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All Chapters of only/otherなキミとなら: Chapter 21 - Chapter 30

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第21話 可愛い生き物

 理玖が寝息を立て始めたのを確認して、晴翔は部屋を出た。 仕事部屋の方に戻り、自分のデスクの椅子に腰を下ろす。 「すぅぅ、……はぁぁぁ」  大きく息を吸って、長く吐いた。 (なんだ、あの可愛い生き物は。ギャップ萌えって理玖さんのための言葉かな。理性飛ばなかった俺、偉すぎるだろ)  椅子の背もたれに首を預けて、晴翔は呻った。 今日は理玖のフェロモンがいつもより弱かった。というより緩やかだった。だから耐えられたが、ピアスは連打した。 (薬はめちゃめちゃ使ったけど、理玖さんのフェロモン、前と感じ方が変わった気がする。今日は放出が少なかったのかな)  穏やかに増えてくれたお陰で、少しは側に居られたし、触れられた。 とはいえ、あれが限界だ。 (好きな人にベッドの上で喰っていいとか言われたら、otherじゃなくても耐えられないと思う)  どさくさに紛れて額にキスして唇に触れてしまった。 ぷっくりした柔らかな唇のせいで、危うく理性が飛ぶところだった。 思い返すだけでも、もだえる。 冷静になろうと、もう一度深呼吸した。  晴翔は佐藤に怯えていた理玖を思い返した。 (あの怯えようは、普通じゃない。耳元で何か囁かれていたようだったけど。知り合いか? それとも、脅すような言葉を?)  理玖がrulerだという噂につられて、犯罪集団のotherが接触を図ってきたのだろうか。 佐藤が犯罪集団の一員なら、折笠も関係者なのだろう。 (折笠准教授のあの顔、理玖さんの反応を確認しているような、楽しんでいるような表情だった。佐藤を助手で呼んだのは折笠だし、無関係じゃないんだろうな)
last updateLast Updated : 2025-06-14
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第22話《4/28㈪》講義:spouse

 学生が集まる講堂で、理玖はマイクを手にpowerpointの画面を切り替えていた。 去年は二回目の時点でかなり学生が減った印象があったが、既に数回の講義を重ねても今年はまだ初回と同じ程度の出席率だ。 (最近のニュースの影響かな。only狩りのニュース、多いからな)  数年前から問題視されていたonly狩りの犯罪集団だが、最近では規模が大きくなり組織力をつけてきている。バックに反社の影が見えるだけに検挙が難しくなりつつある。  特に世間を賑わせているのが、『Doll』と称する犯罪集団だ。 狩ったonlyを性玩具として躾けて闇オークションで人身売買にかけている。という噂がまことしやかに囁かれている。 それだけなら今までのonly狩りと大差ない。Dollの特徴は、other狩りも行う点だ。 狩ったotherはonlyを狩るために使うらしい。 今のonly狩りの大半はDollの犯罪だと言われている。 (どこまで本当かって感じの、噂の域を出ないフィクションめいた話だけど)  だからこそ、メディアが面白がって取り扱う。 ワイドショーなどは結構な時間枠を裂いて、専門家を招いて特集を組んでいる。 理玖にも多数のテレビ局から出演依頼があったが、すべて断った。 テレビで顔が流れるのが嫌だから、という理由が一番だが。 (解明されきっていないWOの生態を犯罪者に報せるようなものだ。馬鹿じゃないかと思う)  というのが、本音だ。 立証されていない、裏付けすら取れていない仮説を我が物顔で話している専門家を見ると、うんざりする。 その手の話は実生活に役に立たない代わりに、犯罪者には手段として用いられる場合が多い。 だから理玖は日本のワイドショーが嫌いだ。  PCを確認しながら、理玖はマ
last updateLast Updated : 2025-06-15
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第23話 講義:ruler

「他には、ありますか?」    また数名の手が上がった。  理玖は一番後ろに座る女子学生をさした。女性にしては背が高そうだが、人形のように整った美しい顔立ちに見えた。   「最近、テレビで取沙汰されているDollにはrulerがいると報道されていますが、rulerについて詳しく知りたいです」    心臓がざわりと嫌な音を立てた。  そのうち、質問が出るだろうと思っていたが、やっぱりきたと思った。   「rulerについては、生態も存在も学会は認めていません。個人の研究家の考察などはありますが、根拠がないものが多く、裏付けがありません。なので、講義で話せるほどの学術的根拠はない概念です」    一度マイクを置いた女子学生が、もう一度マイクを持った。   「学術的根拠はなくてもいいです。WOの世界的権威である向井先生が考えるrulerについて、教えていただきたいです」    なかなか食い下がるな、と思った。  好奇心なのか、勉強熱心なのか。何か話さないと引き下がらなそうな顔をしている。  息を吐き、理玖はマイクを持った。   「あくまで僕個人の見解であって、根拠のない推論になります。今からする話を事実のように他で語るのはやめてください。感想程度に聞いてもらえるなら、話します」
last updateLast Updated : 2025-06-16
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第24話 告白①

 講義を終えて研究室に戻る。 鍵を捻ってドアを押す。開かない。 怪訝に思いながら、もう一度、鍵を差して回したら、ドアが開いた。 (鍵、開いてたのかな? 晴翔君は……、いない)  いつもなら笑顔で「おかえりなさい」と迎えてくれる晴翔の姿が、今日はなかった。 (締め忘れたのかな、珍しい。急ぎの用事かな)  王子様スマイルの出迎えがなくて、ちょっとがっかりした気持ちで自分のデスクに戻る。 (晴翔君が助手で来てくれてから、まだ一週間も経ってないけど。もうずっといてくれてる気がする)  一人では広めだった研究室がちょっと狭く感じて、隣に晴翔がいる環境が当然になっている。 理玖一人では来客時くらいしか使わなかった二人掛けのソファも、晴翔が昼飯の時に使っているから有効活用だと思う。 (仮眠用のベッドも使用頻度が増えた。主に使ってるのは僕だけど)  フェロモンに飲まれたり、佐藤に怯えて倒れたり。我ながら情けないと思う。 佐藤満流のフェロモンに触れて、レイプされた時の光景が蘇った。悪酔いしたように血の気が下がった。 (晴翔君の手が温かくて、落ち着いた。あの時の晴翔君のフェロモンは、前と違った。気持ち良かったけど穏やかで、甘い香りがして、とても眠くなって……)  あの時、眠りに落ちる前に晴翔が大事な言葉を言っていた気がするのに、ちゃんと聞き取れなかった。 (今でも聞いたら、教えてくれるかな。晴翔君、何て言ったんだろう)  晴翔の手を握った自分の手をそっと握る。 大好きな温かさを思い出して噛み締めた。  パサリと紙が落ちる乾いた音がして、晴翔のデスクに目を向けた。
last updateLast Updated : 2025-06-17
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第25話 告白②

「先生? どうしたんですか?」  いつの間にか、研究室の扉が開いている。晴翔が立っていた。 呆然と座り込む理玖に晴翔が駆け寄る。理玖の側に落ちている書類を拾い上げて、険しい顔をした。 「どうして、こんなものが……」「それ、晴翔君が個人で依頼を掛けたの?」  理玖から響いた小さな声に、晴翔が顔を上げた。 「もう、読んだの? 全部、読んだの?」「……全部、読み、ました。けど、違うんです、先生。俺の話を聞いて」  苦悶に歪んだ顔も、確信を帯びた声も、総てを知ったと言われているようで直視できない。 理玖の肩を掴んだ晴翔の手を振り払った。 「わかってる。佐藤は危ない奴だよ。生徒を犯して懲戒免職になった教師が、真面な職に就けるはずがない。反社や犯罪組織に加担してたっておかしくない。大学や晴翔君が調べるのは当然だ。何も間違っていない」  そう、至極真っ当な行動だ。 情報を集めて、必要な人間に開示した。ただ、それだけだ。 「僕、は……。知られたく、なかったんだ。onlyだってことも、rulerだってことも、レイプされた過去も。晴翔君とは、今の僕で、今の関係で、このまま心地良く、側に居たかった、だけで……」  晴翔の腕が伸びてきて、理玖の体を抱きしめた。 逃げられない程に強い力で、抱き寄せられた。 「俺は嫌ですよ、今のままなんて」  晴翔の言葉に、胸が軋む。 目の前が真っ暗になる。 「先生の過去に何があろうと、onlyだろうとrulerだろうと、何だっていいんです。俺は理玖さんが好きだ。理玖さんて人間が好きだ。今よりもっと近くで、もっと深い関係で、理玖さんの特別になりたい」
last updateLast Updated : 2025-06-17
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第26話【R18】花の蜜①

 講義が最後のコマで良かったと思った。 個人の質問に答えたり、片付けをしていたら遅くなったので、就業時間はとっくに過ぎていた。  校内に残っている学生や教員はいるだろうが、人気が少ない第一研究棟の二階で研究室を使っているのは理玖だけだ。 理玖の研究室は鍵も掛かっているし、突然誰かが侵入してくる心配はない。  だから、多少、声が漏れても大丈夫だ。 「ぁっ、あんまり、吸ったらっ」  執拗に男根を吸い上げられて、尻の穴を刺激されて腰が浮く。 「出していいよ、全部飲むから。理玖さんの、ちょうだい」  嬉しそうに言いながら、晴翔がまた理玖の男根を咥え込んだ。 穴を広げる指を二本に増やして、中を擦る。 「ひぁっ、ぁんっ」  ビリビリと電気が走って、目の前がチカチカした。 同時に男根から射精して、晴翔の口の中を汚した。 「はぁ、はぁ……、ぁ、ん」  久しぶりの虚脱感と快楽に、体も脳も追いつかない。 「後ろ、きついね。理玖さん、久し振りでしょ? 嬉しいな」  今度は乳首に指を滑らせて、撫であげる。 弱い刺激にかえって震える。 「嬉しいって、なんで……っん、んんっ」  中と乳首を同時に刺激されて、体が捩れた。 「理玖さんの体に俺を覚え込ませたいから。俺でしかイケない理玖さんにしたいから」  すっかり膨れ上がった突起を舌で弄ばれる。 気持ちが良くて、口が開く。 中も善い所を弱く擦られ続けて、頭がぼんやりする。 
last updateLast Updated : 2025-06-18
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第27話【R18】花の蜜②

 理玖は晴翔の顔を掴まえて、唇を舐め上げた。 するりと舌を滑り込ませて、上顎を擦り舐め挙げる。舌を絡めると、甘い香りが口から流れ込んで、頭がぼんやりして快楽が増す。 (onlyはキスが上手い人、多いっていうけど、僕はどうなんだろう)  理玖の舌の動きに応えて、晴翔が舌を絡めてくる。  後ろの口を押していた晴翔の男根が、グイグイと力を強めて押し入ろうとする。 「ん、ん……、ぁん、ぅ」  理玖の方が気持ちが善くて、思わず声が漏れる。 晴翔の男根が、勢いよく奥までを突いた。 「ぁあ! ぁ……、ぁ……」  突然、奥の壁を突かれて、快楽が脳を抜けた。 軽く放心状態になった。 「ごめん、理玖さんのエロい声で我慢できなかった。思いっきり奥、突いちゃった」  緩く腰を動かす晴翔の顔は、さっきより欲情が濃く浮いている。 「キス、めちゃめちゃ気持ち善くて止まれなかった。キスだけでイっちゃうとこだった。ヤバイ。理玖さんの全部が好きすぎて、ヤバい……」  愛撫していた時より余裕のない声は、燥いでいるようにも聞こえる。 返事をしたいのに、晴翔の男根が腹の中を擦って、気持ちが善すぎて言葉を発せない。 喘ぎ声ばかりが漏れ流れる。 「んっ……ぁ……、晴翔君の、きもちぃ。むりぃ」  晴翔の首に縋って抱き寄せる。  腰の動きが速さを増したと思ったら、腹の中に熱さが滲んだ。 「ぁ……、はぁ。そんな、急に抱きしめたら、興奮して、イクっ……」  晴翔が初めて艶に塗れた余裕のない声を出した。 ちょっと
last updateLast Updated : 2025-06-18
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第30話【R18】自分勝手な愛

 ベッドサイドのランタン型のLEDライトから、本物の火のような柔らかな灯りが零れる。 ぼんやりとした灯に照らされた理玖の顔が艶と色欲に塗れて、凡そいつもの表情ではない。 「ぁ……、理玖さん……」  名を呼びながら耳に口付け吐息を吹き込む。 理玖の体がピクりと震えて、閉じていた目が薄く開いた。 「ん……、ぁっ……ぁ、ん」  腰を緩く動かせば、濡れた唇から嬌声が零れ落ちる。 少し奥を強く突いたら、理玖がまた射精した。腹の上は、もう何度目かも知れない射精で、精液の溜りが出来ていた。 狭いベッドの上と足元には、使用済みのコンドームを何個も放り投げていた。 買ったばかりのコンドームは、もうほとんど残っていない。 「ゴムなくなったら、中に出すよ。俺の子孕んで、結婚しよ、理玖さん」  口付けて、言葉を口から流し込む。 自分の言葉に理玖が縛られてくれたらいいと思う。 握った手をすり抜けて消えてしまいそうな理玖を繋ぎとめる鎖が欲しかった。 「ぅ……、ん……」  理玖が重そうに腕を持ち上げて、晴翔の首に回した。 顔を持ち上げて、口付ける。 半分、寝ているような仕草が、可愛い。  理玖の部屋に帰って、風呂に入って、飯を食って、報告書の話をするつもりだったのに。 晴翔を部屋に招いて照れている理玖を見たら、我慢できなくなった。 『めちゃくちゃに……本気で、抱いて』  そんな言葉を言われたら、押し倒さないはずがない。 かろうじてベッドに滑り込んだのは、正解だった。 空が白み始めた、この時間まで床で抱いていたら、理玖の腰が壊れる。&
last updateLast Updated : 2025-06-21
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