暇明けという気がしない。とはいえ、既に休みが明けて三日は経過しているから平素に戻りつつあるわけだが。 「理玖さん、大変です。事件かも」  そう言いながら研究室に戻ってきた晴翔に、ドキリとした。 「ダメだよ、は……空咲君。仕事中は先生って呼ばないと」  改めて苗字で呼ぼうとすると、逆に照れが出る。 ドアの鍵が締まったのをしっかり確認して、晴翔が理玖に口付けた。 「すみません。気を付けます、向井先生。でも時々、ウッカリするかもしれません」  いつもの王子様スマイルを向けられて、何も言えなくなる。 (間違いなく確信犯的ウッカリだ……。恋人になってからの晴翔君は行動が大胆だ)  恋人になった事実を特に公表はしていないが、秘密にもしていない。 そのせいなのか、二人で廊下を歩いている時、普通に手を繋ごうとしたり、後ろから抱き締めたり、晴翔の行動は周囲に気付いてもらいにいっているなと思う。  WOという第二の性の発見以降、同性でも妊娠出産できる事実から同性婚が認められた。そのお陰もあって、同性カップルは昔ほど稀有な目で見られなくなった。 とはいっても、まだまだ珍しい類なので、一般的とまでは言い難い。 「理玖さんは、俺と恋人だってバレるの、嫌ですか?」  捨てられた子犬のよう
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-25
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第38話《5/8㈭》かくれんぼサークル②

「GW明けに講義を無断欠席している学生の所在確認をするように事務に通達があったんです。去年も同じ仕事はあって、友達の家や恋人の家に泊まってた、みたいな話で終わったんですけど」  ありがちな話だなと思う。 大学生になって一人暮らしをしている友人や恋人の家に入り浸る学生は、それなりにいそうだ。羽目を外した学生がやらかしそうな失敗ではある。 「どうしても三人だけ、連絡が取れない学生がいて、未だに連絡が取れないんですけど。調べたら三人とも同じ、かくれんぼサークルに所属していて」「かくれんぼサークル?」  思わず聞き返してしまった。 「って、何をするの?」「名前の通り、かくれんぼをするそうです。時間を決めて隠れるらしいんですが、長期だと一日とか、もっと長いと三日とかで時間設定する長期かくれんぼがあるらしいです」「三日も隠れるの? 辛くないの?」  三日も同じ場所から出ないとなると、もはや籠城だ。  トイレや食事はどうするんだろうと心配になる。 「基本は、鬼に見付からなければいいので、移動は自由だそうです。隠れている間にどこで何をしていても良いらしいけど、決まった敷地からは出てはいけならしいです」「鬼ごっこみたいなかくれんぼだね。長期戦は辛そう」  子供の頃に遊んだかくれんぼとは違うのだなと思う。 大人の遊びに進化しているのだろうか。 「その辛い長期戦が、GW中に行われたようなんです。場所は大学の構内、連絡が取れない三人も参加しています」  ぞわっと背筋に寒気が走った。 かくれんぼをしていた子供がいなくなるなんて、神隠しみたいで怖い。 「部長の学生は全員いるのを確認して帰宅したと言っているんですが、サークルの他の子に聞いても覚えていな
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第39話 嫉妬

「でも、だけど……、もしWO関係の犯罪だったら」  only狩りや、世間で話題のDoll関連だったりしたら。 rulerのservant契約が何処まで事実か知れない。 だが、Dollはotherを使ってonlyを誘拐し、性玩具に躾るとの噂だ。 (servantや性玩具の躾は眉唾だったとしても、otherのフェロモンを煽ってonlyを襲わせるのは可能だ。数日、阻害薬や抑制剤を飲ませないで薬を抜けば、敏感にフェロモンを感知するotherにできる)  更にother用の興奮剤で煽れば、tripする率も上がる。tripさせて更に煽れば簡単にonlyを襲う獣が完成する。 積木大和が誘導されてonlyを犯せば、その罪が問われるのは実際に手を出した積木だ。 誘導した人間がいたとしても、幇助罪止まりだろう。最も重い実刑を積木が受けるのは避けられない。 (あんなに熱心に勉強して、WO専攻で頑張るって言っていた積木君が、自分の意志に反して犯罪者になるかもしれない)  理玖は自分の手を、ぎゅっと握った。 「大学に……、警察に、動いてもらうには、どうしたら……」  今の時点では、事件性はないかもしれない。 (折笠先生の所には佐藤がいる。それだけでも充分、危険だ)  佐藤が犯罪組織と繋がっているかもしれないと懸念して覆面警察が入る噂まで立った。実際、警察官が潜入しているかは知らないが、日中の警備員の数は増している。 (僕の事件だってあったんだ。大学はもっと警戒するべきだ。何かあってからでは、遅いのに)  しかし、何か起こってからでなければ動けないのが警察だ。 日常では感じない、法治国家の弊害に苛々する。 だからこそ、大学が手段を講じてくれ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-26
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第40話《5/9㈮》捜索開始 

 探すといっても、素人が行方不明の人間の捜索をするには限界がある。 一先ず、かくれんぼサークルについて調べてみようという話になった。 次の日の午後から時間を見付けて、情報収集を始めてみたのだが。 「やっぱり、今以上の情報は出てきませんね」  PCを確認しながら、晴翔が呟いた。 今日の午前中の講義にも積木の姿がなかった。理玖の中に小さな焦りが湧いた。 「慶愛大学の中だけの活動で、他校との交流もなさそうだから、ソースが少ないね」  同じようにPCに目を向けたまま、理玖も応えた。  思いつく範囲で検索を掛けてみたものの、具体的な内容がヒットしたのは学内向けのサイトだった。 慶愛大学のHPには、サークル一覧に紹介文が載っているが『本気でかくれんぼをするサークル』としか書かれていない。  学内用のサークル紹介も似たような説明だが、気になる内容が記載されていた。 『紹介以外の入部は受け付けません。入りたい人は鬼になったつもりで隠れているサークル員を探しましょう。かくれんぼは、もう始まっている』  それだけなら、かくれんぼサークルらしい勧誘の煽り文句に思えるが。 『隠れた花や蝶と出会いたい人は、是非入部してください。顧問は折笠悟准教授です』  知っている人間ならWOを想起する文章に取れなくもない。 折笠は内分泌内科でWO研究をする、理玖と同列の学者だ。 「大学に提出されているサークル出願にも、かくれんぼをするサークルと書かれているだけだし、同じ内容で認可されています。あと確認するなら、学生用の掲示板かな」「学生用の、掲示板?」  晴翔がPC画面を開いて理玖に見せた。&n
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-27
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