大学に来て半年も経った頃には、晴翔とはかなり打ち解けた。 きっと晴翔が誰とでも仲良くなれる社交性の高い人間だからだろうが。 時々には理玖の研究室で一緒に昼飯を食べるくらいの仲にはなれた。 「先生、届いたらすぐお弁当、持っていきますね!」 講義終わりの教室移動中、受付の前で晴翔に声を掛けられた。 咄嗟に反応できずに、理玖は首を傾げた。 (今日は一緒にお昼を食べる約束、していたっけ?) いつもなら事前に声を掛けてくれる。 今がそうなのだろうか。あんまり大勢の前で話されるのは、理玖としては恥ずかしい。 反応がいまいちだと思ったのか、晴翔が駆け寄ってきた。 「今日はプライム開発の試供品のお弁当が届く日ですよ。まだ届いていないので、届いたらすぐお持ちします」 説明されて、思い出した。 プライム開発は医療介護系の食事開発をメインとした開発販売をしている会社だ。理研にいた頃からの付き合いで、今も開発補助で関わっている。 (WOとは直接関係がないけど、関わっておくと研究費とか何かと融通がきくからな) 難点があるとすれば、弁当を食べた後のアンケートの記入項目が多くて細かくて、うんざりする程度だろうか。 (論文一つ仕上げると思えば安いよね。プライムさんはお金持ちだから) 自分に言い聞かせて納得する。 忘れていただけに、今日の仕事が一つ増えた感じで、ちょっと残念だ。 「今日は届くの、遅いですね。先生のお昼休憩の時間は大丈夫ですか?」 晴翔がしきりに時計を気にしている。 事務所の他の職員は弁当を取り出したり財布を片手に移動を始めているから、もう昼の
Last Updated : 2025-06-07 Read more